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教育無償化などの財源に?「こども保険」のアイデアとは

(2017/04/03)

 いよいよ新年度。子どもたちが進学進級した、というご家庭も多いと思います。学費や習い事など、出費がちょっと心配と思われている方もいるかもしれませんね。

 さて、年度末のニュースで「こども保険」という言葉が聞かれました。これは与党の若手議員から出てきた社会保障の新しいアイデアのようです。まだ「案」の段階ですが、知っておきたいポイントをまとめてみました。

♪社会保険料を上乗せして、教育無償化の財源とする案

 民間の保険会社が販売している、子どもの学資を貯めたりする保険にも、類似するネーミングがあるのでまぎらわしいのですが、ここでの「こども保険」は、子どもたちへの教育の財源に関する、社会保険料の意味です。

 私たちは「健康保険」「介護保険」といった「社会保険料」を給与天引きなどで払っています。それと同列でのイメージになってくると思います。

 具体的には、会社員などの勤労者と、会社など雇い主である事業者から徴収する「社会保険料」を上乗せして徴収し、それで集めたお金を財源に、教育無償化を実現していこうというものです。「こども保険」の上乗せ分は、勤労者と事業者それぞれ0.1%という案が出ています。社会保険料を負担する現役世代が幅広く負担しようというものです。

 あくまでも与党の若手から出た「アイデア」で、これから議論していくものですから、いつからはじまる、といったものではありません。

♪与党若手議員の「2020年以降の経済財政構想小委員会」の提案

 この提案は3月29日に、自民党の「2020年以降の経済財政構想小委員会」が提言しました。中心メンバーの小泉進次郎氏は同日、記者会見も行っています。

 そのなかで小泉氏は、国の借金である国債を発行することは子どもたちの世代に負担になるので、国債発行には否定的な立場を示し、「こども保険」は「子どもを社会全体で支えるとのメッセージを明確に伝える」政策であることを強調しています。

 提言によれば、勤労者と事業者が「こども保険」で0.1%ずつ負担すると約3400億円が確保でき、就学前の子ども1人につき5000円ずつ、児童手当を加算できます。

 さらに、段階的に引き上げて勤労者と事業者0.5%ずつにすると、約1.7兆円に。この場合では就学前の子ども1人につき2万5000円ずつの加算となります。

 ですから一般的な保育園、幼稚園の利用料から考えたとき、就学前の幼児教育、保育を実質的に無償化できることになる、というわけです。

♪社会保障は、立場による考え方の違いが問題になるけれど

 今回の提案をした「2020年以降の経済財政構想小委員会」は2016年に生まれました。国会で2015年度補正予算案に、低所得の高齢者に1人3万円の臨時給付金を支給することが決まったさいに、少子化対策もしなければならないのに、高齢者を優遇する政策が多すぎるのではないか、という若手議員の声が高まったのをきっかけに発足した会です。

 政府がすすめる「社会保障と税の一体改革」は2020年までのプランニングがなされていますが、その先を見ているという意味で「2020年以降」という言葉が使われているようです。少子高齢化問題などを中心に、社会保障制度改革の提言を行っています。

 「人生100年時代」をみすえた、子育て世代には納得できる内容の提言もあります。興味のある方は自民党のウェブサイトや、小泉進次郎氏のFacebookなどで提言や活動の内容を深めてみてもいいかもしれません。

 社会保障はどうしても、負担する側と恩恵を受ける側のバランスが問題になってきます。「こども保険」の提案も、現役世代のみの負担となることで「うちは子どもがいないのに負担するのはおかしい」「現役世代だけでなく、次世代のために高齢者も負担するべきではないか」といった、不公平をめぐる議論が起きてくるかもしれません。

 ただ、社会保障というものは、みんなが支え手であり、受け手にもなったときに支えてもらえるものです。金融商品を考えるときのような「個人の損得勘定」とは異なるものとしてとらえた上で、この国全体としてはどうなのかというバランスをみながら議論に参加する必要があるでしょう。

 個人的には「こども」とネーミングされた公的な制度が増えて、注意を集めるのは大変いいことだと思います。

 人数的に少数となっていく若い世代が委縮してしまうような、さびしい世の中にならないように、「次の世代」を大切にしているムードを高めていくことが大切だと思います。

********阿部祐子(あべ・ゆうこ)プロフィール

ecomomエディター、ファイナンシャル・プランナー(CFP)。知っておくと暮らしに役立つ、生活とお金まわりの情報をご紹介します。

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