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消費税はどこまで上がるの?

「近く、反税運動が起きます」

2013年11月18日(月)

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 消費税は再来年に10%まで上がる予定だが、「それでは終わらない」という声が聞かれる。サイフから15%、20%という税金が抜かれる日が来て、その時に歴史が大きく動くのか――。『日本経済の構想』『構造改革とは何か』などの著書で知られる経済評論家、田中直毅・国際公共政策研究センター理事長に聞いた。

(聞き手は金田信一郎)

消費税が来年4月に8%、そして再来年に10%に上がることになっていますが、それで終わるのか見えません。一方で、復興特別法人税の廃止は前倒しにして、しかも法人実効税率は国際競争力の観点から下げていく、と。こうなると、国全体の税制はどのような最終形を目指しているのか見えません。

田中直毅(たなか・なおき)氏
経済評論家、国際公共政策研究センター理事長。東京大学大学院経済研究科修士課程修了。国民経済研究協会主任研究員などを経て現職。著書に『日本経済の構想』『構造改革とは何か』『政権交代はなぜダメだったのか』など多数。

田中:消費税率を5%から8%にするのは、もちろん3党合意が一番大きな原因です。基礎年金の2分の1は税(国庫)で負担する形にした。これは、たとえ3党合意がなくても、できるだけ早く手当てをしなければならない性格のものでしたから、安倍晋三首相もこれを拒否することはやはりできない。

 それまで3分の1だった税による基礎年金のカバー率を半分にまで上げる。これは基礎年金を配り続けるためには不可欠とされて、これを決めていて、強い反対があったわけではない。「それしか(方法は)ないのか」という議論はあったけれども、しかしそれが著しく経済の歪みを拡大するものとは認定されていません。だから、今のままで歳入欠陥がずっと続くよりも、やらざるを得なかったわけです。

しかし、景気に対する影響が懸念されました。

田中:ただ、景気との関係は3党合意の中でチェックするということはありましたから。でも、景気動向でやめるような理由は何もなかったわけです。だから、8%はもう決まりだったんです。ただ、「その先も、社会福祉のためなら、(消費税を)いくらでも上げていいのか」というと、そういうわけにはいかないんですね。

 理由はいくつかありますが、多くの国民は税と社会保険を区別できていなくて、「両方とも税金みたいなものだ」という受け止め方もある。しかし、税を徴収して歳出として使われる時と、それから社会保険の拠出料という形で受け取って、それを給付サービスに回すのと、入り口が違うだけではなくて、そこに働いているガバナンスの仕組みもまったく違うものですから、区別して議論すべきです。それなのに、むしろ曖昧にしてきたのは理由があることなんですね。

わざと、ごちゃまぜにしてきた、と。そんなことをする理由は何なのでしょうか?

田中:どういうことかというと、我が国の社会保険の設計が継ぎはぎにならざるを得ませんでした。だから、大規模事業所はそれに見合った年金制度があるとか、社会保険があるとか、公務員についてはそういう制度が完備していました。

 しかし、いろいろな段階がありますが、大企業の健保組合がカバーする所があって、公務員をカバーする公務員共済というのがあって、それから中小企業者は協会けんぽ(全国健康保険協会)という組織でやっています。

 ただこれも、高齢化が進むと、社会保険の中で今後重要になる医療保険制度を取ってみても、シームレスに設計せざるを得ない。今、もう75歳以上になれば、たとえ大企業の社長経験者も、後期高齢者医療制度に入ります。たとえ終身雇用といったって実際は、これだけみんな長生きすると、最後はみな同じ後期高齢者医療制度という、年齢だけを尺度としたところに全部突っ込まれます。

 一方、税を徴収して歳出を増やす分野は、社会保障の分野もあるんだけど、本来は国家としての投資にかかわるもので、道路とか港湾、空港などに関するものや、教育、高等研究機関における研究費助成もあれば、あらゆる投資項目があります。それから行政制度の経費、要するに公務員の人件費、それから公務員の業務に絡んだ「政府購入」と呼ばれるものもあります。

 この税金で徴収して、歳出を適正にしていく部分のガバナンスと、それから社会保険のガバナンスとは切り離して考えられるべきです。しかし今、これがごちゃごちゃになっている。それは、最初から誤魔化すつもりで作ったわけではないんだけれども、日本の近代化の過程において、そうせざるを得なかった。かつての財閥とか公務員とか、日本では社会保険の領域では、「できる人たちから出発する」という以外に方法がなかった。全部、揃うまで待っていられないというので、できるところから出発していったわけですね。

どこかで制度の整理をするタイミングはなかったのでしょうか?

コメント7件コメント/レビュー

軽減税率なしで20%まで上げて、投資課税を10%に再度引き下げ、所得税も引き下げて直間比率の是正を行えば、税金も払ってないのに文句だけを言う「自称社会的弱者」が減って社会保障費も削減できるでしょう。(2013/11/19)

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「消費税はどこまで上がるの?」の著者

金田 信一郎

金田 信一郎(かねだ・しんいちろう)

日経ビジネス編集委員

日経ビジネス記者、ニューヨーク特派員、日経ビジネス副編集長、日本経済新聞編集委員を経て、2017年より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

軽減税率なしで20%まで上げて、投資課税を10%に再度引き下げ、所得税も引き下げて直間比率の是正を行えば、税金も払ってないのに文句だけを言う「自称社会的弱者」が減って社会保障費も削減できるでしょう。(2013/11/19)

日本でも班田収受の法の昔から、税制そのものが国家の形を規定していた。田中氏も「国家百年の計は税制のデザイン」と言いつつ、他方で「税率で工夫できる自由度は相当低下している」と仰っている。このまま突き進めば、革命による清算か、国家破産による出直し(グランドデザインの描き直し)しか方法は無くなりそうだ。一票の投票権を有する高齢者が未来への投資(若者支援)よりも、自分の懐を温めることにしか眼を向けない以上(例外は少数あるにせよ)、若年者のみならず、国民すべてが貧困化し、医療システムや年金制度が破綻して平均余命が短くなる将来が、残念ながらすぐそばに忍び寄っているように感じざるを得ない。(2013/11/18)

社会保険労務士です。著者のコラムを読むまでアメリカの医療保険制度の方がややこしいと何の疑問もなく思いこんでいましたが、これも知識偏重の弊害ですね。深く反省です。医療保険制度については、医者が取っぱぐれがなくて当たり前と、こちらも国民皆保険導入前は取っぱぐれていた可能性を無意識に排除していました。もっとも、国保もスタート当時は一部負担金は5割だったと聞いているので、保険制度があっても一部負担金が払えず、病院に罹れず致命的な病気の早期発見が遅れてしまい、救えるはずの命を救えなかったケースも決して少なくなかったのでは…と推測します。そういう意味では国民皆保険制度はありがたい制度だと思います。(2013/11/18)

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