リコーはデータ分析を行う専門組織を2年後をメドに、50人規模と現在の2倍に拡大する。顧客がビジネスで日々利用している複合機から得られる稼働データなどを基に、提供する製品やサービスの質を向上させることで、自社の事業や経営の競争力を強化する狙いがある。

 リコーの近藤史朗会長は悩んでいた。主力のデジタル複合機の事業は日米欧の市場で成熟化しており、顧客のニーズをこれまで以上に把握し革新的な製品やサービスを打ち出すことが喫緊の課題となっている。リコーは複合機で世界のトップ企業であるが、コマツ、楽天、アマゾン・ドット・コムといったデータ活用の先進企業に比べると、全社のデータを生かしているとは言えない。「社内に様々なデータが蓄積されているはずだが、有効に活用できていないのではないか。それぞれの数字には意味があり、説明できるようにならなければいけない。もちろん経営としてもだ」(近藤会長)。

複合機市場は先進国を中心に成熟化している

 こうした思いから近藤会長は社長だった2012年秋、業務改革を担当するプロセスイノベーション本部の佐藤敏明・副本部長を呼んだ。社内に本格的なデータ分析・活用組織を立ち上げる可能性を探るためだ。

 佐藤氏は、コンピュータ支援によるものづくりを支援するデジタルエンジニアリングセンターの所長も務めた人物。「データを分析・可視化するだけでなく、いかにして実業に生かすのかが肝である」(佐藤氏)ことを痛いほど理解している。

統計・IT・ビジネスの分析人材を束ねる

 佐藤氏が室長として2013年4月に立ち上げたのは「データインテリジェンス推進室」。当初3人でスタートし、現在は兼務も含めて総勢約25人の組織となった。

 まず取り組んだのが、分析の専門人材であるデータサイエンティストの確保である。これまではそれぞれの担当者が独学でノウハウを身につけて、各現場のデータを分析していた。ただ、それぞれの担当者のデータ分析の能力にバラツキがあった。さらに導入される結果の解釈も異なっていたため、部門やグループ横断でのデータ活用が進まなかった。

 データサイエンティストはリコーの業務を理解している社内から登用する方針を立てたが、「統計、情報技術、ビジネス活用のすべてに長けた“スーパーデータサイエンティスト”は社内にいなかった」(佐藤氏)。そこで、それぞれの分野に強みを持つ社内の人材を指名し、各メンバーが連携しあい組織として力を発揮する体制とした。

 現在、データサイエンティストは約10人の体制だが、早ければ2年後に倍にする。全体としては約50人の規模となる。現在は、統計の基礎的な手法の勉強会や、データ分析事例の発表会などを開催することで、知識の共有や連携の強化を図っている。今後、教育・研修についても強化していく考えだ。

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著者プロフィール

シリコンバレー支局

市嶋 洋平

日経コンピュータ、日経コミュニケーション、日経新聞などを経て、2012年11月にビッグデータ・プロジェクトを立ち上げた。企業のデータ活用促進やデータサイエンティストの人材育成などに取り組む。

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