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TAKT PROJECTがSwarovski Designer of The Futureを受賞

吉泉 聡 TAKT PROJECT代表に聞く

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今回受賞をした吉泉 聡氏 (写真:角尾舞)

 東京を拠点に活動するTAKT PROJECTの吉泉 聡氏が、Swarovski Designer of The Future 2017に選ばれた。これは国際的なデザイン見本市Design Miami/(デザイン・マイアミ)が次世代を担うデザイナーに与える賞で、今年で11回目。審査委員会が現在活躍する世界各国のデザイナーから選出する。過去にはMax LambやStudio Swineのほか、2017年のミラノサローネでアウディとのコラボレーションで話題となったサウンドアーティストのスズキユウリ氏が受賞している。

3Dプリンターで“光”を造形

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TAKT PROJECTの作品「Ice Crystal」 (写真: Mark Cocksedge)

 選ばれたデザイナーは、オーストリア・スワロフスキー社と共に同社のクリスタルを用いた作品を制作した。それらの作品は、スイス・バーゼルで開催されたDesign Miami / Basel 2017(2017年6月13日~18日)で発表された。

 吉泉氏の作品タイトルは「Ice Crystal」。「霜柱」をイメージした作品で、異なる方向に突き出た筒状のクリスタルガラスを組み合わせている。これらは、3Dプリンターで出力しており、並べると霜柱が立ち上がったかのような光景が表れる。「短時間で実現できる3Dプリンティングという造形方法を、一晩にして表れる霜柱の姿に重ねた」と吉泉氏は語る。使用した3DプリンターはイスラエルのMICRON3DP社製で、同製品を使うことが今回の作品制作の要件となっていた。

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近づくとFDM方式の3Dプリンター特有の積層痕が見えるが、デザインの一部として取り込んでいる (写真:角尾舞)

 今回のプロジェクトは、受賞者がオーストリア・ワッテンにあるスワロフスキー本社を訪問し、一般には非公開の工場見学をするところからスタートした。「本社の技術者たちと話すなかで、スワロフスキーにおいてモノをつくることは、光をつくることなのだと感じた。長い歴史を持つこの企業が、3Dプリンターを使う意味から考える必要があった。そして、技術が新しくなったからこそ生まれるストーリーの延長線を想像し、光をプリントするイメージでデザインした」と話す。

 使用したのは、液状にしたガラスを細く積み上げて成形する、熱溶解積層(FDM)方式の3Dプリンター。造形物に残る積層痕は、素材に樹脂を用いる場合には磨いて消すことが多い。吉泉氏は今回の作品でガラスが層状に積み重なる様子を、氷が少しずつ覆い重なって生まれる霜柱の成長過程に見立て、デザインに生かした。積層痕に合わせ、縦方向にも作った細かい凹凸により、光が乱反射する。このような細かいサーフェスの処理は3Dプリンターならではである。まばゆい光でキラキラと輝くこれまでのスワロフスキーとは違う、おだやかに光を拡散させる、氷のようなオブジェクト。「新しい技術で、新しい光をつくる」。これが吉泉氏の目指したものだった。