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あなたの勤め先は?「副業」解禁とその後

(2017/03/08)

 あなたや家族の勤務先では「副業」は禁止ですか? 「うちの会社では禁止のはず」と思った方は、もしかしたら今後、その規則自体が変わるかもしれません。

 政府の働き方改革の流れからしても見過ごせない「副業」解禁。世の中の動きとともに、チェックしてみましょう。

♪いまどきの「副業」は、単なる家計補助とはちょっと違う

 神戸市は年度はじめの4月から、職員の「副業」を解禁するそうです。例えば休日に非営利系の活動をする、ソーシャルビジネスを起業して報酬を得るなど、公共性のある仕事に限定した解禁です。

 その狙いは働き方の多様化のほか、外部での経験を積むことが、本業である「市民へのサービスの向上」につながることも期待しているようです。

 「副業」というと、飲食店でちょっとアルバイトをする、といった「家計補助」のイメージを持つ人もいるかもしれません。それももちろん副業なのですが、いまどきの「副業解禁」の向こうに見えるのは、政府がすすめる「働き方改革」です。

 長時間労働をやめる、自分のライフスタイルや年齢に合わせて、多様な働き方ができる・・・。お金を稼ぐだけではなく、本業と同時進行で、やりがいを持って収入にもなる、新しいキャリア形成のきっかけをつかむ。いまどきの「副業」はそんな意味を含んでいる気がします。

 ですから「副業」でなく、複数の仕事という意味で「複」業、と呼ぶ場合もあるようです。

♪「副業禁止」が多いのは「モデル就業規則」が原因だった?

 では、そもそも企業はなぜ、副業を禁止しているのでしょう? 半ば笑い話ですが、企業が就業規則を作る際に参考にする、厚生労働省の「モデル就業規則」で兼業・副業を原則禁止としているため、ひな形をそのまま流用することで「副業禁止」の会社が多くなっているのではないか、という声もあります。

 厚生労働省はこれを「容認する」様式に改めるように検討する、といった報道もあります。改定した後の「モデル就業規則」をそのまま流用した会社は、副業容認になるのかもしれませんね。

 もう少しまじめに(?)企業側の立場で考えれば、「副業をして、本業がおろそかになったら困る」「副業のほうに魅力を感じて社員に辞められたら困る」といった理由が思い浮かびます。

 大企業の場合は終身雇用制を原則に、社員に対して教育などの投資もしていますから、心配になるのは自然なことともいえます。

 しかし、長時間労働の是正などで残業時間が減っている今、残業代を「あるもの」として生活を成り立たせている人にとっては、残業時間が減るのは死活問題です。

 残業代で収入が減る分を補てんすることが、企業側にとって酷な話となるなら「副業を解禁しますので、収入を得るとともに、その経験を本業にフィードバックしてください」と、副業解禁に舵取りをする場合もあるかもしれません。

♪「副業」の人材募集をする企業も出はじめている

 こうした動向をビジネスチャンスととらえる企業も多くあります。もともと多様な働き方を推進してきたIT系企業、インターネットを使って仕事を受発注するサービスを展開する企業などは、早々に自社の社員にも副業を解禁し、その分野でも先頭に立とうとしています。

 すでに「副業」として働いてもらうための求人を出している企業も出ています。企業によってここまでの差が出ているのは大変興味深いことです。

 筆者は先日、そうした企業数社が共同で主催する、副業セミナーに足を運んでみました。多くの企業や社員が「副業って?」と戸惑っている中で、すでに企業内の制度として副業を導入し、副業をする社員からのフィードバックを上手に吸い上げている事例や、実際に副業と本業を両立している社員の言葉から、たくさんの気づきを得ました。

 印象的だったのは、副業の動機が「お金」でない人が多いということです。挑戦したいことがあるけれど、会社を辞めてまで挑戦する勇気がない、好きなことやスキルで人の役に立ちたい、など「やりがい」や「スキルアップ」といった新しい挑戦を副業で行い、そこにお金が付いてきたらいいなあ、というイメージです。

 「やりがい」といった言葉に、筆者はデジャブを感じました。筆者はビジネススキルをNPO支援などに無償提供する「プロボノ」活動を長年行っているのですが、「プロボノ」に参加するビジネスパーソンは、まさにそうした動機を持っています。

 「お金」を除けば得られる経験はかなり重なるので、ビジネスパーソンが副業に挑戦することは、プロボノ(ボランティア)活動のライバルになるかもしれません。

♪税金の問題など、クリアすべき課題も多いけれど

 企業が社員の副業に二の足を踏む理由には、複数の企業で働いた社員の社会保険料の負担や、労働災害が起きた場合に、前例がないため対応できないから、という理由もありそうです。社員側にしてみれば、複数の企業で働く場合の税の申告など、勤め先任せで済んでいたことを自分でしなければならない、面倒も発生します。

 しかし、当たり前に副業が選択できるようになれば、ルールも整い、制度も簡素化されていくかもしれませんし、複雑な制度をカバーするツールやサービスを提供する企業も出てくるでしょう。

 働き方改革の波に乗って、そのうち、ふと気付くと「副業禁止」の企業のほうが少数派になっているかもしれません。

 「副業」には、複数の仕事をどれもおろそかにしない、という自己責任がともないます。しかし、本業を守りながら、自分のやってみたかったことのトライ&エラーができる機会をチャンスととらえて、挑戦したいことをあたためておきましょう。

********阿部祐子(あべ・ゆうこ)プロフィール

ecomomエディター、ファイナンシャル・プランナー(CFP)。知っておくと暮らしに役立つ、生活とお金まわりの情報をご紹介します。

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