グラスフェッド、プラントベース、ケージフリー…。多くの人には耳慣れない言葉かもしれない。いずれも健康志向、オーガニック志向が発展した“食”のスタイルだ。食のスタイルには、ほかにもベジタリアン、ヴィーガンなど様々なものがある。その最先端の動きを、2018年3月8〜11日に米国アナハイムで開催された展示会「Natural Products Expo West 2018」の様子から見てみよう。

Natural Products Expo Westは、米ペントンメディア主催で、3200社以上の企業が出展する西海岸最大の健康関連商品の展示・商談会。会場には、ナチュラル、オーガニック、健康をテーマとした食品などの商品がひしめき合う。そんな中で、今回の会場で目立ったキーワードがいくつかある。「✕✕フリー」「NON-GMO」「ヴィーガン」「プラントベース」「グラスフェッド」「ケージフリー」だ。

プラントベースの商品が大多数

プラントベースとは植物性由来のこと。食品、サプリメント、エナジードリンク、プロテイン、化粧品、ベビー用品からペットフードと、ほぼすべてのカテゴリーでキーワードとなっていた。食品では、肉の代替食品として、えんどう豆や大豆を加工したベジミートが代表的。乳を使わず、アーモンドミルクやココナッツ、豆乳といた様々な植物由来成分で作られたヴィーガンチーズも同様である。これらの商品が会場のいたるところに並んでいた。えんどう豆や大豆のほかにも、玄米やジャックフルーツ、キノコなどから作られたプラントベースの食品や食材があった。

プラントベースが拡大している背景にはヴィーガン、フレキシタリアンの人口が増加していることがある。フレキシタリアンは、「フレキシブル」+「ベジタリアン」からなる造語で、基本的には菜食もしくは野菜中心の生活を行うものの、厳格な制限はせず、時として動物肉や魚も摂取する人々を指す。日本では“ゆるベジ”などとも呼ばれる。健康志向や環境負荷軽減、食の持続性といった発想は日本でも共通しているため、日本でも受け入れられやすいだろう。

著名人の言動も、ヴィーガン・ベジタリアンを後押しする。例えばポール・マッカートニーは、「ミートフリーマンデー」という「週に一度は肉を食べない日を設けよう」という運動をロンドンから提唱。多くのメディアやシェフから賛同を集め、英国のほかにも様々な国の公共機関で導入されるようになった。こうしたことから日本でも、プラントベースの市場は徐々に広まっていく可能性は十分にある。

“グラスフェッド”が次なる注目株

ミートフリーのプラントベース商品が数多く並ぶ一方で、動物性由来の商品の中で注目されていたのが「グラスフェッド(Grass fed)」である。グラスフェッドは、ストレスのない自然の状態に近い放し飼いで、飼料を与えずに栄養価の高い草だけを食べさせて飼育したもの。代表的なのがグラスフェッドカウである。

グラスフェッドは、「牧草飼育によって健康状態を良好に保った肉は人の健康にも良い」という考えに基づく。肉質が繊細でやわらかく、肉本来の旨みや香りにあふれていながら、低脂肪&低カロリー、オメガ3脂肪酸も豊富だとされる。こうしたうたい文句により、海外はもちろん、日本でも急速に注目度が高まっている。

グラスフェッドは肉そのものだけでなく、バターなどの乳製品、ジャーキーやサラミといった加工肉食品、さらにはプロテインやゼラチンにまで広がる。そうした例の一つが、「シリコンバレー式自分を変える最強の食事」で推奨され、日本でも徐々に流行り始めているバターコーヒーである。

バターコーヒーは、文字通り、バターを入れたコーヒーを朝食代わりに飲むというダイエット法だ。厳密には、夕食から16〜18時間は何も摂取せず、その後の最初の食事(朝食)の代わりにバターコーヒーを飲む。ここに使うバターとしてグラスフェッドが最適だとされている。

このグラスフェッドと同様の考え方を鶏肉に当てはめた「ケージフリー」も注目されている。バタリーケージという省スペースの産卵ケージを使用せずに、(自然に近い環境で)育った鶏やその卵を使った食品だ。