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ecomom2017特別レポート 暮らしと地球環境のつながりを知り未来のために考え実践する力を育む 小学5年生と保護者の『夏休み親子チャレンジ』開催

(2017/07/28)

DAY-1 カレーと川崎市、そして地球環境のつながりとは!?

 この夏、川崎市内の小学5年生13人とその保護者が、『食とくらしがつくる地球の未来 みんなでいっしょに考えよう~夏休み親子チャレンジ~』(食とくらしのサステナブル・ライフスタイル研究会、川崎市主催)に取り組んでいます。

 これは、工場見学やワークショップなどを通して、環境課題と自分たちの暮らしとのつながりを知り、よりよいライフスタイルを自ら考え実践する力をつけてもらおうという環境教育プログラムです。

 活動は全3回。参加した子どもたちは、何を感じ、どう変わっていくのでしょうか。その第1回が、7月22日に「ミューザ川崎」で実施されました。さっそくレポートします。(取材・文=松田慶子、写真=北山宏一)

(活動概要)
 「夏休み親子チャレンジ」は、味の素、花王と、環境・CSRコンサルティングのイースクエアとが2011年に設立した「食とくらしのサステナブル・ライフスタイル研究会」と、環境先進都市である川崎市の主催による、体験型環境教育プログラムです。運営に当たるのは、NPO法人ビーグッドカフェと一般財団法人グリーンクロスジャパン。行政と、地域内で事業を行う企業が連携し、地域ならではの環境教育プログラムを開発・提供するという、新しい取り組みです。

 全3回のプログラムには、洗剤や食品の工場見学、環境についてのお話、ワークショップにクイズ、さらに、夏休み全体を通して、環境日記をつけるといった、多彩な活動が盛り込まれています。その目的は、子どもたちが日々の暮らしと環境課題とのつながりに気づき、その解決に向けた暮らし方を実践していく力をつけてもらうこと。そして保護者はその実践を応援し、親子で新たなライフスタイルに変えていくことをめざしています。

各自が在籍校と、「川崎のここが好き」を発表します。子どもたちに人気が高いのは、自然に触れることができる生田緑地や等々力緑地。歴史スポットの名前もあがりました

 『夏休み親子チャレンジ』DAY-1に集まったのは、市内各地の小学5年生とその保護者です。ほぼ全員が初対面同士。最初は、みな緊張した表情で席に着きました。

 開会式と自己紹介に続いて、川崎市全域が写った大きな航空写真の中から、環境に関係した施設を見つけようというゲームに挑戦しました。3つのチームに分かれ、それぞれ「水」「エネルギー」「ごみ・資源」に関連した施設を探します。

 多摩川沿いに伸びる細長い川崎市の写真から、1つ1つの施設を探すのは大変では…、と大人が思っているそばから、「これは海のほうだよ」「あ、それはこっち」と、次々に発見する子どもたち。さすが川崎っ子、地域の特徴を理解しています。ゲームが終わるころには、すっかり打ち解けた雰囲気が生まれていました。

今年、人口150万人を突破した川崎市。その全容を写した航空写真から、川や緑地を手掛かりに水処理センターや発電施設などを探していきます。ゲームを通し、だんだん表情もほぐれていきます

ポテチを例に自然循環と暮らしの関係を理解

 最初のプログラムは、イースクエアのコンサルタントである、エクベリ聡子さんのお話、「地球規模の環境問題からポテトチップスまで」です。

 「現在、地球全体の平均気温が、昔に比べて1度くらい上がっています。このままでは、もっと上がってしまいます。1度上がった今、何が起こっているかな? 大雨が降ったり、干ばつが起きたり、極端な気象現象が起こっていますね。ポテトチップスの製造量も減ったというニュース、おぼえていませんか?」とエクベリさん。「実は昨年、北海道に大雨が降って畑が水浸しになり、ジャガイモの収穫量が減ってしまいました。これも地球温暖化が関係しているといわれています」

 このまま気温の上昇が続くと、ほかにも身近な食べ物が食べられなくなる可能性がある、と説明します。

 「一方、地球には500万種類の生き物がいます。それらはみな、関わり合いながら生きています。例えばアフリカのゾウは、1日150~200㎏の植物を食べますが、フンとして種子を落すことで森を育ててくれ、その森は空気を作ってくれています。循環という言葉を知っているかな? 太陽が植物を育て、植物を草食動物が食べ、それを肉食動物が食べて、やがて肉食動物が死んでしまうと、それが微生物に分解されて土にかえり、また植物の養分となるんです。私たちもその循環の中で生きています。でも、循環の中でごみを出すのは人間だけ。人間以外の動物のごみ問題って聞いたことないですよね?しかも人間は、もともとは自然の循環の中にはない、石油やガスなどを地下から掘り出して使っている。そして地球の気温を上げてしまっています。だから、人間が循環の中で暮らさなくてはいけないのです」

 子どもたちは、熱心に聞き入っていました。

 「ゾウがそんなに植物を食べると知ってびっくりした」とは、つむぎちゃんです。DAY-2の工場見学を楽しみにこのプログラムへの参加を決めたそうですが、「ゾウが森をつくることや、いろいろな生き物がつながっていることが分かった」と、早くも発見があった様子です。

 また、地球温暖化がさまざまな問題を生み出していることに気づいたのは、けんとくんです。もともと社会科が大好きで環境問題にも詳しいけんとくんですが、「やっぱり人間が地球を破壊しているんだと思った」と、問題意識を新たにしたようです。

