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見逃されている原発事故の本質

東電は「制御可能」と「制御不能」の違いをなぜ理解できなかったのか

  • 山口 栄一

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[2/3ページ]

2011年5月13日(金)

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 だが、万が一停電してCSポンプもHPCIポンプも止まってしまい、ECCSが働かなかったらどうするのか。1号機の場合、その「最後の砦」が「隔離時復水器」(IC、Isolation Condenser)だ。このICは、電力を必要としないパッシブな自然冷却システムであって、無電源で8時間作動するように設計されている。

 2、3号機では、この隔離時復水器(IC)の進化した「原子炉隔離時冷却系」(RCIC、Reactor Core Isolation Cooling System)と呼ばれるシステムが「最後の砦」として設置されている。これは、すべての電源が喪失した後も、炉心の発熱による蒸気で回る専用タービンによって一定時間、ポンプを駆動するシステムであってICよりも長時間作動する。

 以上から分かるように、隔離時復水器(IC)ないし原子炉隔離時冷却系(RCIC)が作動しても、相変わらず放射性物質は格納容器にとどまり、外界には出てこない。しかし、原子炉が「制御不能」の事態に陥り、格納容器の圧力がついに暴走し始めて設計耐圧を超えたらどうするか。このときは、圧力抑制室(SC)のところに備えられたベントと呼ばれる弁を、手動で開ける。もっとも、ベントを開けたとしても、原子炉の発熱を抑制することはできず、核燃料の崩壊熱を上回る熱容量を持つ水を注入しない限り、熱暴走を止めることはできない。

1号機では、「最後の砦」は何時間動いたのか?

 では、今回の原発事故では「最後の砦」はどのように作動したのだろうか。政府発表の公開情報を読み解くことで、それを推測してみよう。

 3月15日4月12日の首相官邸の資料および4月4日の原子力安全・保安院の公表データに基づいて、原子炉の水位と格納容器内の圧力の経時変化を求め直したのが、図2だ。まず1号機の隔離時復水器(IC)は何時間作動したのかを推測してみよう。

画像のクリックで拡大表示

 3月11日16時36分に津波が到来し、非常用炉心冷却系(ECCS)が止まった。だが、その後は隔離時復水器(IC)が働いて炉心を冷やし続けた。翌日の0時00分にはこの隔離時復水器が作動していることが確認されたものの、その30分後には格納容器の圧力が上がり始めているので、0時00分から0時30分のあいだに隔離時復水器(IC)が作動を終えたと考えられる。1号機の隔離時復水器(IC)は、16時36分から翌日の0時00分-0時30分の間まで約8時間、ほぼ設計通り作動して炉心を冷やし続けたということだ(図2(a)の青い時間領域)。

 ところが、隔離時復水器(IC)の作動が止まってしまえば、もはや炉心を冷やす手立てはなく「制御不能」の次元に陥る。かくて燃料の発熱による水の気化によって12日7時ころから原子炉の水位が下がり始め、8時36分には炉心の露出が始まった。

 週刊誌「アエラ」5月2日号の記事「遅すぎたベント 少なすぎた注水」によれば、「12日7時55分に3トン、8時15分に4トン、8時30分に5トン、9時15分に6トンの淡水が注入された」とある。さらに「内部資料によれば、1号機への注入はベントより前、12日朝から行われ、ベントをはさんだ14時53分までに計80トンを注水した。『水が少なすぎますね。私が計算したところ、1号機には毎時25トンの水を入れないとバランスが取れないのに、実際は毎時10トン。ベントしなかったために、圧力が高くて、水が入っていなかったのでしょう』(宮崎慶次・大阪大学名誉教授)」とある。

