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3億人の中国農民工 食いつめものブルース

山田 泰司 著
発行日:2017年11月13日
定価:本体1,800円+税
ISBN:978-4-8222-5855-9
四六判、272ページ
発行:日経BP社
発売:日経BPマーケティング

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3億人の中国農民工 食いつめものブルース

貧しくても、学歴がなくても、田舎者でも、希望を胸に生きてきた。
けれど、繁栄から取り残された――。
磐石の習近平政権を、絶望した3億人の農民工たちが揺さぶろうとしている。
これは、今まで誰も描くことのなかった、『中国版ヒルビリー・エレジー』だ

本書の紹介

プロローグ 食いつめもの
余裕がなくなる大都市/農業の年収は三万二千円/農民工の四人に三人が中卒以下


■1章 希望(五輪・万博)

[1] 留守児童
八百八十円が払えず中学中退/誘拐犯に間違えられて/女性と子供と老人ばかりの村/「ダサくて貧しい農民の息子は進学なんて無理」/戸籍が引き裂く親子/留守児童にすらなれない子供/留守児童との約束/つながらない電話の理由/再会/五人中二人が中学中退/「ボクのことを覚えていてくれて、ありがとう」

[2] ウエートレスの供給地
大勢いるのに見えない人々/安徽省への罵詈雑言/若者たちの寂しい達観

[3] 鶏肉に翻弄される人生
端数をおまけできた余裕/安くてとびきりうまい店の消滅/北京五輪と上海万博がもたらしたもの/開き過ぎた格差/スーパーは逃げられない/存在したモラル/希望は残っていた

[4] ユニクロの花嫁衣裳
中国農民にとってのユニクロ/十五歳で社会に出た新郎/「ユニクロなら絶対にある」/臨月の妻を優しく包んだ真紅のダウン

[5] 衝突で分断を融和できたころ
曽野綾子氏の出稼ぎ論争と上海/「犬と中国人入るべからず」の今/上海人だらけのアパート/中国人の間でも存在する労働移民の構図/アジア人同士でもラクじゃない/排他的な上海人が変わり始めた理由


■2章 爆買いとPM2.5

[1] 青空は戻り出稼ぎは去る
廃品の値段が急落した理由は大気汚染/姿消す貧民街と農民工の住み処/格差はあったが嫉みはなかった/追い込まれ面子捨てた男

[2] ゴーストタウン
「爆買い」の裏で増殖するゴーストタウン/物差しはアジア金融危機とリーマンショック/ゴーストなのにさらにマンションを建てる町/「資産価値のないマンションなんて誰も買わない」/AIIB推進・金融緩和の背景は内需不振/中国のパリに生じた変化/活気ない建設ラッシュ/農村の婚礼需要にも限界

[3] シングルマザーの苦悩
シングルマザーなのに子供を持てない矛盾/野犬が吠える廃墟の町に住む母と娘/入浴できずゴワゴワの髪をした三歳児/いくつになっても賃金は最低/シングルマザーの罰金で一気に生活苦に/不平等な罰金/母も娘も一人っ子違反/訪日爆買いと転売/哀しきリカちゃん人形


■3章 異変

[1] 社長はホームレス
ホームレスになっていた友人/廃品回収業の困窮/ガン多発地帯に生まれて/ロスジェネ世代の生きる選択肢/「廃品回収の仕事が好きなんだ」/二百万円投資してエステのオーナーに/生まれながらの格差

[2] 家政婦が見た異変
日本人の想像を絶する中国人の爆竹好き/「自首」「通報」町に溢れる寒々しい言葉/農村に溢れる習近平夫妻のポスターの意味/急減した仕事/「仕事を奪われるの怖い」。帰省できない出稼ぎ層/強引な政策は危機感の表れ

[3] 昼の町に立つ女たち
中国には路地裏が存在しない/城壁文化廃止の論争/昼日中の都心に大量出現した街娼の衝撃/共産国の風俗営業/アフリカ出稼ぎと街娼の共通点


■4章 夢の国と夢の死(ディズニー)

[1] 用済み
「今度こそもうダメかもしれない」/仕事が減り始めた/万博とディズニーに夢を見た/急騰する郊外の家賃/園児集団消滅の衝撃/地方出身者を追い出しにかかった上海

[2] 新幹線はできたけれど
ドブ油で作ったマーガリン/「カネがないやつはロウソクを食え」という峻烈/トウ小平のフランスパンは三十年で農村へ/就業機会は増えているが/生きがい取り戻す中高年/低すぎる収入に若者はUターンに二の足

[3] マイカーと便器
便器がむき出しになった部屋に住む/浮き彫りになる「農民内格差」/住まいに不釣合いなクルマ/バブル期の日本との共通点と危うさ/敗残感漂う家よりも贅沢な車内が購入に走らせる/近くて、とてつもなく遠い上海ディズニーランド

[4] ドブネズミの共食い
百万人が地下に住む/地下室ビジネス参入の条件/「共食い」の葛藤と現実の選択/個人の利益の最大化/逃げ出すエリート


■5章 彷徨

[1] 立ち尽くすシン・ゴジラ
怒るゴジラ、怒らない人間/不公平・理不尽も「仕方ない」ですませる中国人/都会からポイ捨てに遭う農民たち/上海を食い詰め新天地へ/新天地でも食えなかった/展望なき上海帰還/無職なのに中国礼賛のワケ

[2] さまよい出す
「家は住むものじゃない」とうそぶく庶民/狂乱の上海不動産バブル/給料が頭打ちになった農村出身者/居場所失う農民たち/日本を目指す中国の農民たち

[3] EXILEと中国の農民
EXILEのあだ名は「民工団」/問題のすり替えと差別/硬派記事を装った官能小説


■6章 初めての海

本当の理由は農民工の追い出し/一夜にして億万長者/窓のない部屋は卒業したが/SNSで運の悪さを嘆く/最後の家も廃墟


エピローグ 農民工たちはどこへ行くのか
セットアップスーツに鶴嘴/存在する圧倒的な格差/両親が餓死、の衝撃/同じ世代、異なる背景/春節の夜の日本風チャーハン/寛容な心の限界/夢から覚め奔流になる農民工


あとがき

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