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デザインで中華圏市場の「窓口」目指す台湾

CREATIVE EXPO TAIWAN 2015

2015年5月23日(土)

2015年4月29日~5月4日まで、台湾・台北市でデザインビジネスやクリエーティブ産業をテーマに「CREATIVE EXPO TAIWAN 2015(台湾文博会)」が開催された。台湾・文化部(日本の文化庁に相当)の主催で、同経済部(経済産業省に相当)傘下の台湾デザインセンターが運営しており、同様なテーマで大規模なイベントは台湾では初めて。日本企業からの関心も高く、デザイン力で中華圏市場の「窓口」を目指そうとする台湾の姿が浮き彫りになった。

 2015年4月29日~5月4日まで、台湾・台北市でデザインビジネスやクリエーティブ産業をテーマに「CREATIVE EXPO TAIWAN 2015(台湾文博会)」が開催された。台湾・文化部(日本の文化庁に相当)の主催で、同経済部(経済産業省に相当)傘下の台湾デザインセンターが運営しており、同様なテーマで大規模なイベントは台湾では初めて。

 開会式には文化担当大臣が参列し、「テクノロジー分野だけなく、これからはデザイン分野も重視していく」とアピール。国家を挙げて取り組む姿勢を見せた。OEMなど製造業の拠点といった印象が強い台湾だが、今後は自社ブランドの商品開発も推進するなど、新たな付加価値の1つとしてデザインの強化を図る考え。「今までの台湾産業はコンピューターの“ C ”が中心だったが、今後はクリエーティブ、カルチャー、チアフルなどの“ C ”にしていきたい」と台湾デザインセンター董事長で国立台湾芸術大学教授の林榮泰氏は言う。

会場の1つ、華山1914 文創園区は日本統治時代の酒工場の跡地で、アートスペースとしても使われている
展示会場は、アート的な作品のほか、デザイン家具やインテリア、雑貨や工芸品、ファッション、キャラクターまで幅広い。デザインをライフスタイルに取り入れようとしている(写真:taiwan design center )
会場の1つ、松山文創園区。会場を飾る赤いオブジェは、「品」をモチーフにしており、品質を意味している(写真:taiwan design center )
台湾デザインセンター董事長で国立台湾芸術大学教授の林榮泰氏

デザインを取り入れた暮らしを

 会場は市内にある華山1914 文創園区、花博公園、松山文創園区の3つに分かれ、デザイナーの作品と企業からの新商品を展示。分野は家具やインテリア、雑貨や工芸品、ファッション、キャラクターまで幅広い。デザインによる新たなライフスタイルもテーマの1 つに掲げておりアート的な作品だけでなく、デザイン性を高めた日常的に使える新商品もある。台湾企業を中心に615社が出展し、中には緑茶をテーマに「新しい茶道」とも呼ぶべき映像パフォーマンスで来場者の注目を集めたブースもある。台湾の伝統産業をクリエーティブの力でリニューアルし、国内外に向けて新たに発信するためだ。

 このほか台湾人のほか中国や香港、シンガポール、タイ、日本などの若手デザイナーが参加し、作品を紹介するコーナーもあった。3つの会場全体で会期中の来場者は、一般人も含めて約18万人に上った。

 日本企業の関心も高く、富山県高岡市や東京・墨田区などが出展していたほか、大手流通業からのバイヤーの姿もあった。緑茶の映像パフォーマンスを見て、「コーヒーブームに沸く日本の次のムーブメントとして緑茶に注目できるのでは」と関心を示す日本人バイヤーもいた。

不二堂は地元の緑茶を販売するだけでなく、伝統工芸と融合した独自デザインの湯飲みや急須、さらにはポップなカップなどまで手がけるようになった(写真:taiwan design center )
不二堂が会場で行っていた緑茶のパフォーマンス「Tea Party Ⅱ《混得好in the mix》」。中央ではパフォーマーが来客にさまざまな緑茶を入れてもてなす。周囲全体の雰囲気を映像や音楽のクリエーターが演出。緑茶の葉が次第に湯中で開いていく様子などを独自の映像表現にして、周囲の壁に投影している(写真:taiwan design center )
会場には日本をはじめ、多くの海外からバイヤーが訪れていた(写真:taiwan design center )
アジアの若手クリエーターが出展するブース。中国や香港、タイ、シンガポールなどから多くのクリエーターが出展していた(写真:taiwan design center )
香港の若手クリエーター、鄧卓越氏による陶器による作品。東洋と西洋の融合を狙ったという(写真:taiwan design center )
台湾の若手クリエーター、陳映秀氏の作品は、洗濯用のネットやストッキングに入れたクラフト粘土を細かい網目から絞り出し、そのまま固めることで新しい表現を生みだした。国内の伊丹国際クラフトでも紹介された(写真:taiwan design center )
台湾の若手クリエーター、金属やエナメルを組み合わせたジュエリーをテーマにした吳竟銍氏の作品。写真はブローチにしたもので、伊丹国際クラフトでも紹介されていた(写真:taiwan design center )

