データ市場

地方自治体がオープンデータ利活用に力を入れる訳

世界規模のオープンデータイベント、国内の参加都市は昨年の約4倍

2014.02.24ライター 鈴木 恭子、市嶋 洋平

オープンデータ 公共

行政機関や自治体が保有する公開情報「オープンデータ」を活用し、新たなサービスやアイデアを披露するイベント「インターナショナル・オープンデータ・デイ」が2月22日、世界約110都市で同日開催された。日本国内でもオープンデータ活用熱の高まりを反映するように、昨年の約4倍となる33都市が参加した。

横浜市政策局政策部政策課担当係長の関口昌幸氏

 地方自治体がオープンデータの利活用に力を入れる理由はどこにあるのだろうか。横浜市は昨年に続き2回目の参加となる。同市政策局政策部政策課担当係長の関口昌幸氏は、「誰にどんな情報が必要なのかを理解しているのは、“現場”を持っている地方自治体。横浜市はNPO法人も多く、産官学民の交流も活発だ。オープンデータの利活用の下地が整っている」と語る。今回、横浜市でのイベント運営主体となった横浜オープンデータソリューション発展委員会の設立は、2012年12月だ。政府がオープンデータについてのアクションプランを公表するよりも1年早い。

 関口氏は、オープンデータ活用に取り組む目的を「行政の広報活動の変革」「市民参加型の課題解決の実現」「地域経済の活性化」だと語る。「オープンデータとNPO法人や企業が所有する情報をマッシュアップし、社会全体が抱える課題を可視化して、産官学民で解決策を考える。オープンデータはそのための『プラットフォーム』の役割を担う」というのが、関口氏の考えだ。

 当面の目標は「オープンデータが市民生活に役立つ」と実感されるような具体的成果を上げること。すでに高齢化が進んだ団地の再生プロジェクトを進めているという。

横浜市山下公園内にある「大さん橋CIQプラザ」で行われた「ハッカソン」の風景

 今回の横浜市のイベントでは、神奈川県内の自治体や教育機関をはじめ、横浜市内の中堅・小規模企業、子育て支援のNPO、マイクロソフトなど17の団体が参加。参加者は150人に上り、「日本国内で最大級規模」(横浜オープンデータソリューション発展委員会)となった。

 横浜会場では、オープンデータを活用し、子育てや防災対策などの社会的課題解決を支援するアプリやWebサイトを作成する「ハッカソン」、2020年の東京五輪に向け、都市発展戦略を考える「アイデアソン」、AR (拡張現実)技術を用いたモバイル端末専用アプリを利用し、昔の風景写真と現在を見比べつつ横浜大桟橋周辺を散策する「AR歴史街歩き」などのワークショップが開催された。

東京では広報誌をオープンデータ化

 東京では、都内の千代田区、中央区、足立区、中野区など合計8区の広報担当者など約80人が集まった。自治体の広報誌のデータをオープンデータ化することで、新たな活用方法を生み出すことができないかどうかを議論した。

 広報誌は組み版された紙やそれをPDF化したデータで公開するのが一般的だが、掲載しているコンテンツを各項目ごとに分離。インターネットからAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)経由で取得できると仮定して、アイデアハッカソンが進められた。

 例えば、住民に興味のある分野の情報だけを絞り込んで配信したり、住民の勤め先や子供の通っている自治体の情報を取得したりといったことが容易になるといった議論が進められた。1カ月に1回の発行という期限にこだわらずにリアルタイムに情報を発信していくといった意見も出された。

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著者プロフィール

シリコンバレー支局

市嶋 洋平

日経コンピュータ、日経コミュニケーション、日経新聞などを経て、2012年11月にビッグデータ・プロジェクトを立ち上げた。企業のデータ活用促進やデータサイエンティストの人材育成などに取り組む。

ITジャーナリスト

鈴木恭子

週刊誌記者などを経て、2001年IDGジャパンに入社しWindows Server World、Computerworldを担当。2013年6月にITジャーナリストとして独立した。

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