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「異質のもの」を避けてはいけない

2007年10月5日(金)

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 舌を噛みそうなカタカナ語だが、「オープンコラボレーション」ということを最近考え続けている。

 読んで字のごとく「開かれた協働」ということだから、企業内の組織間の壁や企業間の壁、あるいは産・官・学の間の壁、といった「協働を閉じた範囲に限定する様々な壁」を越えた協働の仕組み・仕掛け、ということになる。

 オープンコラボレーションが重要な意味を持つのは、それがイノベーションにつながるからだ。現時点では、3種類のイノベーションが、オープンコラボレーションに密接に関連していると考えている。

 第1に、コストイノベーション。よく知られているように、リナックスは世界に散らばる技術者たちが、無報酬で作り上げた。マイクロソフトが大規模投資を経て作り上げた製品に対抗し得るOS(基本ソフト)が、「技術者のやりがい」や「エキスパート間での認知」といった心理的インセンティブにより、無償で出来上がったわけだ。

 また、ウィキペディアは(一定のプロセスでスクリーニングされるものの)基本的に誰でも、辞書の執筆に参加できる。これまた無償労働に支えられたモデルである。執筆者(および利用者)の範囲が英語版より狭い日本語版でも、収録語数は一流出版社の大辞典を凌駕したと言われている。

 こういった多くの個人が「共通の場」に貢献する形態のオープンコラボレーションは、事業や製品・サービスを作り上げるコストが圧倒的に低く、コスト面でのイノベーションを引き起こしていると言うこともできる。

自動車メーカーと部品メーカーが共に生産性を改善

 第2に、生産性イノベーション。ボストン・コンサルティング・グループの専門家グループの調査によると、日米の自動車メーカーの生産性格差の最大の要因は、自社の外、すなわち部品メーカーとオープンコラボレーションができたか否かだという。

 過去10年以上の間の日米自動車メーカーの生産性を「自動車メーカー自身の組み立て加工の生産性向上分」と「部品メーカーの生産性向上分」に分解してみると、面白いことが分かる。巷間様々なことが言われているが、米国自動車メーカー自身はこの間、着実に生産性を向上させてきており、少なくとも改善率で見れば日本のメーカーと大差ない。

 ところが、(購入部品の価格低下や在庫低減という形で表われる)部品メーカーの生産性は、日米で大きく異なっている。おおざっぱに言えば、米国はほぼ横ばい、日本では自動車メーカーと同等の改善率を示しているのだ。

 企業の壁を越えて、設計段階から様々なコラボレーションを行う日本の自動車メーカー・部品メーカーの協働のあり方が、生産性のイノベーションにつながったと言えよう。

 そして、最後がいわゆる「狭義の」イノベーション。革新的な商品・サービスの創造である。前述の2つと同様、いや、それ以上に、日本企業にとって重要な課題となっていることは言うまでもない。

 異質の知恵、異業界の技術、等々、異なるもの同士がぶつかり、反応し、融合することで、新たなものが生み出される。オープンイノベーションが「オープン」であることが、そのまま大きな意味を持つ分野だろう。ただし、どうも我々日本人にとっては、相当苦手な分野でもあるようだ。

異分野との協働に尻込みする日本企業

 先だって、カリフォルニア大学CITRIS研究機構の井上隆秀氏のお話を聞く機会があった。CITRISは、正式名称を「Center for Information Technology Research in the Interest of Society」と言い、環境・エネルギー・安全・医療・教育といった社会の課題を、産・官・学のオープンコラボレーションで解決していこうという組織である。

 2001年の創設以来、IT(情報技術)を軸としつつも複数の異分野研究の融合によって、様々な結果を出してきている(例えば、ワイヤレスセンサーを使って交通量をモニタリングし、その結果を交通量規制に反映させることで渋滞を減らし、環境負荷を下げ、経済的損失も防ぐ、といった試み)。この組織自体のあり方もなかなか面白いのだが、井上氏のお話の中で、2点、大変興味深い部分があった。

コメント1件コメント/レビュー

革新的なアイデアを創造するためには、異業種間の交流が欠かせないことは、過去からいわれていることですね。例えば、一個人としてのアイデア創出法としての、自分の専門としない事柄を多く知ることが重要であることなど(よく化学変化が例えとして使用される)。過去の経験からも、業務改善等の事象を一つ変革するだけでも、大抵の人には否定されてしまいます(その数年後一般的になるようなこと。例えば文書の電子化)。また、個人的には記事中の(2)異質との交流を楽しむ気構え、そしてそれを推奨する文化のうち、特に推奨する文化を醸成するために、特に日本では既成概念の壁を壊す仕組み(法律面での支援等)が、もっともっと必要なのではないでしょうか。(2007/10/05)

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「「異質のもの」を避けてはいけない」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCG シニア・アドバイザー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経てボストン コンサルティング グループ(BCG)に入社。BCG日本代表、グローバル経営会議メンバー等を歴任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

革新的なアイデアを創造するためには、異業種間の交流が欠かせないことは、過去からいわれていることですね。例えば、一個人としてのアイデア創出法としての、自分の専門としない事柄を多く知ることが重要であることなど(よく化学変化が例えとして使用される)。過去の経験からも、業務改善等の事象を一つ変革するだけでも、大抵の人には否定されてしまいます(その数年後一般的になるようなこと。例えば文書の電子化)。また、個人的には記事中の(2)異質との交流を楽しむ気構え、そしてそれを推奨する文化のうち、特に推奨する文化を醸成するために、特に日本では既成概念の壁を壊す仕組み(法律面での支援等)が、もっともっと必要なのではないでしょうか。(2007/10/05)

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齋木 昭隆 三菱商事取締役・元外務次官