2020年まであと2年余り。自動運転やドローン、BRTなどへの注目が高まっているが、鉄道、バスに次ぐ第3の公共交通手段として浸透しつつある「サイクルシェア」をご存じであろうか。2016年の5月に未来コトハジメでも注目し取り上げたテーマだが、そこから2年。エリアも東京だけでなく、大阪にまで広がっているほどニーズは急上昇しているようだ。そこで今回はニーズの変化と普及状況についてステークホルダーに改めて取材した。

2020年はサイクルシェア拡大の好機

2014年に東京都が示した「東京都長期ビジョン」では、東京都における2020年にあるべき交通の姿の1つとして「サイクルシェアの広域展開」を明記している。もちろんこれは、国内外から数多くの人が詰めかける2020年の東京の街を意識したもの。事実、ロンドン市では2012年を機にサイクルシェアが爆発的に普及し、今では市民にとって欠かせない“足”にまで成長した。

こうした動きを受け、2016年の春にNTTドコモ、ドコモ・バイクシェアとパナソニックがタッグを組み、東京臨海地区で「サイクルシェア」及び「バッテリーシェア」の実証実験をスタートさせた。簡単な登録を済ませれば、任意の駐輪ポートから乗車し、目的地に近い駐輪ポートで乗り捨てられるその利便性が市場に受け入れられ規模感は拡大し続けているという。

東京都長期ビジョン第3章・都市戦略2より

目指すは「ポスト」のような存在

下記に掲載した“赤い電動アシスト自転車”を街中で見たことがある方は多いのではないだろうか。この自転車こそが、ドコモ・バイクシェアが手掛けるサイクルシェア用の自転車である。2011年4月、NTTドコモが神奈川県横浜市で開始したシェアリング事業を源流とし、2015年2月に専業事業者として発足。2018年3月末時点、全国25拠点で約7300台、駐輪ポート約700カ所を構えるまでに成長した。利用回数は前年度比200%以上のスピードで伸びており、2017年度は470万回を数える。これは実に、2011年度の約120倍の実績となる。

ドコモ・バイクシェア代表取締役社長の堀清敬氏は、好調のおもな理由を「東京都区内での広域連携が実現し、駐輪ポート数が順調に増えたため」と語る。現在、東京都内9区(千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、江東区、品川区、大田区、渋谷区)で相互乗り入れを実施しており、飛躍的に利便性が向上。都心だけではなく住宅地にまで駐輪ポートが広がったことで、利用者にとって接点が増えたことも大きい。

株式会社ドコモ・バイクシェア
代表取締役社長
堀 清敬氏

それまでどちらかといえば観光目的と見られることが多かったサイクルシェアだが、都心・商業地・住宅地をまたぐ「日常利用」が加速しているという。

「江東区のようにオフィス、ショッピングセンター、住宅が隣接・混在するエリアでは、朝は通勤・通学、昼は買い物、夕方以降は帰宅と時間帯によって上手く用途が循環しています。湾岸エリアは目的地同士の距離が“歩くには遠く、電車では近い”ケースが多いため、日常的に我々のサービスが根付いている。おかげで近隣住民の方々は赤い自転車に慣れ親しんでいるようです」(堀氏)

女性でも乗りやすい重心が低いフレーム

自転車の楽しさや魅力を伝えていきたい

2020年については「確かに大きなターゲットの1つ」としながらも、「サイクルシェアが日常に溶け込む存在になることが最も望ましい姿。2020年を契機にロンドンやニューヨークのような1万台以上の規模に早く育てていきたいですね」(堀氏)と意欲を燃やす。

そのために肝となる電動アシスト自転車は、信頼性の高い国産モデルを選択。その1社としてパナソニック サイクルテックと2年前から協業を開始した。しかしスタートして2年、様々な課題も出てきたという。まず想定を上回る稼働率でバッテリー切れが生じてしまうこと。また比較的小柄な女性の利用者もいれば体の大きな外国人観光客の利用も多く、万人が使いやすいよう車体を合わせなければならない。さらに返却されるポートが特定の場所に集中することから移動作業が多く、作業員の負担も想定以上であった。これら課題を解決するため、今夏には第2号となる新型モデルを投入予定。開発にあたり、ドコモ・バイクシェアはつぶさにユーザーニーズを拾い上げながら車両への反映を依頼した。

「サイクルシェアならではの要件として、まずは万人が乗りやすい車体が挙げられます。そのため、女性でも乗りやすい重心が低いフレームを採用しました。そのほかに重視したのは耐久性とメンテナンスのしやすさ、そしてなるべく長く持つバッテリーです。これらを軸に、さまざまな観点から検討していただいています」(堀氏)

コンパクトでも大容量のバッテリーを採用