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金利が上がると暮らしはどうなるの?

(2016/01/05)

♪金利って、そもそも何?

 新しい1年がはじまりました。子どもがもらったお年玉を預かって預金したり、子どもと一緒に金融機関に預けに行った人もいるかもしれません。
 お金を預けるときは金利(利息)が多いほうがいい、でも借りるときの金利(利子)は少ないほうが助かります。ところで金利とはそもそも何? そしてどんなふうに決まるのでしょう?

♪金利は“お金のレンタル料”。借りる側は利子を払い、貸す側は利息をもらう

 金利とは何でしょう? ざっくりと「お金を貸したり借りたりするときに必要になる、“お金のレンタル料”」と考えればシンプルです。

 例えば子どもが生まれたので家が欲しい、でもすぐは買えないというとき、コツコツお金を貯めていたのでは何十年もかかるかもしれません。
 しかし金融機関のような仲立ちする存在がいて“レンタル料”を払う約束をすることでスムーズに多額のお金を借り、あとで“レンタル料”上乗せで返す、というやりとりが成立すれば、家を手に入れるという目的に対して大幅な時間短縮になります。売り手にしてみれば高額な物も売りやすくなり、大きくみれば経済もまわっていきます。
 企業の場合は、お金を借りることで設備を充実させ、それによって業績をあげて会社をどんどん大きくしていきます。企業の成長は、お金を借り入れる仕組みがあってこそ可能になる面もあります。

 銀行などの金融機関は、ローンを組んでいる(お金を借りている)人から受け取った利子の一部を、お金を預けた預金者に利息として支払い、その差額を利益としてビジネスをしているイメージです。

♪「金利」「利子」「利息」の呼び方は慣習的な面も。「利回り」は収益を1年あたりに換算したもの

 金利のほか、利子、利息、利率、利回りなど、いろいろな言い方がありますが、基本はどれも“お金のレンタル料”を意味します。慣習的には、お金を貸す(預金する)立場では「利息」、お金を借りる場合は「利子」と使い分けているようですが、厳密な区別はないようです。昔の郵便貯金、現在のゆうちょ銀行では利息のことを「利子」といいますし、税務も利息にかかる所得を「利子所得」と呼びます(ちなみに、「預金」「貯金」も同様で、銀行は「預金」ですが、ゆうちょ銀行では「貯金」です)。

 利息、利子は、例えば通帳に「普通預金利息180円」と記帳されるように、金額で表示されることが多いようです。金利は、利子、利息を意味することもあれば「金利(利率、利回り)3%」のように、割合で示されることもあります。
 特に説明なく「金利3%」や「利率3%」とあったら、1年あたりの割合を指します。金融商品のパンフレットなどでは「利回り」という言葉もありますが、これは特定の運用に対する収益を、1年あたりに換算した「年利回り」を意味します。

♪借りる側の信用力が低いと“レンタル料”は高額になる

 話を戻しましょう。金利はどうやって決まるのでしょう? 
 ものを貸すときには「返ってこないかもしれない」という危険がつきまといます。お金ならなおさらです。問題なく返してくれそうな人にはレンタル料を安くするなど優遇し、危なそうな人にはレンタル料を割り増しする判断も必要になります。いわゆる「信用力」です。

 ローンを組むときには、勤務先や勤続年数、年収などを細かくチェックされる「審査」がつきものです。勤務先や条件によってはローンの金利が優遇されることもあります。逆に、過去に支払いが滞ったことがあれば、信用力が低い人とされて、お金を借りるのが難しくなってしまいます。
返ってこないリスクは金融機関が負うのですから、貸し手として慎重になるのは仕方のないことなのでしょう。

♪“借用証書”である債券の利回りは、信用力に大きく左右される

 信用力は、金融機関を通して間接的に行うのでなく市場から直接お金を集める「直接金融」ではもっとわかりやすく現れてきます。
 例えば国債。国債とは、同じく単純化すると国の借金の “借用証書”です。国が財政破綻してお金を返してもらえない場合のリスクを直接かぶることになりますから、投資する側は慎重です。
 ギリシアの10年物国債の利回りは、2012年3月に最大38.5%になりました。お金が必要なので国債を発行するわけですが、信用力がないため、そこまで高い“レンタル料”が必要になったのです。

 ちなみに債券の信用力の判断は、格付け会社と呼ばれる専門の民間企業が独自に行っています。その1社であるS&Pは9月中旬、日本国債の格付けを「ダブルAマイナス」から「シングルAプラス」に引き下げています。これはアイルランドやイスラエルと同等で、中国や韓国より低いランクです。格付けは財務状況や経済政策で判断されるためです。

♪あえて「低金利」を選んできた先進国。いよいよアメリカが「利上げ」へ

 お金の貸し借りにとって「金利」と「信用力」には切っても切れない関係があることは見てきた通りです。さらにもう一つ、金利には見逃せない要素があります。国の事情というバックグラウンドです。

 アメリカ、EU、日本など先進国では、特に2008年のリーマンショック後に冷え切った経済を上向かせるために、市中の金利を超低金利に誘導する政策を進めてきました。
具体的な方法としては、例えば中央銀行(日本では日本銀行)が銀行などの金融機関が持っている国債などの資産を買い上げるなどで、世の中に出回るお金の供給量をどんどん増やします。いわゆる量的緩和といわれるものです。
 お金があふれた状態では、需要と供給の関係で金利は果てしなくゼロに近づきます。お金を借りやすくして、消費や設備投資を促すことで経済を上向かせようとするものですが、もちろん、環境を整えたという話で、お金を借りる側の信用力の判断は先述の通りです。

 アメリカの連邦準備理事会(FRB)は先月、ゼロ金利政策を解除し、9年半ぶりの利上げをすると発表しました。「蛇口を閉める」と表現されるように、市場から資金量を徐々に回収します。

 これで何が変わるのでしょう? まず、アメリカの銀行にお金を預ける人は利息が上がることになりますから嬉しいですね。逆にお金を借りている人は大変です。住宅ローンを組んでいる人なら経験があると思いますが、「変動金利」は、もともと借り入れの金利がお得に設定されています。その代わり、金利上昇の影響をそのまま受けてしまいます。
 またこんなケースもあるでしょう。リスクが高くても、リスクが高いゆえの高金利に魅力を感じて途上国で投資をしていた人は「アメリカの金利が上がるなら、リスクの高い投資はそろそろやめようか」と、途上国から投資資金を引き上げてしまうかもしれません。

 日本やEUはまだこれからですが、目指すのはアメリカと同じ、ゼロ金利からの「出口」です。

 お金を借りるとき、預けるとき、投資するときに「金利」は必ず付いて回ります。基礎知識があれば、例えば金利が高い債券があっても単純に「投資すれば得」と思うのでなく、理由を考えるようになれそうです。
 国の「金融政策」の要素もプラスさせて、身近なところでは自分の暮らし、大きくは日本や世界経済の先行きなどに、興味の幅を広げていきたいですね。

********阿部祐子(あべ・ゆうこ)プロフィール

ecomomエディター、ファイナンシャル・プランナー(CFP)。知っておくと暮らしに役立つ、生活とお金まわりの情報をご紹介します。

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