酸素と窒素が主な構成要素である空気は、生きるために欠かせない重要なもの。しかし、人体に悪影響を及ぼし、人を不快にさせるような様々な物質を運んでくる媒介でもあり、改めてその質が問われる時代になっている。そこで注目されているのが、脱臭や除菌など空気をきれいにする、いわゆる空質改善のための様々な技術。なかでも空気清浄機などの家電をはじめ、パブリックなスペースにも応用が進んでいるのが、水に包まれた微粒子イオン「ナノイー」を活用した空質ソリューションだ。今回は、安心・快適な空質環境を生み出すナノイーの優れた特徴について解説しながら、その事業展開や目指すべき将来像について紹介する。

次々と社会問題化する空気に関連した課題

パナソニック株式会社 アプライアンス社
ビューティ・リビング事業部 デバイス商品部 部長
松前 利幸氏

空気中には様々な物質が漂っているものだが、酸素など生命維持に不可欠なものばかりではなく、なかにはウイルスや菌、カビ、花粉など健康を害したり不快な思いにつながったりする物質も浮遊している。「産業革命以降の経済成長のなかで公害など大気汚染を引き起こし、今では花粉や微小粒子状物質である“PM2.5”によるアレルギー症状の悪化など、空気が関連した社会問題は枚挙にいとまがない」と語るのはパナソニック株式会社 ビューティ・リビング事業部 デバイス商品部 部長の松前 利幸氏だ。

そこで注目されているのが、安心・快適な空質環境を整えるために役立つ空質改善技術だ。一般的には、フィルターを通すことで空気中に漂う様々な物質を除去する空気清浄機などがその代表的な例だろう。そして最近では、空気中にイオンを放出し、浮遊する様々な物質を分解・抑制するイオンを放出する装置が装備され、脱臭や除菌など空質環境を快適にする機能が搭載されている。このイオン発生技術においてユニークな特徴を持っているのが、水に包まれた微粒子イオンである「ナノイー」を放出する「ナノイー」デバイスである。

上がナノイーを発生させるために必要な放電部とその断面図。下が組み込み式のナノイーデバイス、電源さえ供給されればすぐにナノイーを発生させることが可能。

水に包まれたイオンが効果を持続させる「ナノイー」技術とは?

パナソニック株式会社 アプライアンス社
ビューティ・リビング事業部 デバイス商品部 
デバイス技術統括担当部長 
山下 幹弘氏

「ナノイー」とは、ナノテクノロジーの「nano」と電気を帯びていることを示すelectricの「e」をあわせた造語で、OHラジカルと呼ばれる高反応成分を、ナノサイズ(10億分の1m)の微粒子水で包んだものが「ナノイー」と呼ばれるものの正体だ。「ナノイー」の特長について同社 デバイス商品部 デバイス技術統括担当部長 山下 幹弘氏は「一般的なスチームよりも微細なために繊維の中にまで入り込むことが可能で、脱臭や除菌効果が高いのが特長です。また、空気イオン(マイナスイオン)に比べて空気中で約6倍長持ちするため、部屋の広範囲に届き、アレル物質やカビ、ウイルスの抑制、脱臭効果がより高く期待できます」と語る。さらに豊富な水分は、肌や髪にやさしい弱酸性の性質を持っているという優れものなのだ。

*3 一般的な空気イオン(代表的な粒子径:1.3nm)と「ナノイー」(代表的な粒子径:13nm)との比較による。(当社調べ)
*1 約6畳の試験室内での8時間後(花粉)、24時間後(ダニ)の効果であり、実使用空間での効果ではありません。
*3 約6畳の試験室内での4時間後の効果であり、実使用空間での効果ではありません。
*4 約6畳の試験室内での2時間後の効果であり、実使用空間での効果ではありません。

もともとOHラジカルが物質に作用するのは、ウイルスや菌、花粉などのタンパク質と結合し、タンパク質から水素(H)を抜き取る、つまり酸化反応を起こすことで性質を変えてくれるためだ。水素と結合したOHラジカルは水となって空気中に戻るという仕組みになっている。

除菌効果イメージ
*3:10m3の密閉空間での試験による240分後の効果であり、実使用空間での効果ではありません。
パナソニック株式会社 アプライアンス社
ビューティ・リビング事業部 
事業企画・マーケティング統括担当部長 
中村 浩二氏

このOHラジカルを用いた空質改善技術は様々なものが存在しているが、空気中の水蒸気(ガス)と接している「空気イオン」とは異なり、「ナノイー」は完全に水(液体)に包まれた状態で放出される「水イオン」。酸素や窒素と結合しやすいOHラジカルの周りを水が取り囲むことで、OHラジカル自体が長持ちするようになる。「水そのものをまとうことで長く空気中に存在できるようになっているのが大きな特徴です。その結果、より遠くまでOHラジカルが届くようになりました」と同部 事業企画・マーケティング統括担当部長 中村 浩二氏はそのメリットを力説する。つまり、一般的な空気イオンではカビが繁殖する壁際などまでその効果が及びにくいが、「ナノイー」であれば広いエリアに対してもその効果を発揮できるようになるのだ。