墨田区と台湾デザインセンターが提携

 会期中の4月30日、東京・墨田区と台湾デザインセンターが協力の覚書に調印したとの発表があった。今後は墨田区の製造技術と台湾のデザインを結合させ、共同で海外市場を開拓するのが狙い。日本企業にとっては台湾市場だけでなく、中国など中華圏全体の開拓が問われる。「そのためのデザイン支援として、同じ中華圏の台湾に期待している」と墨田区の担当者は言う。

覚書に調印した、(左から)墨田区の産業観光部産業経済課・産業振興担当の郡司剛英・課長、台湾経済部工業局の呂正華・副局長、台湾デザインセンターの陳文龍・執行長(写真:taiwan design center )

 このほか同時期に、台湾にある約63の美術大学が合同で実施する卒業製作展「新一代設計」も開催されていた。多くの学生が参加し、大規模な学園祭のような雰囲気で、大いに盛り上がっていた。台湾デザイン力の将来の姿を垣間見たようだった。

 以下、それぞれの会場で注目された展示を写真で紹介していこう。アート的な作品からデザインを取り入れた日常的な商品、若手のクリエーターの商品まで多岐にわたるが、「デザインを取り入れたライフスタイル」を実践する姿勢がうかがえる展示会だった。今後は台湾のデザイン力がさらに注目されそうだ。 (大山繁樹)

AR(拡張現実)技術と組み合わせたアート的な展示会場。設置された端末画面を見ると別の風景が映るようになっている(写真:taiwan design center )
台湾の著名なクリエーター、陳俊良氏によるオブジェ。2015年6月にオープンするホテルのロビーに設置する。本棚をイメージしているが、実際に本も置ける。読書の文化が人間を育成するというコンセプトで人の遺伝子のようならせんを組み合わせた
上の写真と同じく陳俊良氏による店舗インテリア。出展企業の地元に有名な採石場があることから、岩をイメージした巨大なクッションを積み重ねた(写真:taiwan design center )
デザインチェアを開発する祥業工業のブースで、OEM が中心だったがデザイン力を高めて自社ブランドを強化している
「源本」と呼ぶ台湾人クリエーターによるアート作品で、プロジェクションマッピングで発想のイメージが川のように流れて作品に到達していく様子を描いている
地元のクリエーター「晴天設計工房」による、かわいいイラストの雑貨。社内のイラストレーターが描いた。左は「台湾のおばあちゃん」をモチーフにしたイラストを描いた袋。右は目が特徴的なカメレオンのイラストがあるバッグ。独自のユニークなイラストが来場者の注目を集めていた
展示会ではキャラクタービジネスのライセンスについても、多くの企業がブースを出展していた。写真は日本のセブン-イレブン・ジャパンが台湾市場で活用しているキャラクターの「OPENちゃん」(左)と、「LOCKちゃん」(右)。OPEN星から台湾のセブン-イレブンにやってきた宇宙犬という設定。夢は故郷のOPEN星にセブン-イレブンをオープンして店長になることだという
会場の1つ、花博公園で開催された陳俊良氏によるファッションショー。西洋の服と中国の着物文化をミックスしている(写真:taiwan design center )
台湾のデザイン設計会社、Haoshi Design(良事設計有限公司)はホテル事業「Play Design Hotel」を計画中で、利用者に自分の好きな室内の小物やインテリアを予約時にネットで選択できるサービスを売り物にする。到着すると自分の好きなテーブルやイス、カップや時計などが設置されている。若手クリエーターの作品を用意するなど人材育成が目的。どんな顧客がどんな作品を選択したかなどマーケティングデータの収集も狙う。写真は展示会場での室内を模したブース
台湾のデザインブランド、studioKANARIによる作品。写真は金属棒を使った栓抜き。このほかにも金属棒による時計など、「金属の光と影の競演」をテーマに金属を生かしたさまざまなモノを開発して展示していた
猫の肉球まで再現したせっけん。これで洗うと凸凹の部分が当たって気持ちがよいそうだ。台湾の猫手作によるユニークな商品
台湾にある約63校の美術大学が合同で実施する卒業製作展「新一代設計」。34回目の伝統ある展示会で、師範大学や実践大学、台湾工科大学などが参加。映像コンテンツの展示もあり、大学生を中心に異様な盛り上がりを見せていた
会場で注目を集めていた巨大なオブジェ
大葉大学が展示した、災害時に避難所で使う段ボール製の1人用設備。大勢の避難民がいても、布をかぶせたりすればプライバシーを守れる

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