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世界が注目するデザインイベントで、東芝とパナソニック電工の評価は?

ミラノサローネで失敗しないために

  • 安西 洋之,中林 鉄太郎

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[2/3ページ]

2011年4月27日(水)

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 ドイツ人の女性の作品、2つの様式を一体にした椅子は何を暗示しているのか。それは、2つから1つを選択する「OR」の時代から、2つが共存するロジックを探る「AND」へ時代の志向が移行している、またその願望が出ていると言えないか。この背景を探ると新しい地平が見えてくる。

 1990年代後半、アップルのスケルトンタイプのコンピューターがヒットした。これが90年代初めのテキスタイルや、その後の雑貨の半透明素材のトレンドを継いだものであると気づいた頃から、「サローネ詣で」が盛んになったと言われる。フオーリサローネを取り仕切っている出版社の仕組んだことと言うわけではない。こういう流れと仕組みが、長年、サローネをチェックしていると見えてくる。家具や照明といったインテリアデザインだけのためのイベントと思っていると、その意味と意義を見誤る。


3)世界中から集まる感度の高いデザイナーやプランナーの製品に対する反応が見られる。ヨーロッパ市場を狙うだけでなく、アジア諸国など、他の地域へのマーケティング戦略を考えるにあたっても有効である。

 サローネに参加する政府系の団体も多い。「ぜひ、わが国のデザインを広めたい」という国は多く、今年もお馴染みの北欧諸国ばかりでなく、台湾やポルトガル、デンマーク、イスラエル、クロアチア、タイなどのスタンドを目にした。デザイン発信のインフラとして、サローネを使っている。それはデザインに目が肥えたイタリア人をはじめとするヨーロッパ人がお墨付きを与えることで、ほかの地域の人へのアピールになるのである。

 もちろん、民間企業がそう考えるから政府系の団体もフォローしているわけで、世界に向けたデザインハブとしての意義は大きい。昨年からスタートしたランブラーテ地区のフオーリサローネは、出展数トップがオランダ勢。全体の半数上の展示は、イタリア以外の企業や団体が主宰している。サローネがインフラとして利用されている好例だ。

4)ミラノはロンドンやパリに比べると、日本製品に対して比較的冷淡である。日本製品好感度ゾーンの「南限」と考えられる。つまり、これより南へ行くと日本製品をクールと思わない層が増えるという限界線だ。だからこそ、ミラノ人の反応が、マーケティング戦略を決める時の鍵になる。

 ロンドンやパリで流行っている日本製品を、ミラノの人は素直に同じような評価を下さない。褒めるにも一呼吸ある。日本で「今、ヨーロッパで受けている」といわれる時の「ヨーロッパ」とは、往々にしてヨーロッパの北部を指し、南部ではないことが多い。だが、ミラノは南イタリアではないし、ギリシャでもない。つまり、北の意見と南の意見を両方耳にしやすい。楽観と悲観の中間を判断するのに都合が良いということになる。

 以上が大まかなポイントである。次に、今年、出展していた日本企業2社の事例を紹介しよう。東芝とパナソニック電工を取り上げる。両社ともLED照明のデザインコンセプトをプレゼンしているが、異なったアプローチをとっている。

東芝は2カ所で開催

 東芝は郊外で開催された国際照明機器見本市と、フオーリサローネの2カ所に出展した。見本市で業界向けのビジネスを狙い、フオーリサローネで東芝ブランドの認知度向上を図っている。後者ではトルトーナ地区という、かつて工場・倉庫が多かった地域を選んでいる。いわゆる「工業遺産」を使った都市再開発のメッカであり、フオーリサローネの「集積地」である。

 このようなゾーンが若い学生やデザイナーを惹きつける。しかし、反面、期間中は人通りが激しく、落ち着いて鑑賞するには不向きだ。そこがこのゾーンを選択する場合に、二の足を踏む要因になる。「若い人が喜ぶことは確かだけど、ビジネスに貢献するのか?」という疑問が浮かぶ。

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 写真を追うと分かるように、3つのインスタレーションから構成されている。特に最後の写真のスペースがメインで、上から水が落ちてきているところにLEDの光をあてて、詩的な表現に満ちている。

 実は、このように暗い空間を作りインスタレーションを行うのは、日本企業の展示に多く見られる。劇場的に人を包み込むことで共感を得ようという意図だろうが、ビジネス目的の場合、必ずしも的確な表現とは限らない。たまに、売り込むべき製品のカテゴリーからすると、マッチしないインスタレーションもあり、首を傾げざるを得ない。ただ、今回の東芝に限って言えば、LEDと相性の良い表現だったと思う。

 惜しいのは、この建物の説明が、「100年以上前の建物」と書いてあるだけだったことだ。実際に歴史がある建物なので、事前のリサーチで多くの事実が分かっていたのならば、その内容と今回のコンテンツを繋いだ点を説明してほしかった。イタリアでは、建物の年数を知っただけで評価されるなんて、ルネサンス期の建物でない限りはあり得ない。こうした表記に気を配るのはローカライズの基本だ。インスタレーションを担当した建築家チームとPRコピーライターのチームに、コミュニケーションの問題があったのだろうか。

 なお、真ん中の写真にある建物の壁の向こうに、この暗い空間が作られている。

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