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菅野選手の入団拒否は罪なのか?

ファイターズが一石を投じたドラフトの形骸化

2011年11月10日(木)

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 その瞬間、会場は大きなどよめきと歓声に包まれました。

 10月27日に開催されたドラフト会議にて、1巡目で読売ジャイアンツからの単独指名が有力視されていた東海大学の菅野智之投手を北海道日本ハムファイターズも指名し、抽選の結果、ファイターズが独占交渉権を得たのです。

 菅野選手がジャイアンツ原監督の甥であることも騒動に拍車をかけ、連日メディアには「強行指名」「強奪」などの刺激的な言葉が並びました。その後、同選手の身内から「挨拶もなく指名するのは人権蹂躙だ」「同義的に許されるのか」などの発言もあり、その報道は日に日に過熱していきました。

 ところで、ファイターズの指名はドラフトのルールに則ったものであり、法律違反を犯したわけでもありません。一方、ジャイアンツ入りを熱望していたと言われる菅野選手は、ファイターズへの入団を拒否するのではないかという憶測も流れています。しかし、入団を拒否することも菅野選手に認められた選択肢の1つであり、別にルールや法律に違反しているわけではありません。

 誰もルール違反を犯したわけでないのに、これだけ世間から騒がれるのは一体なぜなのでしょうか?

ドラフト制度は法律違反?

 ドラフト制度は法律違反ではないかという意見があります。

 確かに、通常の産業に比べるとおかしな制度です。例えば、あなたが商社への就職を希望する就活中の大学生だったとします。あなたの大学成績は優秀で、多くの課外活動も経験し、リーダーシップにも優れています。当然、あなたは業界トップのA商事を皮切りに、大手のB物産、C通商という順で就職活動を進めていくことが可能です。別に、A商事の役員に自分の伯父がいたとしても、志望動機に誰も文句を言う人はいないでしょう(むしろ、よくある話かもしれません)。複数の商社から内定が出れば、自分の最も行きたい会社に行くことができます。

 しかし、プロスポーツ業界への就職を希望する学生には同じことが認められていません。最下位に低迷する球団が、あなたの意志と無関係にあなたを指名し、それに従うしかないのです。あるいは、複数球団が競合した場合、あなたの就職先が抽選で決められてしまいます。あなたはその結果に納得いくでしょうか?

 このように考えると、ドラフト制度は「憲法の保障する職業選択の自由を侵す」「独占禁止法の禁ずる取引制限に当たる」という意見には一定の合理性が認められます。しかし、別の見方も可能です。

 晴れてあなたは第一志望だったA商事に入社できました。あなたは、伯父さんが働いていたエネルギー部門で海外を飛びまわってバリバリ仕事をこなしたいと思っていました。しかし、あなたの配属されたのは人事部でした。人事制度を抜本的に改革しようと考えていたA商事は、あなたの能力を見込んで敢えてあなたを希望と違う部著に配置したのです。

 商社への就職を希望した時点で、多くの学生は希望通りの部署で働けないリスクを認識し、それを事実上承諾しています。希望する部署に行けないことを理由に入社辞退する新入社員などほとんどいないでしょう。仮に、入社を辞退して翌年エネルギー部門への再登用を期待してA商事を再受験しても、常識的にそのような学生は採用されないでしょう。

 つまり、スポーツ業界を通常の産業と同じく球団が個別に自由競争を行うビジネスと考えるか、球団が一定の協調関係を築きながら総体として1つの組織として機能するビジネスとして捉えるかで、見方が違ってくるのです。

コメント13件コメント/レビュー

そもそもプロ志望届を出している大学生をルールに則って指名したファイターズがなんで叩かれてるのか全然理解できません。勿論仮に菅野選手が「自分の意思で」入団拒否する事も現行のルールではなんら問題ではないと思います。問題なのは抽選くじを外した(それも自分の方がくじ順が早かった)くせに的外れな文句を垂れる某球団と東海大野球部総監督(菅野の祖父)じゃないんでしょうか。また、新卒就職難のこのご時世に、入団すれば契約金1億円と年俸1千万を貰える(であろう)菅野は自分が恵まれすぎているという自覚は無いんでしょうか?自分が大学3、4年生だったら菅野を妬みますね。あと、総監督も本当かどうか「今後東海大系列の選手はファイターズには入団させない」と放言してたみたいですが、逆に東証一部の大企業である日本ハム(親会社)から「今後東海大系列の学生は絶対に採用しない」という羽目になったらどうするつもりだったんでしょうか・・・(2011/11/10)

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「菅野選手の入団拒否は罪なのか?」の著者

鈴木 友也

鈴木 友也(すずき・ともや)

トランスインサイト代表

ニューヨークに拠点を置くスポーツマーケティング会社、「トランスインサイト」代表。一橋大学法学部卒、アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)出身。スポーツ経営学修士。中央大学非常勤講師

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

そもそもプロ志望届を出している大学生をルールに則って指名したファイターズがなんで叩かれてるのか全然理解できません。勿論仮に菅野選手が「自分の意思で」入団拒否する事も現行のルールではなんら問題ではないと思います。問題なのは抽選くじを外した(それも自分の方がくじ順が早かった)くせに的外れな文句を垂れる某球団と東海大野球部総監督(菅野の祖父)じゃないんでしょうか。また、新卒就職難のこのご時世に、入団すれば契約金1億円と年俸1千万を貰える(であろう)菅野は自分が恵まれすぎているという自覚は無いんでしょうか?自分が大学3、4年生だったら菅野を妬みますね。あと、総監督も本当かどうか「今後東海大系列の選手はファイターズには入団させない」と放言してたみたいですが、逆に東証一部の大企業である日本ハム(親会社)から「今後東海大系列の学生は絶対に採用しない」という羽目になったらどうするつもりだったんでしょうか・・・(2011/11/10)

この問題はドラフトというよりは球界の盟主を自任しておられる球団とそのオーナー企業のモラルのなさが最大の問題ではないかと。モラルなど介在のしようもないシステムにするのが一番手っ取り早いでしょうが自球団の勝利こそが球界の繁栄であると信じてやまない盟主がいる状況では上手くは行かないだろうなと思ってます。(2011/11/10)

NPBに就職して球団に配属ということなら、契約は選手とNPBでも良いのでは?兎にも角にもNPBのドラフト制度は中途半端なものであることは良く解りました。また、戦力均衡しているかどうかはかなり主観的な部分があるような気がします。米国スポーツも戦力均衡しているとは言い難い部分もあると思いますし。それと、日本のプロ野球のくじ引きで球団が決まることを「ドラマ」としている風潮は苦手です。Jリーグは自由競争ですし、プロとアマの関係も含めて見直す時期に来ていると思います。とは言っても変わらないのでしょうね・・・(2011/11/10)

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