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「ビットコインはそもそも出来が悪いです」

岩村 充・早稲田大学商学研究科教授に聞く

2014年3月13日(木)

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岩村:このビットコインを素晴らしいと言うのは、馬に乗ったスペイン人を見て仰天してしまったインカ帝国の人とほとんど同じです。旧大陸の人ならば「馬に乗っている人」なんて当たり前だったんだけど、馬を知らない人が見たら「この生き物はなんだ!?」と大ショックを受けた。そのショックでインカ帝国って征服されちゃったわけですけれど。この場合で言えば暗号セキュリティ理論を知っている人ならば、ビットコインに感心する理由はないと思います。

Y:iPodみたく、既存のものを組み合わせて新しい価値を生む例もありますね?

岩村:iPodはハードウエアとしては既存でもソフトとの組み合わせが新しかったですよね。まあ、ビットコインだけがこのサービスを提供できたのなら、そういう面もあるかもしれません。しかし、実際には類似のサービスがいくらでもあります。ビットコインは技術的にも発想としても平凡なんですよ。平凡だから、類似品が次々に出てくる。

 もちろん、大流行を通して世の中に「こうすればいいんだよ」ということを気づかせたのは非常に大きな功績といってもいいかもしれない。でも、最初に言ったように先行者利益が極端に大きいことと、発行量の上限を設けていることには大きな疑問を感じます。

Y:もしかしてマルチとか、ポンジ詐欺みたいな要素があるのですか?

岩村:定義として考えればポンジじゃないんですよ。というのは、後から来ている人からむしり取っているわけではない。自然に価値が上がるように設計しているだけで。

 でも、類似品が次々出てくるので、例えば決済という点ではもうビットコインの競争力はないですね。ビットコインのように動くクリプトカレンシーはすでに100種類以上も提案されていて、中には「リップル」みたいに、金融取引の機能に特化することで、既に相当な実績を持っているのもある。

 仕組みとしても相当「イケてない」部分があるなあと個人的には思います。例えば、PtoPの決済としては、ビットコインのやり方というのは本質的に高コストなんですよ。ただし、利用者が気が付かない高コストなんです。

ビットコインは意外に高コスト

Y:どういうことでしょう。

岩村:ビットコインは、「コイン」というけれども、イメージで言うと「最大で2100万行のデータを書き込める仮想台帳」のような性質もある。その台帳を10分間に1回ずつ、がっちゃんがっちゃんと更新していくというのがビットコインの仕組みです。つまり、台帳全体の更新が10分間に1回行われ、それが結了するまでは本当の意味での「やりとり」は起こらない仕組みなんです。

Y:PtoPのシステムですから、その台帳は世界中のコンピューターにあるわけですよね。

岩村:ええ。ですので「ビットコインが誰それから誰それへ移転した」ということは、ビットコインのシステムに参加している多数のコンピューターたちがそれを認証したときに起こるわけですよね。ということは、参加者全員がこの台帳の書き換えに協力しているんですよ。つまり、経済学で言う「外部性」があるんです。

Y:外部性。取引に関係ない人が損をしたり利益を得たりすることでしたっけ。悪い方だと公害とか。

岩村:市場メカニズムを通さない費用の押しつけですね。

コラボレーションは、美しくて汚い

Y:つまり、仮に10分間に1件だけ取引があっても、それに関わった2人のために、たくさんのコンピューターが動いて、台帳を上書きしなきゃいけないということですね。しかし、データの書き換えというものは、目くじらたてるほどのコストがかかるんですか。

岩村:個々のコンピューターにとってはごくわずかなので感じないけど、システム全体としては、その電力使用の費用を全部足すと、ビットコインの取引が本当に低コストだとは私は思えない。せっかく低コストのPtoPシステムなのだったら、渡した側と渡された側と、それからせいぜいで認証機関、この3者ぐらいでトランザクションは結了し、かつ認証機関はその料金を2人から取ればいい。

Y:それでも、ビットコインの手数料は銀行間よりずっと安いわけでしょう。

コメント21件コメント/レビュー

色々なコメントがついてますが、記事と論点がずれているように思えます。指摘されたのは、いわば経費を誰が負担するのか、です。NETという善意ある集団と呼べない衆が負担するのが前提のシステムなので、それを否定したら話にならない。一方でそれがビットコインの致命傷でもあります。通貨原則の説明もあり良い記事だと思いますが、フリークの方々には心情的に拒絶する記事になってます。インターネットがそうであるように善意が壊れたりシステムが巨大になると収拾がつかない=誰かが管理する=管理主体が存在する、状況になるでしょう。それはつまり既存の銀行による金融システムと変わらなくなる。どうやって適正規模を保つかが肝要です。(2014/03/14)

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「「ビットコインはそもそも出来が悪いです」」の著者

山中 浩之

山中 浩之(やまなか・ひろゆき)

日経ビジネス副編集長

ビジネス誌、パソコン誌などを経て2012年3月から現職。仕事のモットーは「面白くって、ためになり、(ちょっと)くだらない」“オタク”記事を書くことと、記事のタイトルを捻ること。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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色々なコメントがついてますが、記事と論点がずれているように思えます。指摘されたのは、いわば経費を誰が負担するのか、です。NETという善意ある集団と呼べない衆が負担するのが前提のシステムなので、それを否定したら話にならない。一方でそれがビットコインの致命傷でもあります。通貨原則の説明もあり良い記事だと思いますが、フリークの方々には心情的に拒絶する記事になってます。インターネットがそうであるように善意が壊れたりシステムが巨大になると収拾がつかない=誰かが管理する=管理主体が存在する、状況になるでしょう。それはつまり既存の銀行による金融システムと変わらなくなる。どうやって適正規模を保つかが肝要です。(2014/03/14)

とても面白い内容のコラムだったけれど、馬を知らないインカ人の比喩は、後の時代、外の世界から見ているから言える話で、まだ誰も見たことのないものを創った、という点において素晴らしいことは間違いないし、このような貶められ方をされる謂れはないんじゃないかなあ、と思う。全体的に、そのような、やや高圧的な雰囲気が鼻についた。(2014/03/14)

『要するに市場メカニズムを通さずに、ほかの人に協力させているわけだから。』のくだり等からは、取引認証にかかるコストがPtoPネットワークの参加者に押し付けられているように読み取れます。しかしビットコインの認証プロセスはマイニング行為そのものなので、専用機器+電気代といったコストを上回る利益を得るという動機で人々はネットワークに参加しています。(地球環境負荷という意味では納得できますが)ビットコインの手数料が低い理由というコンテクストで、外部性に違和感を感じてらっしゃるのは、岩村氏は何か大きな勘違いをしているように見えます。(2014/03/13)

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齋木 昭隆 三菱商事取締役・元外務次官