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2万2000人強の障害者を雇用するサムハル

スウェーデンのサムハルCEO、ロンゲガード氏に聞く

2014年9月19日(金)

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 約2万3000人いる従業員の2万2000人強が障害者という企業がある。スウェーデンのサムハルだ。「社会の会社」という意味を持つ同社は、「障害者のためにもきちんとした仕事を提供し、社会を支える側のメンバーにする」という崇高な理念のもと、政府が1980年、100%出資して設立した。今やサムハルから派遣される従業員を受け入れているのは家具大手のイケアから中小企業まで様々。しかも毎年1000人以上がサムハルを卒業して転職していくという。このほど来日した初の民間企業出身のCEO(最高経営責任者)にその経営の考え方を聞いた。

(聞き手は石黒 千賀子)

サムハルでは、あなたが初めての民間企業出身の経営者だと聞きました。なぜサムハルは民間企業から経営者を招いたのでしょうか。

ロンゲガード:サムハルを取り巻く環境が大きく変化しているからです。ご存じの通り、サムハルは政府が100%所有するいわば国営企業です。ですから4年前、経営幹部のサーチ会社が私に連絡してきて、「サムハルのCEO(最高経営責任者)になる気はありませんか」と聞かれた時は、「ありえない」と思いました。ビジネス重視で経営するという発想の会社ではないと思っていたからです。

 しかし、私は間違っていました。

一時は日本に家具を輸出

モニカ・ロンゲガード(Monica Lingegard)
1962 年生まれ。経営大学院で修士を取得後、IT(情報技術)及びインターネット関連のコンサルティング事業に従事。その後、スウェーデンの経営コンサルティング企業プレナックス・グローバルのCEO(最高経営責任者)などを経て、2005年に世界最大の警備保障会社である英G4Sのスウェーデン法人のCEOに就任、同法人の立て直しに手腕を発揮する。2011年4月にサムハルのCEOに就任した。
現在、スウェーデンの経済団体であるSvenskt Narringsliv及びSIDA(Swedish International Development Cooperation Agency)のボードメンバーも務める。また、スウェーデンの企業Wireless Maingate AB及び自動車大手サーブの部品製造を手がけるオリオの役員も務めている。(写真:村田和聡、以下同じ)

 サムハルは設立された当初は、スウェーデン国内に「作業所」のような場所を多く抱え、従業員はその全国にある作業所で働くケースがほとんどでした。実際の世の中と直接、接するということはなかったわけです。作業所では委託されたものを製造したり、一部では家具を生産、80年代~90年代にはその家具を日本に輸出していた時期もありました。

 しかし現在は、従業員の90%はお客様のところへ行って仕事をしています。百貨店やレストランに出向いて清掃作業に従事したり、倉庫から商品を運んだり、あるいはオフィスで郵便物の仕分けをしたりと様々です。

 スウェーデンの経済構造も変化したのです。サムハルは今も自動車メーカーのボルボや家具大手のイケアの工場に人を派遣するなど、スウェーデンの製造業で存在感を発揮していますが、ものづくりの仕事はどんどん国外に流出し減っています。ですからサムハルももはや作業所のようなものは抱えていません。やはり伸びているのはサービス業で、そこでいかに仕事を開拓し契約を取っていくか――。そのことが今は、サムハルの従業員に仕事を確保していくための重要なポイントとなっています。

コメント2件コメント/レビュー

スウェーデンの話かと見過ごす手前で目が行った。朝刊地方紙上に行政機関の本丸・市役所の採用試験に全盲青年が応募したいがと問い合わせると、当該者応募は受け付けていない、受験要項整備は次年度からとの記事に重なったからだ。企業と公共機関の違い、福祉についての制度や仕組みの違いもある、共通項は民の福祉社会観・率先垂範・鶏が先かタマゴが先かではないか。サムハルは知らないが、イケアは知っている。何!イケアに断トツの派遣数だって― そして今やスエーデン社会がサムハルを誇りにしている― さもありなんと得心する。翻って日本は、グローバル世界化を強調して諸国に伍して進むには、あれこれ業界に中央からの交付金でございますよのばらまきは得意だが、記事の後段にある、派遣される従業員の責任感は強く、サービスの質も高いので、顧客となってくれた多くの企業の満足度は高い。そうしたこともあってか、企業の間で障害を抱えた人たちのために、「自分たちも少なくともこれくらいのことはできる」という発想をするケースが増えてきています。感銘を受けたいい記事でした。私は日本國もここを要と心得た、交付であって欲しいのです。(2014/09/19)

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「2万2000人強の障害者を雇用するサムハル」の著者

石黒 千賀子

石黒 千賀子(いしぐろ・ちかこ)

日経ビジネス編集委員

日経BPに入社後、英LSEに留学し修士取得。日経ビジネス、日経ナショナルジオグラフィック、日経ベンチャーを経て、2003年日経ビジネスに編集委員として戻る。主に、本誌の「世界鳥瞰」の欄を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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スウェーデンの話かと見過ごす手前で目が行った。朝刊地方紙上に行政機関の本丸・市役所の採用試験に全盲青年が応募したいがと問い合わせると、当該者応募は受け付けていない、受験要項整備は次年度からとの記事に重なったからだ。企業と公共機関の違い、福祉についての制度や仕組みの違いもある、共通項は民の福祉社会観・率先垂範・鶏が先かタマゴが先かではないか。サムハルは知らないが、イケアは知っている。何!イケアに断トツの派遣数だって― そして今やスエーデン社会がサムハルを誇りにしている― さもありなんと得心する。翻って日本は、グローバル世界化を強調して諸国に伍して進むには、あれこれ業界に中央からの交付金でございますよのばらまきは得意だが、記事の後段にある、派遣される従業員の責任感は強く、サービスの質も高いので、顧客となってくれた多くの企業の満足度は高い。そうしたこともあってか、企業の間で障害を抱えた人たちのために、「自分たちも少なくともこれくらいのことはできる」という発想をするケースが増えてきています。感銘を受けたいい記事でした。私は日本國もここを要と心得た、交付であって欲しいのです。(2014/09/19)

このような活動がスッウェーデンで行われている事を紹介いただき、心から感謝します。参考になります。障害者の支援団体でも、会社として利益を追求し、サステイナビリティーを高めようとする方針は最も重要だと思います。どの程度の障害レベルの方まで雇っているのか、興味があります。またスウェーデンでは、働けない重度の障害者にはどのような政府援助があるのか知りたいです。障害者の中には、数字に強い方が多く、保険会社のデータ入力の仕事に従事し、一人で10人分程の仕事をこなすなど特定の能力に長け、活躍している方もいるため、各々の能力発見の強化と、IT分野や、事務処理などの分野も是非開拓してほしいと思いました。(2014/09/19)

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