臨場感あふれるエキサイティングな試合が繰り広げられるスタジアムでは、訪れたファンを楽しませるべく、シーンを盛り上げるさまざまな演出が行われている。試合中には選手の表情や観客席の様子が大型ビジョンに映し出され、選手の登場や得点シーンなどでは、DJパフォーマンスや映像・音声を駆使してそのシーンを劇的に盛り上げる。これらの演出を行うスタジアムソリューションは、スポーツ観戦に興奮と感動を与えてくれる仕組みとして重要なものだ。そんなスタジアムソリューションを積極的に活用し、訪れてくれた多くのファンを魅了しているのが東北楽天ゴールデンイーグルスを運営する株式会社楽天野球団(以下、楽天野球団)だ。今回は、そんな楽天野球団が取り組むスタジアム演出について紹介しながら、魅力的な演出を可能にするための仕掛けについて詳しく紐解いていこう。

誰もが楽しめる「ボールパーク構想」を目指して

2004年に半世紀ぶりに日本のプロ野球に新規参入し、東北を本拠地とする初の球団として多くのファンを魅了し続ける東北楽天ゴールデンイーグルス。創設9年目の2013年には日本一となり、現在でも観客動員数は毎年右肩上がりに増え続けている人気球団の1つだ。その本拠地は宮城県仙台市にあるKoboパーク宮城であり、東北地方唯一のプロ野球ホーム球場として、3.11で傷ついた東北地方の人々に夢と希望を与え、今や東北復興のシンボルとなっている。

「東北のランドマークとして世界に誇れるボールパーク」を目指し、2014年から大改修が行われている。

東北楽天ゴールデンイーグルスの運営を手掛ける楽天野球団は創設当初から、単なるスタジアムではなく老若男女問わず訪れた人誰もが楽しめる「ボールパーク構想」を掲げている。具体的には、球場内外で開催されるファンイベントや選手がプロデュースしたメニューが豊富に用意されたさまざまなジャンルの飲食店、観覧車やメリーゴーランドなどのアトラクション、バーベキューを楽しみながら観戦できるパークエリア、企業協賛のボックスシートなど、さまざまな施策を行うことで多くのファンを楽しませるためのスタジアムづくりに注力している。

訪れたファンの五感をいかに刺激するか

そんな楽天野球団では、東北のランドマークとして世界に誇れるボールパークを目指し、2014年からKoboパーク宮城の大規模な改修を実施した。選手が躍動するフィールドは鮮やかな天然芝に生まれ変わり、日本の野球場では初となる観覧車を設置。また、スタジアム演出も従来に比べて多様化させ、訪れたファンの五感を刺激するエンターテイメント空間として、野球観戦をこれまで以上に魅力的なものに進化させることに成功している。

中でもスタジアム演出は、観戦に来たファンに楽しんでもらうための重要な施策の1つであり、イーグルスファンを増やすためには欠かせない重要なものだ。ただし、現在のインフラを整備する以前は、スタジアム演出に利用する映像や音声、データがそれぞれの部署で制作、管理されており、うまく有効活用できていなかった。と振り返るのは、コンテンツの管理やスタジアム演出を手掛ける株式会社楽天野球団 コンテンツ部 部長 渡辺 太郎氏だ。

株式会社楽天野球団  コンテンツ部 部長 渡辺 太郎氏

「訪れたお客様のエクスペリエンスを通じて動員数を増やしていき、マネタイズしていくことが求められていました。そこで、選手や試合の映像などのコンテンツを一元管理し、スタジアム演出やチーム戦略立案時の情報データ、それをインターネット配信など、さまざまな形で活用できるような仕組みが必要だったのです」。また、スタジアム演出を効果的に行うためには、異なるベンダのビジョンや音響設備、映像機器、各種データをうまくつなぎ合わせ、試合進行に応じて柔軟に出し分けていく必要がある。効率的にスタジアム演出が可能な仕組み作りも求められていたのだ。

新たに取り組んだイノベーティブな仕組み

今回新たに整備した仕組みの中で特徴的なものの1つが、スタジアム演出に必要不可欠なインフラのオンライン化だ。従来日本の放送システムがこれまで採用してきたオフライン基盤とは一線を画しており、インターネットを通じてSNSなどと連携しながらスタジアムを盛り上げる演出が行われている。「ツイッターなどのSNSからハッシュタグを起点に写真を取り込み、LEDビジョンに表示したり、特殊CGを加えたショートクリップをSNSに配信しています。インタラクティブな体験を通じて、お客様に最大のエクスペリエンスを演出しています」と渡辺氏は説明する。

Wayin によるファンメッセージ ビデオボード表示システム

また大きな特徴の1つが、日本で初めて導入された「スタジアム総合演出マネジメントシステム」だ。このシステムの中核を担うのが、Click Effectsと呼ばれるスポーツビデオサーバーで、米国では4大スポーツで行われているスタジアム演出の80%を超える実績を持つ。この仕組みを利用して多彩な演出を実現するためには、メーカーの異なるLEDビジョンへのコンテンツ送出をすべて一括操作できる仕組みが必要だった。

「それぞれの機器がシームレスに連動することで、さまざまなバリエーションを持った演出が可能になります。演出をリッチにすることでお客様の満足度向上に寄与し、これまで以上にボールパークが楽しい場所だと感じていただけているはず。また、コンテンツ制作に対するコストと時間が減るなど、経済的なメリットも大きい」と渡辺氏。今では時間によって最適なビジョンの輝度や色合いも一括制御できるようになり、運用負担を軽減しながら最適な演出が可能になっている。この総合演出マネジメントシステムをはじめ、カメラやLEDビジョン、ネットワークなどスタジアム内のインフラ整備に大きく尽力しているのが、パナソニックが提供するスタジアムソリューションだ。

スタジアム総合マネジメントシステムは全部で8つのソリューションで構成されている。