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野田首相は化けるかもしれない?

御厨貴・東京大学先端科学技術研究センター教授に聞く【最終回】

2011年12月15日(木)

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池上彰氏

池上:ええっ! その官僚、人事担当ですよね。そんなやりとりを目の当たりにしたら、誰も官僚になろうなんて思わなくなっちゃいますよ。人事担当者は、たとえそれが本当でも、上手にウソつけるひとじゃないと、官僚としてはいかがなものか(笑)。

御厨:もちろん「私は定年まで勤め上げます」とはっきり言わなければいけないわけじゃないですけどね、ただ、そんな答えを聞かされた学生たちは、唖然としちゃいます。このエピソードを聞いて、いま一番やらなければならないことは、学生たちより前に、まず現役官僚たちに日本をどうするのか真剣に考えるチャンスを与えることではないか、と感じました。官僚が自分の仕事に疑問を持つようじゃ、真っ当な行政をできるわけはないんですから。

池上:政治主導の名の下で、「すべては政治が決めるから、お前らはただ言う通りにしろ」と頭ごなしに言われ続けていれば、そりゃあやる気もなくなりますよね。いくら政治家が優秀でも、すべて自分たちだけで決めるのは不可能です。官僚たちの高い能力を十二分に発揮させることを考えるべきですよね。そもそも、官僚たちは誰しも、「日本をもっと良い国にしたい」という志を持って入省したはず。そんな官僚たちの仕事がいかに大切なのか、改めて再認識してもらう必要があるというのは、納得です。

東北復興はまたとない官僚の育成のチャンス

御厨:でも、一方でいまの現役学生たちを最近「大したものだな」「頼もしいな」と思うことがあるんですよ。今年、ゼミの学生たちが時々、消えていなくなるんです。(あれ? 今週、あいつの顔、見てないな)と思っていると、翌週ひょっこりゼミに出てきている。どこへ行っていたのか、と聞いてみると、「1週間、リュックを背負って被災地に行ってきました」と言うんです。「ぼく、ボランティアに行ってきました!」とか声高に主張したりせず、自然体でふらっと現地に出かけていく。「被災地に友人ができたので、また行ってきます」と言って。何より素晴らしいなあ、と思っているのは、被災地で彼らは初めて勉強してくるんですよ。「公に尽くすとは何か」ということを。

池上:うーん、すごくいいことですね。まさに政治の原点であり、行政の原点ですね。今の学生たちが持っている、気負いなく被災地でボランティアができる側面をうまく伸ばすと、日本を支えるかけがえのない人材に育ってくれそうです。ボランティア活動は1人ではできません。必ず、組織を動かすか、組織の中で動くことになる。集まってきたボランティアの人たちに、誰かが指示を出さなければいけない。あなたは家財道具を片付けに行ってください、あなたは炊き出しをしてくださいと言った具合に。指示される立場になって臨機応変に動いたり、あるいは指示する立場になってその場で作業工程を考え、人員配置を行ったりする経験をつめば、自然と行政マンとしての能力がついていきますね。被災地で頑張る学生たちの将来が楽しみです。

御厨:同感です。学生たちにとってまたとない良い経験です。実は学生たちだけではないんです。東日本大震災は、若手官僚たちがもう一度がんばれる機会、そして人材育成の機会になっているんです。こんな話があります。僕のゼミ出身者の若手官僚が、震災直後から、首相官邸の地下の対策本部に放り込まれました。20代の官僚たちが各省庁から集められて、被災地対応をすることになった。震災対応という緊急事態に、ばらばらの省庁から集まった官僚たちをチームとして機能させるのは実はとっても難しい。「いったい誰がどうやってチームを指揮したの?」と彼に質問したら、「自衛隊から来た人です」というんです。

池上:自衛隊の人が、現役官僚たちを指揮、ですか?

震災対応で見えた、自衛隊のすごみ

御厨:はい。現場作業を担う自衛隊の若い人間がやってきて、決して威張らずに、「まず最初に何をやらないかいけないか決めて、何をするのかすぐにチーム分けをしましょう」と先頭に立って、指示を出し始めた。おかげで、財務省から経産省から国交省から総務省から、各省庁から送り込まれた文官の諸君は、自衛隊の若手の指示に従って、震災対応の作業をすぐにスタートできたそうなんです。

池上:すごい話ですね(笑)

コメント41件コメント/レビュー

記事を読んでいたら、政治家の役割とは・官僚に自由にやらせた上で、・官僚の暴走をチェックしそれを食い止めるこれだけでいいような気がしてきた。(2011/12/20)

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「野田首相は化けるかもしれない?」の著者

池上 彰

池上 彰(いけがみ・あきら)

ジャーナリスト

1950年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。報道局主幹を経て、2005年3月よりフリージャーナリストとして活躍中。2012年4月から東京工業大学で東工大生に「教養」を教えている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

記事を読んでいたら、政治家の役割とは・官僚に自由にやらせた上で、・官僚の暴走をチェックしそれを食い止めるこれだけでいいような気がしてきた。(2011/12/20)

化けるというのは演説という言葉で示せれるものでは無く行動によるものだ。すなわち、議員、公務員の報酬その他の削減を行った後、保険料給付を減らし、なおかつ増税をおこなって、現実的で持続可能な政治形態を構成することだ。野田政権では何一つできないだろう。せいぜい最後の増税のみを行って不景気を発生させる今年か出来ないだろう。総理が一年ごとにかわることなど気にするな。ちゃんとした総理が現れるまで何度でも取り替えればよい。海外が笑ってる?それこそ気にすることじゃない。(2011/12/18)

NBOの記事では、今まで世の中に知られていない行動者が登場して、我々読者を驚愕させ、知的な興奮を与えている。しかし、この連載では、登場者の名声を貶めないような配慮が度を越していないか?NBOでは、名声ではなく、真に知的な人、あるいは行動で世の中に寄与する人が読者の支持を得ていると思う。その意味で、今回に連載に対する、NBOの防衛的配慮には、今後のNBOの真のマスコミ魂に対する後退、を懸念する。NBOは、無意味なコメントや明らかに反社会的なコメントに対し、明確にノーと意思をし、無視し、自身の良心に基づく判断に従って欲しい。  いづれにせよ、今回の連載での登場者(時代の寵児)に対する配慮は行き過ぎていると、批判したい。(2011/12/17)

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