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「お前もか!」 手塩にかけた人材に去られるトップの苦悩

中小企業こそ“つながり”を通じた底力の発揮を目指せ

2011年10月13日(木)

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 「どういうわけか惚れたヤツほど、去っていく。こっちがどんなに手を尽くしてもダメ。会社と従業員の関係って、男と女の関係にどこか似てるんですかね~」

 こうこぼすのは、従業員300人ほどの中堅企業のトップだ。「中小企業が生き残るには、“人”しかない」というのが、このトップの信条である。

 「やっと育ったというところで、大手企業の中途採用に持っていかれるんです。うちは人材育成センターなのかと、情けなくなりますよ」

 “人”が命の中小企業にとって、手塩にかけてやっと「一人前」に成長した従業員に辞められるのは大打撃。しかも、その行く先が「我が社よりも安定している大きなところ」とあっては、釈然としない気持ちにもなる。「どこまで世の中、理不尽なのか」と。

 いわば、企業間の機会格差。

 新卒採用から中途採用に至るまで、“いい人材”を得るチャンスだけでなく、“いい人材”を定着させるチャンスまでも奪われる。強者がすべてを持ち去り、弱者はすべてを失う、ということなのだろうか。

 そこで今回は、「中小企業トップの苦悩」について、考えてみようと思う。

人を大切にしようとするほどしんどくなるという悲哀

 「育てても辞めてしまう社員というのは、昔からいました。でも、以前はそれを見越しての採用ができた。今はできないですね。削れるものはこれ以上ないっていうくらい削っている中で、新卒を採って育てているのが現状ですから。大企業は組織力で戦えるかもしれません。でも、うちのような中小は人しかない。辞める社員に、『外でも頑張れ!』とカッコ良く背中を押してあげられればいいかもしれません。でも、残念ながらその余裕はないです」

 「しかも、たいていの場合、1つ大きな仕事をやって本人も自信をつけて、周りも『よし、これからだ!』と任せようとした途端に、辞めちゃうんです。で、辞めていく社員に『何が不満だったのか?』と聞くでしょ。すると、『仕事に不満はない』と答える。だったら辞めるなって思う。ホント情けなくなりますよ」

 「確かに残念ながら大企業のような高待遇はうちでは用意できません。だからこそ、少しでも本人が腰を据えて安心して働けるように、努力しているつもりです。最近は採用面接でも、『採用になった会社で長く働きたい』と話す学生が多いですから、入社する時に、『うちは最後まで雇い続ける』と宣言してるんです。でも、きっと心の中では、『こんな会社にずっといられるか』と思ってるんでしょうね。いやいや、ずいぶんと卑屈なことを言ってしまいました。スミマセン」

 即戦力を合言葉に、はなから教育を放棄する会社がある一方で、このトップの会社のように人を大切にしようとすればするほど、しんどくなる会社もある。期待をしない限りは人材育成などできないだろうし、育てる過程では目に見えないコストだってかかる。辞められた時の損失は、心理的にも物理的にも多大なのだ。

 世の中、正しいことが通るとは限らないとはいうものの、ショックが大きいだけに、このトップの方も、やるせなさと歯がゆさを感じていたのだろう。

コメント46件コメント/レビュー

 辛口のコメントが多いが、それを削除せず掲載しているところは偉い。このコメントを参考に、今後の記事作りに役立ててもらえればいいと思う。 今回の記事の経営者も、そういった部下からのコメント(フィードバック)にきちんと対応していれば、急に辞められることもなかったのではないか。給与そのものを上げるのは難しくても、人間関係や仕事のやりがいなどは、コミュニケーションで解決できる事も多い。 余談だが、同じ日経を冠していても日経BPnetの方は、都合の悪いコメントは掲載しない方針のようですね。それなら最初からコメント欄など設けなければよい。都合のいい意見だけを聞き始めると会社も連載記事も人が離れていくのは自明の理(2011/10/20)

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「「お前もか!」 手塩にかけた人材に去られるトップの苦悩」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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 辛口のコメントが多いが、それを削除せず掲載しているところは偉い。このコメントを参考に、今後の記事作りに役立ててもらえればいいと思う。 今回の記事の経営者も、そういった部下からのコメント(フィードバック)にきちんと対応していれば、急に辞められることもなかったのではないか。給与そのものを上げるのは難しくても、人間関係や仕事のやりがいなどは、コミュニケーションで解決できる事も多い。 余談だが、同じ日経を冠していても日経BPnetの方は、都合の悪いコメントは掲載しない方針のようですね。それなら最初からコメント欄など設けなければよい。都合のいい意見だけを聞き始めると会社も連載記事も人が離れていくのは自明の理(2011/10/20)

この辞めた人、たぶん「お金」が理由だと思いますよ。自分以外の人、特に今後の自分の将来予想図の上司をみて、このままじゃまずいと思ったのでしょう。(2011/10/20)

最後は「金」です。いくらきれいごとを言ったって、中小に努めていては「安全・安定の欲求」すら満たされませんから。そういうところに「社会的神話の欲求」があるといわれても、大企業に目がいきますよね。「金」を与えられないなら、せめて「長期の休暇」や「残業なし」等の、ライフスタイルを選択できる項目を目玉にすべきでしょう。それでも「時間当たりの単価」(給与÷労働時間)がよくなければ話になりませんが。中小企業で「滅私奉公」を強いられるのはこりごりです。(2011/10/17)

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ジェームズ・マクリディ アドビシステムズ日本法人社長