電源を供給すれば24時間365日動き続け、危険な場所や人には過酷な環境での作業、人の眼や耳、鼻、四肢の能力では対処できない作業もこなせる――。ロボットに期待されるのは、概ねこうしたことだ。その典型的な用途の一つが災害対策である。災害が発生する可能性がある場所を見回り、異常を発見したら初期対応、災害時にがれきの下に埋もれた被災者などを探し出す、といった具合だ。必ずしも我々の身近にあるわけではないが、ロボットが人知れずパトロールしたり、見えないところで我々の生命や生活を守ってくれる。そんな社会は、もうすぐそこにある。

災害対策とひとくくりに言っても、内容は災害の種類などによって異なる。世界で比較的取り組みが目立つのが、森林火災対策である。

年間を通して湿度が低いカリフォルニアなどの土地では、森林火災の発生頻度が高い。日本は四方を海で囲まれているため、大陸と比べると湿度が高く大規模な森林火災の発生はそれほど多くはないが、こうした地域では、被害は甚大だ。大切なのは、被害の拡大を防ぐ仕組み。それには、発生から時間をおかずに発見できる仕組みと初期対応が重要になる。

ドイツのMadgeburg-Stendal大学では、森林火災を早期に検出して被害の拡大を防ぐことを目的とした昆虫型の消防ロボット「OLE」を研究している(写真1)。普段から6本足で森林を歩き回ってパトロールし、赤外線センサーやバイオセンサーを使って火災の発生を検出する。火種を見つけると位置情報を報告し、タンク内の水や消火剤を放出して素早く初期消火活動を行う。それでも鎮火せず、火に囲まれてしまった時はマルムシのように丸まり、1300度の温度に耐えることができるセラミック繊維複合シェルで身を守る。

(写真1)Madgeburg-Stendal大学で研究されている昆虫型消防ロボット「OLE」のイメージ
30体のOLEで7000㎢の森林がカバーできる。(PRESSEPORTALのホームページから引用)

6本足の昆虫型の構造にした最大の理由は、荒れ地を走破しやすいから。ただ、それだけではない。車輪やクローラー(キャタピラのような推進装置)を使って移動すると、本体が常に地面に接しているので火災時には熱が伝わりやすくなり内部のメカニズムに悪影響を与える。このためバラバラに動く6本足型にしたという。

森林火災が少ない日本では、別の火災がテーマとして考えられている。例えば建物が密集した都心で発生するビル火災だ。その対策のために開発されたのが、テムザックの「T2-4」(写真2)。公共施設や商業ビルなどの火災を防ぐ火災検知用巡回警備ロボットである。あらかじめプログラムした経路図に従って自動巡回し、高感度においセンサーや炎センサー、温度センサーによって巡回中に異常があれば警備センターに通報する。高感度においセンサーは煙や炎が上がるよりも早い段階で発生する異臭(焦げくさいにおい)をキャッチし、火災の予兆を的確に判断する。開発にはテムザックの他、九州大学、金沢工業大学、金沢星稜大学、北九州市立大学、新コスモス電機、北九州市消防局が参加した。

(写真2)テムザックの火災検知用巡回警備ロボット「T2-4」
(テムザックのホームページより引用)