エクベリさんは、お話の途中でいろいろな質問を投げかけます。「72億って、何の数字だかわかる?」「温暖化で何が起こる?」。“環境について学びたい”と参加しただけあって、子どもたちは積極的に答えます。しかも知識が豊富で、エクベリさんが「よく知ってるね!」とびっくりする光景も

カレーが食べられるのは何のおかげ? みんなで考えよう

 続いてチームごとのワークショップ、「カレーから考える、家のエコ!」に取り組みました。

 「みんなが大好きなカレーを食べるには、何が必要?」。サポーターの呼びかけに応えて、思いついたものをカードに書いて、模造紙に貼り付けていきます。

 じゃがいも、にんじん、お肉。子どもたちから次々に材料が飛び出します。でもそれだけではカレーはできません。「調理道具もいるね」とのサポーターの声かけに、包丁、まな板、鍋をリストアップしていきます。さらにガスも水も使うし、食べるにはお皿やスプーンも必要。食べ終わったあとには食器を洗うし、ごみも出るから、洗剤、スポンジ、野菜くず…。どんどん増えていきます。

 リストアップしたら、それを材料、調理器具など、仲間ごとに分類し、カードを貼り直していきます。カレーに思いがけないほど多くのものが関係していることに気づき、「いっぱいあるね~」という声も聞かれました。

カレーを作って食べるために必要なものはなに? 材料を次々に答える子どもたち。やがて、食卓が自然の循環や地下資源につながっていると気づきます

 一方、保護者たちは別コーナーに移動し、エコへの取り組みについて話し合いました。参加理由については、「子ども自身が環境に興味があったから」「工場見学が好きだから」のほかに、「私自身が環境問題に関心があって、子どもを誘いました」の声もちらほら。また、ほとんどの人が、暮らしのなかでごみの分別や節電など、環境に配慮した行動をしているといいます。ただし、家族で環境について話すことはある? という質問に、「ある」と答えた人は半数以下。親子でエコに取り組むことは、多くの家庭にとってこれからの課題のようです。

子どもたちがカレーについて考えている間、保護者たちは味の素グローバルコミュニケーション部CSRグループの長谷川泰伸さん(写真左)、花王サステナビリティ推進部の柳田康一さん(写真中)の司会で、エコについて意見交換をしました

自分のまち、川崎市の水と資源のつながりを知る

 次は川崎市環境局地球環境推進室の宮川潔さんによるお話「川崎市と家のつながり」です。

 川崎市の水についての説明の中で、宮川さんからクイズが出されました。

 「そもそも、地球が直径75センチメートルのバランスボールの大きさだとすると、地球上で使える水は、どれくらいあるでしょう。ヤシの実、オレンジ、プチトマト、アサガオの種のうち、どれかな?」

 保護者も首を傾げます。

 「ヤシの実かな」とは、みよちゃんです。「せめてヤシの実くらいはあって欲しい!」という言葉に、周囲にいた大人も思わず「本当だね」。でも答えはなんと、アサガオの種。地球上にある水はほとんどが海水で、飲んだり生活に使ったりできる水は、その0.01%しかないのだそうです。だからこそ大切に使わなくてはいけないのだと、子どもたちも納得!

「地球がバランスボールだとすると、使える水はアサガオの種1個分しかありません」。宮川さんの言葉に、保護者席からも「えー!?」の声が

 「川崎市では、相模湖などの水源から水を引き、長沢浄水場などで浄化して家庭に届けます。家庭から出た排水は、それぞれの地域の水処理センターできれいにして多摩川や海に戻します。一方ごみは、環境への影響がより少ない鉄道で処理センターまで輸送をしているのが、川崎市の特徴です。可燃ごみは処理センターで焼却し、焼却灰は埋め立て地に運んで、余熱は温水プールなどに利用します。エネルギーに関しては、川崎は大規模な太陽光発電事業に参加しています」と宮川さん。

 川崎市の水、ごみ・資源、エネルギーの流れに関する宮川さんの説明を聞き、子どもたちは先の「カレーから考えるつながりの図」に、水やエネルギーの流れを書き加えます。また川崎市の分類ルールに従って、カレーを作ったあとのごみを分別してみました。

「川崎市のごみの鉄道輸送のことを始めて知った」と、かんたろうくん(写真左)。「使える水が少ないなら、海水の塩を取り除いて使える水にするといいのでは」というアイデアも。おうちで食べるカレーがごみ・資源、水やエネルギーとつながっていることに「そうか!」と、ゆうたくんとひなぎちゃん(写真右)。思わずうなずいてしまいます。

 こうして一連の作業を終え、改めて図を眺めることで、「カレーを食べる」というごく日常的な行為の背景に、川崎市という行政の取り組みや環境への配慮があり、そのさらに先に自然循環の恩恵があることを、子どもたちはイメージできたようです。

 「いろいろな環境問題を知ることができたし、新しい発見もあって面白かった」と、みよちゃん。早くも興味が広がったようです。

 最後に今日の活動を振り返って、この日は終了。次回まで毎日、環境日記をつけることと、エコを意識してカレーをつくってみること、という宿題が出されました。

 次回は8月9日、味の素と花王の川崎工場見学です。

2017年の「夏休みチャレンジ」はこちら

2016年の「夏休みチャレンジ」はこちら

7月22日の夏休み親子チャレンジの様子がこちらでも紹介されています。
http://begoodcafe.com/news/challenge2017/
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