クローズアップ

【Design of the Month】: 2014年6月号

インフォグラフィックスでオープンデータを推進

OPEN METI/経済産業省

2014年5月30日(金)

 ビッグデータが注目を浴びる昨今、デザインの活用領域として期待が高まりつつあるのが、データをグラフィックに置き換えて表現し、これまで以上に理解しやすくするインフォグラフィックスだ。

 「OPEN METI」と呼ぶプロジェクトでインフォグラフィクスを活用しているのが経済産業省である。同プロジェクトでは過去 60 年にわたり、日本経済の変化を記録してきた「年報(通商産業省年報と経済産業省年報)」を、数字や言葉の羅列ではなくビジュアルで発信し、データのオープン化を推進している。

 2014年4月にウェブサイトで公開した第 1 弾が「貿易」をテーマに、日本と世界各国の経済活動の変遷を可視化したもの。白い背景の画像は輸入を、下の黒い背景の画像は輸出を示している。色分けによって、輸出入のどちらを表示しているかが一目瞭然だ。

 ウェブサイトでは輸出入の表示だけでなく、1988 年度から 2013 年度までの月ごとのデータを選択可能にするなど、表示データを利用者が操作できる。ウェブサイトを用いたことで、経産省からの一方的な情報伝達ではなく、利用者が理解しやすい動的でインタラクティブな情報公開を実現しようとした。

 経産省が積極的な情報発信に取り組むのは、今回が初めてではない。2014年1月に公開した「産業競争力強化法に係る支援措置」も同様の事例だ。企業の状態を 4 つに分類し、段階に応じた支援策に導く。まずは全体像を見下ろし、求めるデータをすぐに入手できる点はインフォグラフィックスならではだ。

 経産省の俣野敏道・大臣官房広報室課長補佐(総括)は「インフォグラフィックスは多面的に表現でき、全体像を視覚的に伝えることができる。デザインの力でまずはデータに興味を持ってもらうなど、データと利用者を結ぶ役割になる」と取り組みの意義を語る。

全体の画面の中で(1)左上の黒色の箇所にカーソルを合わせると、輸入、輸出の切り替えなど、画面表示を操作できるコンソールバーが登場。「肉」「魚」など各項目をクリックすれば、表示内容を変更できる (2)画面上の円グラフにカーソルを合わせると、国名や各要素の内訳が数字で現れる (3)ウェブサイト右側には、その年の「協定・条約および会議・サミット」といった時代背景を示す情報を表示。「西暦」の下にある上下の矢印で西暦を選択でき、右向きの矢印を押すと「年間政策別コストデータ」に移動する。Rhizomatiksが手掛けた

 経産省では今後も情報発信に力を入れていく考えだ。「インフォグラフィックスを使っていること自体を発信するのではなく、こうしたコミュニケーションを普段から淡々と続けたい」(俣野課長補佐)。

 紹介した 2 つのケースでは、データを客観的に示すことを注視し、担当課との議論を重ね完成させた。事実としてのデータを示し、活用は受け手側に委ねるというのが経産省のスタンスだと言う。

 年報などの資料は、経済産業図書館で自由に閲覧できるが、その存在を知る機会自体が限られる。インフォグラフィックスを用いた取り組みは、単なるデータ公開から大きく踏み出し、受け手側により深い理解を促す。デザインの活用によって、これまで以上に多くの人々がデータに触れる、新たな接点が生まれている。

経済産業省がウェブサイトで公開する「産業競争力強化法に係る支援措置」。企業の状態を「創業期」「成長期」「成熟期」「停滞期」の4つに分類し、段階に応じた支援策を表示した。bowlgraphicsが手掛けた

(廣川淳哉/編集者)

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