日経ビジネス 別冊書籍・ムック・増刊のご紹介

馬場 燃 著
四六判、256ページ
発行日:2015年6月23日
定価:本体1,500円+税
ISBN:978-4-8222-7918-9
発行:日経BP社
発売:日経BPマーケティング

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黒霧島物語/宮崎の弱小蔵元が焼酎王者になるまで

「黒霧島」はなぜ日本一の焼酎になったのか?

500年の伝統産業である焼酎業界において、1998年発売の芋焼酎「黒霧島」を武器に、全国トップの酒蔵になった霧島酒造。宮崎県第2の都市、都城市を本拠とする霧島酒造は創業100年の歴史を誇ります。ところが、芋焼酎では本場の鹿児島県の薩摩酒造が造る「さつま白波」の後塵を拝し、麦焼酎でも後発メーカーの大分県の三和酒類の「いいちこ」に追い抜かれます。宮崎県では6割のシェアを握る酒蔵であるにもかかわらず、1990年代までは県外で誰も知らないマイナーな酒造会社の1つでした。

ところが3代目に代替わりすると、快進撃を始めます。2代目の先代社長は品質にこだわるあまり、営業があまりにもおろそかでした。そこで、まず都会でも受け入れられる「芋臭くない」という画期的な芋焼酎「黒霧島」を開発し、九州最大都市の福岡を皮切りに、広島や仙台の中規模都市でのドブ板営業を進めました。結果、今や東京のコンビニや居酒屋に「どこにでも置いてある商品」として広く認知されました。

背景には、知られざる営業の努力や生産革新、大規模な設備投資があります。現在は年商600億円強に達し、売り上げをデフレ下で7倍伸ばしました。そんな中小企業は、実は日本にほぼありません。老舗酒蔵がどう再生し、なぜ日本一になれたのか。その全過程を描きます。

本誌の紹介

【序 章】デフレ時、驚異の売上高7倍達成

 黒霧島、南極観測隊の癒やしに
 デフレの時代に驚異の売上高7倍達成
 トヨタ自動車やキヤノンに負けない収益力
 黒霧島は地方創生の理想的な姿
 都城市は霧島酒造と連携して成長

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【第1章】都城、そして江夏家の歴史

 島津家発祥の地である都城
 中国から漢学者・江夏七官が漂着
 1年余りで歴史を閉じた「都城県」
 1916年に芋焼酎の自社製造開始

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【第2章】2代目の徹底的なこだわり

 終戦後、秀才の江夏順吉が帰郷
 1949年、法人免許による霧島酒造を新設
 「焼酎造りは難しくない。簡単な作業」
 芋の品質が悪く、うまい焼酎ができない
 発酵タンクの容量を一気に30倍拡大
 黒麹から白麹への転換
 井戸水の掘り当てに成功
 深刻な人手不足が露呈
 1970年代「第1次焼酎ブーム」
 ライバル躍進の一方で成長足踏み
 ブレンド業務の虜になった順吉

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【第3章】のしかかる「六重苦」

 3代目社長に江夏順行が就任
 未開拓の地、福岡を攻める
 「売れない」ストレスで入院
 二頭体制の経営に移行
 「六重苦」の経営環境
 九州焼酎戦争と伸び悩みの危機感
 県外で急成長した雲海酒造の後手に
 焼酎はサブの飲み物という仮説

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【第4章】「黒霧島」の誕生

 「黒の芋焼酎」開発を特命チームに託す
 新商品のイメージは「黒麹でもう少しコクと甘みのある焼酎」
 固定概念を覆す「黒霧島」が誕生
 役員会では猛反対の集中砲火
 宮崎県庁の女性が「黒霧島、おいしいですね」

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【第5章】決戦、福岡

 すべての経営資源を「黒霧島」に投入
 「トロッとキリッと黒霧島」
 「ハローレディー」が全店訪問
 無料サンプルを朝の駅で配布
 「新しい商品なので、飲んでもらうしかない」
 元旦も無料の振る舞い酒
 義理と人情の営業マン
 民放番組で「黒霧島」を絶賛
 創業以来初めての二桁成長
 「赤霧島」も限定販売

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【第6章】芋不足という大試練

 需要が急激に伸び出荷調整を決断
 芋焼酎ブームで何でも売れる時代に
 大試練を乗り越える覚悟
 海を越えた芋焼酎ブーム
 芋焼酎はどこでも造れることを証明
 原料不足で中国産の冷凍芋を輸入
 霧島酒造は国産冷凍芋に活路
 通年生産実現と農家の囲い込み
 病気がないか芋の品質管理を徹底
 麹に使う米も国産に切り替え

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【第7章】大型投資の決断

 大型工場の設備投資に意見が対立
 大手自動車メーカーを辞め都城に移住
 コンサルティング会社に叱責される
 売上高200億円で100億円の投資は可能か?
 大型設備投資の敢行に覚悟決める
 麦焼酎「いいちこ」の背中が射程圏内に

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【第8章】東京進出と、悲願の焼酎業界トップの座

 出荷調整でも東京の販売量11%増
 時間をかけたからこそ成功
 悲願の焼酎業界トップの座
 「いいちこ」再生と新商品開発
 ベテラン社員が語り始めた敗軍の弁
 芋臭さを抑えて打倒「黒霧島」
 「黒霧島」は流通網の変革を捉えた
 リテール産業が利益商材として扱う

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【第9章】若者たちが担う「黒霧島」

 学生の志望動機は「日本一の会社だから」
 年収低くても余裕のある地方生活を選択
 地方の成長企業の方が楽しそう  松田莉慧(企画室勤務27歳)
 都城は北海道や岩手県に比べ田舎ではない  仲村憲治(企画室勤務29歳)
 飲み会では役員と恋愛相談  吉田しおり(管理本部勤務27歳)
 関西からバイクで都城に就職活動  尾﨑圭晃(研究開発部勤務26歳)
 霧島酒造は今後伸びるベンチャー企業  大久保昌博(企画室勤務27歳)

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【第10章】1000億円企業への道筋

 霧島でしか造れないストーリーを大事に
 ナンバーワンブランドとして進むべき道
 北海道でも固定客が増える公算大
 シロキリ、クロキリ、アカキリの3本の矢
 焼酎はもっと女性に飲んでもらえる
 ある中国人社員の数奇な物語
 オレンジ色をした新品種の芋
 開発7年で評価を得た女性向け「茜霧島」
 身体に優しい健麗酒シリーズ
 中国・大連でも「黒霧島の売れ行きが最も良い」
 2020年までに1000億円企業目指す
 原料確保が最大の課題
 「片田舎の人間にも奇跡を起こせる」

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【第11章】「黒霧島」とともに走る都城市

 都城に関心を持ってもらう「つかみ」は何か
 地方創生の「目的」を果たすために連携
 ふるさと納税は4カ月で4億円
 霧島酒造が域外からヒトを呼び込む力
 全国2位の出生率で人材創生都市目指す
 都城の人口は50年前と変わらない
 「産業誘致型」と「産業開発型」の発展モデル
 目指すは南九州のリーディングシティ

〔解 説〕地方創生の本筋はやはり「黒霧島」のモデル
 元総務相・元岩手県知事 増田寛也

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