コメント101件コメント/レビュー

さらに真の理由が隠れているように思います。この10年で米国から吹き込まれた「会社は株主のもの」「会社の存続理由は毎年毎年税引き後利益を増やして、株主への配当金を増やすこと」という株主資本主義です。自社の株主総会にも出たことがあるのですが、株主にペコペコする経営陣と、自分はまるで王様と勘違いしたかのようなモンスター株主にヘキヘキしました。東京電力も毎年の株主総会を平穏無事に乗り切るために、原発の津波対策や電源喪失時の安全対策費をケチって、利益を増やさなければなりません。そのために政治力を駆使して、自民党に大量の政治献金をして、自民党議員を通じて官僚に圧力をかけ、原発の国の安全基準を低くさせてきたのでしょう。海水注入で廃炉にせざるを得ない、というときに会長、社長の頭をよぎったのは会社の資産を毀損したことを株主からの追求に対する恐れで、廃炉を躊躇したという側面があると思われます。会社は株主のもの、というヘンな資本主義を吹き込まれていなければ、原発周辺住民など、株主以外のステークホルダーのことをもっと考えた判断ができたと思われます。駆け出しのベンチャー企業なら、会社を立ち上げるための資本金を拠出した株主が威張って「会社は自分らのもの」というのはわかりますが、東京電力のように営業を数十年もやってきた伝統的な企業において、会社の中を流れているほとんどのお金は消費者の払った電気料金であり、株主の出した資本金なんてほとんど残ってないですよね。それなのに株主総会でエラソーに「利益いっぱい出して配当しろ」と叫んでいた株主こそ、今回、責任を取ってもらいたい。(2011/05/18)

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さらに真の理由が隠れているように思います。この10年で米国から吹き込まれた「会社は株主のもの」「会社の存続理由は毎年毎年税引き後利益を増やして、株主への配当金を増やすこと」という株主資本主義です。自社の株主総会にも出たことがあるのですが、株主にペコペコする経営陣と、自分はまるで王様と勘違いしたかのようなモンスター株主にヘキヘキしました。東京電力も毎年の株主総会を平穏無事に乗り切るために、原発の津波対策や電源喪失時の安全対策費をケチって、利益を増やさなければなりません。そのために政治力を駆使して、自民党に大量の政治献金をして、自民党議員を通じて官僚に圧力をかけ、原発の国の安全基準を低くさせてきたのでしょう。海水注入で廃炉にせざるを得ない、というときに会長、社長の頭をよぎったのは会社の資産を毀損したことを株主からの追求に対する恐れで、廃炉を躊躇したという側面があると思われます。会社は株主のもの、というヘンな資本主義を吹き込まれていなければ、原発周辺住民など、株主以外のステークホルダーのことをもっと考えた判断ができたと思われます。駆け出しのベンチャー企業なら、会社を立ち上げるための資本金を拠出した株主が威張って「会社は自分らのもの」というのはわかりますが、東京電力のように営業を数十年もやってきた伝統的な企業において、会社の中を流れているほとんどのお金は消費者の払った電気料金であり、株主の出した資本金なんてほとんど残ってないですよね。それなのに株主総会でエラソーに「利益いっぱい出して配当しろ」と叫んでいた株主こそ、今回、責任を取ってもらいたい。(2011/05/18)

山口さんの記事の推測が正しければ、今日の我が国の経営者特に独占企業や公務員社会に所属する人たちは、危機管理能力が全くないとしか言えない人たちの集団であると考えられます。このことが技術立国を標榜してきた日本という国の衰退を来す原因と考えられますが、その基本に現在の我が国の教育にあるように思えてなりません。批判すること、現状調査をして今がどうあるかを認識することは容易ですが、いくらそうしたことを繰り返しても、調査しかできない人たちには、どうしたらこうした現状を改善できるのか、はたまたより新しい国家の形を構築するにはどうしたらよいか、創造的なプランをどうしたら示すことができるのか、はできないのではないでしょうか? 今回の大震災は、戦後65年間にわたって気づかれてきたこの国の形をゼロから皆を寿時が来たということを突き付けているように考えられます。政治家もジャーナリストも、批判すべき対象を探して、欠点をあげつらうのみで、誰も改革のプランを示すことができない情けない状況に陥っているように思えます。改革あんをかんがえてそれをはっしんすることを、その方法を考えてみませんか?(2011/05/18)

経営陣が自然災害に恣意的な確率をつけ数字を比較しただけでリスク管理ができているとしたつけです。原子力発電が制御可能とするなら、それを担保する全電源喪失時に対応できる設備投資を行い、実行のトリガは経営判断から独立なものにしておくべきでした。リスク回避の費用を宇宙船地球号の水タンク内へ放射性物質をばらまくことの代償と比べていなかった事が残念です。(2011/05/18)

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