クローズアップ

【Design of the Month】: 2015年8月号

注目集まるハンドメードマーケット

モノづくり

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「宇宙ガラス」は耐熱ガラスをバーナーで溶かし、金や銀の粒子を気化させて吹き付けながら形を整えていく。ガラスの中に封じ込めた人工オパールが、まるで宇宙に浮かぶ惑星のように見える。直径2cm前後のものはペンダントトップに。写真の作品の価格は3万4800円(税別、以下同じ) (写真:谷本隆)

 インターネットを通じて個人がハンドメード作品を手軽に販売できるマーケットプレースが注目を集めている。その先駆けとも言える米国の「Etsy」は2005年に誕生し、2015 年4月、ナスダックに株式公開を果たした。国内でも2011年頃から関心を集めるようになり、複数のサービスが相次いで立ち上がった。2013年にはNTTドコモも「d クリエイターズ」の名称で参入。今、注目のサービスと言える。

  これらのハンドメードマーケットが扱うジャンルはアクセサリーやファッション、雑貨など幅広く、高いクオリティーを持つ作品も少なくない。「minne 」や「tetote」「iichi」などの国内大手ハンドメードマーケットでは、数十万品もの作品が販売されている。

 大手ハンドメードマーケットの中で、特にリアルのイベントに力を入れているのが、2010年にスタートした「Creema 」だ。2013年からは毎年、東京ビッグサイトで「HandMade InJapan Fes」を開催。日本各地から2000人以上のクリエーターが参加し、それぞれのハンドメード作品を展示販売する。同イベントの来場者は2013年に2万6000人、2014年には3万2000人を数えた。201 年は7月25日、26日に開催する予定で、参加クリエーターの数はおよそ5000人、来場者は5万人を見込む。「日本最大級のクリエーターの祭典」をうたうこのイベントに百貨店などのバイヤーも注目し、足を運ぶという。

リアルイベントで消費者と接点

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宇宙ガラスは手作りなので、同じものは2つとない。中に入れる人工オパールの種類や、吹き付ける金属の種類によって出来上がりが千差万別。見る角度や光の当て方によっても印象がまるで違ってくる。価格は左から未定、3万4800円

  同イベントで人気のクリエーターの1人が、「宇宙ガラス」を制作している戸水賢志氏だ。宇宙ガラスは耐熱ガラスを使ったアクセサリーで、2014年のイベントでは戸水氏のブースに長い行列が出来た。Creemaのサイトでも販売しているが、作品を30個制作してサイトにアップしたところ、1分もしないうちに全部売れてしまったこともあるほど根強いファンがいる。

  複数のハンドメードマーケットがあるなかで、戸水氏がCreemaで作品を販売するようになったのは、この大規模イベントに魅力を感じたからだという。「もともと、インターネット販売は難しいと考えていた。写真をきれいに撮ることも難しいし、リアルの店舗に一部、委託販売をしているが、制作者自身がきちんと商品説明をしないとなかなか売れるものではない。その点、イベントは顧客と直接対面して、丁寧に説明できるのがメリット」(戸水氏)。

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直径5cmを超える大きな宇宙ガラス(写真右)もある。価格は8万円

  同じく人気クリエーターの1人、モリタ製パン所の森田優希子氏の作品は、本物のパンを使って制作した照明「パンプシェード」。森田氏も、「自分の作品を1つひとつ実際に見て、触って、選んでもらいたい」という気持ちが強いという。だからこそ、「リアルイベントに力を入れているCreemaを選んだ」。

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モリタ製パン所の照明「パンプシェード」は、本物のパンの中をくり抜いて乾燥させ(中身は捨てずに菓子などに加工)、樹脂コーティングを施した後、内部に電球ユニットを組み込む。こちらも1つとして同じ形状のものはない。左端から「プチブール」4500 円、「ブール」8500円、「バタール」9500円、「クッペ」4500円

 森田氏の場合、HandMade In JapanFes への出展をきっかけにバイヤーから声がかかり、東京・渋谷の商業施設「ヒカリエ」をはじめ関西、九州の商業施設との取引へとつながった。ハンドメードマーケットプレースを通じて新しい才能が発見され、飛躍する──そんなチャンスが確実に増しているようだ。

(花澤裕二)

この記事は日経デザイン2015年8月号の一部です。もっと読みたい方はこちら