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【Editor’s Eye/ニュース&トレンド】: 2014年6月号

万能な眼鏡型端末など存在しない

2014年6月6日(金)

 大阪市にあるウエストユニティスは4月、眼鏡デザイナーの大浦イッセイ氏と協業し、装着性を高めた眼鏡型端末「inforod」を発表した。同社はウエアラブル端末向けのソフトウエアを開発するメーカー。これまでは、ほかのメーカーが開発する眼鏡型端末向けの組み立て作業指示システムなど、15年にわたってウエアラブル端末を活用した情報システムを構築してきたノウハウがある。

ウエストユニティスのinforod。Android OSを搭載し、一般的なスマートフォンとほぼ同じ性能を有する

 同社の福田登仁・代表によれば、こうしたシステムは近年、さまざまな場面で使われ始めている。例えば救急医療現場向けに、救命士がウエアラブル機器に装着したカメラを使って救助活動に当たりながら患者の様子を撮影するシステム。これにより事故が発生したとき、けが人がどのような状況でけがをしたのかを、病院で医療体制を整える医者が映像を通じてあらかじめ知ることができる。患者が到着するまでに適切な治療準備が整えられるようになった。既にある地方自治体で導入されて、多くの命を救っていると言う。

 米グーグルが汎用型の端末「グーグルグラス」を販売しているが、眼鏡型端末は「何にでも使えるという商品にはなり得ない」と福田代表は話す。ハードウエアのデザインも、特定の用途に特化したものを数多く取りそろえるべきと言うのが持論だ。今回のinforodは、当面の需要が多く見込まれる工場内での作業用途に特化した。ヘルメットをかぶっても本体がぶつからないように形状に工夫を施し、不特定多数の人が装着することを前提に、端末本体を顔に装着する固定具を取り外しできるようにした。固定具は使用者に合わせてカスタマイズして提供する。

 ディスプレイが眼に極端に近い眼鏡型端末は、適切な位置で本体をしっかりと固定しないと画面がずれて見えなくなるため、眼鏡以上に顔にフィットすることが求められる。今回の商品開発では、顔にしっかりと固定できる固定具のデザインから一人ひとりに合わせた固定具を提供できる販売態勢までを、大浦氏とゼロから作り上げた。

「inforod」はオリンパス製の非常に細いプリズムを採用し、使用者の視界を邪魔しない設計にした。右の「グーグルグラス」よりも小型化できた

 今後は、工場での作業向けのほかにも、BtoC市場に向けた展開も同社では計画。「魚群探知機と連携し、魚の集まるポイントが可視化できる釣り専用モデルや、残りの飛距離が分かるゴルフ専用機など、特定の機能に特化して、人間の能力を拡張できるような商品にして行きたい」と、大浦氏はその計画を語る。

(丸尾弘志)

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