スポーツ中にけがをしないように見守ってくれる人工衛星。働きすぎて体を壊さないように見守ってくれるドローン。寝ているだけで体調管理をしてくれるベッド。見守りの仕組みはいろいろな用途、利用シーンに広がろうとしている。

人がけがをしたり病気になったりする際には、大抵、なんらかの予兆がある。早い段階でその予兆に気付けば、大事に至る前に診断を受けたり、傷病を回避するよう行動を変えたりできる。もちろん、定期的な健康診断による予兆発見は重要だが、日頃生活の中で常に健康を見守ってくれる仕組みがあれば、一層安心だ。

宇宙から人の動きを見守ってけがを予防

こうした見守りを高度化する仕組みとして、これから格段に進歩していくものの一つに、測位衛星システム(GNSS)がある。米国が運用しているGPS(Global Positioning System)、日本が2017年5月に2号機を打ち上げた準天頂衛星システム「みちびき」などを使った位置情報把握は、いわば宇宙からの見守りだ。

現在、日本を含む各国で進められているGNSSによる位置情報システムでは、GPSだけでの計測では約10メートルあった誤差が、数センチのレベルにまで小さくなる。その程度の誤差ならば、人や車の大きさからすればほとんど考慮しなくてもいいだろう。混雑した人ごみの中で待ち合わせる場合でもお互いの位置が正確にわかるから、すぐそばにいるのに人混みに紛れて気付かない、といったこともなくなるだろう。

こうした高精度の位置情報を活用する仕組みも登場している。オーストラリアのCatapultが開発したスポーツ用ウエアラブルデバイスがその一つ(写真1)。サッカーやラグビーなどの試合や練習の際に、選手をトラッキングするためにGNSSからの位置情報データが活用されている。スポーツ中に発生するけがの予防という目的での利用もある。

スポーツ科学では、どういった運動がどの筋肉に負担をかけるのかがわかっている。例えば急激な加速や減速は太ももや股関節、ふくらはぎに負荷を与え、肉離れの原因にもなる。そこで、GNSSからの正確な位置情報データと内蔵センサー(加速度計、ジャイロスコープ、磁力計)によって得られる身体の負荷情報データによって、デバイスを付けた選手のトータルの運動量や爆発的な動き(高強度の加減速、方向転換、ジャンプなど)をリアルタイムに計測する。これによって、練習中にけがをしないように個々の選手の動きを見守れる。試合中に、肉離れを起こしたり、筋肉疲労によって通常どおりの動きができずにけがを起こしたりする前に、選手交代をさせる判断を下す、といったことも可能だ。このデバイスはプロ用だけでなく一般向け提供されていて、海外では高校などでも利用され始めている。

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(写真1)スポーツ用ウエアラブルデバイスを装着するためのデジタルブラ
(Catapult SportsのYouTube画像より引用)

ドローンが社員の健康を見守る

見守りの目的、対象、そして手段は、さらに広がる。例えばロボットによる巡回。変わったところでは、2017年6月に、NTT東日本と大成、ブルーイノベーションの3社が発表した「T-FREND」がある。防犯と合わせて、社員の残業の抑制を図るためにドローンが社内を見守るサービスだ(図1)。目的は、夜間も定期的に巡回することによる社内のセキュリティ管理と、ドローンの巡回時間に在席する社員の退社を促し、健康を考慮して過剰労働を防止すること。事前に巡回時間やルートを設定すれば、GPSを使用しない自己位置推定システムによって、ドローンが屋内を自動飛行する。2017年10月から商用サービスを提供する予定である。

(図1)T-FRENDのサービスイメージ
(NTT東日本のニュースリリースより引用)