技術の進化によって、安全・安心を担保するセキュリティ分野が進歩している。パナソニックが得意とする監視カメラを中心としたセキュリティシステムも長年にわたって培われた顔認証技術にディープラーニング(深層学習)を掛け合わせることによって大きく進化したという。世界最高水準と認められたパナソニックの新たな顔認証システムの開発経緯と市場戦略について、担当者に聞いた。

高まる「顔認証」の市場ニーズ

2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、セキュリティ市場における監視カメラの画像解析やAIを活用したサービスが本格化しているが、その中でも顔認証技術の活用に注目が集まっている。

1957年から60年以上にわたってセキュリティシステム事業を展開するパナソニックは、AIによるディープラーニング技術と監視カメラを組み合わせた「ディープラーニング顔認証システム(FacePRO)」を2018年2月20日に発表した。このシステムでは、ディープラーニングの最先端技術を保有するシンガポール国立大学と連携して開発した認識エンジンを導入。NIST(米国国立標準技術研究所)の評価基準において全評価指標で世界最高水準を達成するなど、高い顔認証の精度が大きな魅力となっている。

顔認証の具体的なニーズの1つに特定人物の検知がある。テロリスト、万引き常習犯などの要注意人物やVIP、工場従業員などをリアルタイムで特定し、必要に応じてアラートを出す使い方だ。パナソニックの顔認証システムは監視システムの実オペレーションとの親和性を考慮し、検知した映像は時系列で確認でき、映像記録内の検索や紐付けにも対応。顔の類似性による検索や分類もできるなど、利便性と機能性にも長けているのが特徴だ。

ここまで進化した認証技術

パナソニックは、過去にリリースした顔認識機能を備えた監視システムにおいても精度の高い顔認証を提供していたが、「斜め顔」「(サングラスやマスクによる)部分隠蔽」「経年変化」などの要因が重なると検知が困難になるという課題があった。しかし、今回の新システムでは「これらの課題をしっかり克服した」と、認識エンジンの開発に携わったパナソニック株式会社の河本耕治氏は自信をのぞかせる。

パナソニック株式会社 コネクティッドソリューションズ社
セキュリティシステム事業部 技術センター
先行開発課
係長
河本 耕治氏

「実際の現場において、監視カメラに対して正面を向く人はそう多くありません。一方で、これまでは撮影した映像の顔が正面に近い向きでないと照合が難しく、許容範囲は左右が±20°、上下が±15°程度でした。そこで、今回のシステムでは左右を±45°、上下を±30°にまで強化しました。さらに部分隠蔽においても、メガネやサングラス、マスクを着用していても検知を可能にすることで、実際の監視業務でも実用的に顔認証ができるようになっています。

また経年変化においては、実用例のひとつとして証明写真との比較があります。髪形や体重の増減による変化、年齢によるしわの増加など、経年変化の種類はいろいろとありますが、顔の特徴量をしっかりと捉える技術によって、照明写真との比較でも非常に高い精度で照合できるように改善されています」(河本氏)。

※2018年中に対応予定
顔認証技術を搭載した監視カメラによるデモの様子