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トモダチ作戦、米兵はシャワーすら浴びなかった

第3回 一等陸佐 笠松誠氏

2015年3月10日(火)

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米軍は3月16日、米太平洋特殊作戦コマンドを仙台空港に派遣し、復旧作業を開始した。同コマンドは空港のないところに空港を造る特殊作戦のエキスパートだ。臨時の航空管制機能を設置する技術も有している。3月18日には、コゼニスキー大佐が率いる海兵隊が到着。休む間もなく、瓦礫を除去する作業の準備に着手した。翌日から、米空軍が空輸してきた救援物資を、海兵隊が被災地に届ける支援が始まった。

瓦礫の撤去を進める米軍兵士(陸上自衛隊東北方面隊提供)
(陸上自衛隊東北方面隊提供)
救護・救難物資をバケツリレーの要領で小学校に運び入れた(陸上自衛隊東北方面隊提供)

米軍と協力して作業を進める中で印象に残っているのはどういう点ですか。

笠松:彼らが「日米の間には文化面のバリヤーがある」ということをよく知っていてくれたことです。バリヤーを越えるのは容易なことではありません。しかし、その存在を意識しているのといないのとでは、行動が全く異なります。

 例えば彼らは、被災者や空港職員と出会うとお辞儀をしていました。私は他の国で活動する米軍の姿を幾度も目にしてきましたが、あんな光景を見たのは初めてでした。

 それだけではありません。彼らは自由に使えるシャワーユニットをいくつも持っているにもかかわらず、それらを使おうとはしませんでした。3月とはいえ重労働をしているので汗もかいたことでしょう。髭も剃らないので、ぼうぼうになっていました。なぜかと聞くと、「我々が使わなければ、被災者の誰かが使えるから」と答えるのです。

 宿舎として使う天幕も簡易で小さなものを空港敷地の隅に立てて使っていました。彼らは、パソコンと巨大ディスプレイを使った会議などができる本格的な天幕を持っているにもかかわらずです。これも「余計なスペースを使わなければ、被災者が何かに利用できるかもしれないから」という理由でした。

まさにトモダチ作戦の名前通り、米軍は友達として振る舞ったんですね。

笠松:はい。幹部学校の教官としてうれしいこともありました。教え子だった米陸軍からの留学生が偶然、仙台空港の復旧プロジェクトに配属されていました。ある時、彼女が「教官、たいへんです」と言って私のところに飛び込んできたのです。

 聞いてみると、米軍が業者に発注して設置した簡易式トイレに黄と黒のトラテープが張り巡らされていて、「US ONLY」という張り紙が貼られているというのです。簡易式トイレの業者が、契約者である米軍に配慮して張り紙を張ったのでしょう。彼女は、「もし被災者がこれを見たら、誤ったメッセージが伝わってしまう。早く取りはずすよう調整してください」と私に要請したのです。

 私は2005年に防衛駐在官としてパキスタンに赴任していました。この時、大地震が起きた。救助・救援のためにいちばんに駆けつけたのは米軍でした。しかし、彼らはパキスタンの人々の気持ちを慮ることができませんでした。パキスタンはイスラムの国であるにもかかわらず米軍は土日に休み、上半身裸になってキャッチボールをしていた。あれでは、むしろ行かないほうがよかったくらいでした。

 米軍は3月31日、仙台空港でのプロジェクトを終えて去っていきました。その最後に何をしたか。彼らはなんとゴミ拾いをして帰ったのです。あれだけの瓦礫を撤去した後です、チューインガムの一つくらい落としていったとしてもバチは当たりません。そして、4月13日、念願だった民航機の運航が再開されました。

瓦礫を撤去し稼働が可能になった仙台空港(笠松誠・西部方面総監部情報部長提供)

コメント65件コメント/レビュー

>放射能が怖くて浴びなかっただけでは?

放射性物質対策の第一歩は、洗い流す事ですよ。(2018/03/12 10:30)

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「トモダチ作戦、米兵はシャワーすら浴びなかった」の著者

森 永輔

森 永輔(もり・えいすけ)

日経ビジネス副編集長

早稲田大学を卒業し、日経BP社に入社。コンピュータ雑誌で記者を務める。2008年から米国に留学し安全保障を学ぶ。国際政策の修士。帰国後、日経ビジネス副編集長。外交と安全保障の分野をカバー。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

>放射能が怖くて浴びなかっただけでは?

放射性物質対策の第一歩は、洗い流す事ですよ。(2018/03/12 10:30)

アメリカ軍のともだち作戦の具体的な行動を知ることができ、大変有意義でした。米軍からの被災者への配慮の数々には感動しました。深く感謝します。
2018年3月に至るまでこのような詳しい内容を知りませんでした。メディアへの大きな違和感と不信感を抱かざるを得ない気持ちです。この記事の内容を多くの日本国民に知らせてほしいと思います。(2018/03/11 22:13)

この陸佐は言われていませんが、「トモダチ作戦」で多くの米兵が
被ばくし発病され、死亡されたことに、胸が痛みます。
東電などを訴えられていることです。

nnnドキュメント トモダチ作戦で検索するとみられます。
http://www.ntv.co.jp/document/backnumber/archive/post-66.html(2018/03/11 18:18)

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