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【最終回】日本には「こうなりたい」が足りない

「ブレない組織、ブレない生き方」実現のためのヒント(2/2)

  • 武田 斉紀

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2011年12月26日(月)

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「自分はどうなりたいのか」が明確な人は、いつもブレない

 実感としては、「会社としてどうなりたいのか」をあらかじめ明確に打ち出せている会社はまだ多いとは言えない。

 打ち出せていれば、今度は働く側が選ぶ番だ。続いて個人が、「自分はどうなりたいのか」をあらかじめ明確にしておくことについてお話ししていこう。もしも会社側が明確に打ち出せていなくても、働く側が仕事を通して「自分はどうなりたいのか」をはっきりとつかめていれば、働く側だけである程度判断できる。

 「会社=労働を売って対価を得るだけの場所」以上に、仕事に何を求めるのか。「自分の成長感」「何かの資格やスキル(あるいはタイトル)が得られること」「顧客に喜ばれること」「社会に認められること」「会社や上司に褒められること」「職場の仲間と楽しく過ごせること」。金銭的な対価にしても「頑張った分だけ金銭的に認められること」というのもあるだろう。

 例えばプロ野球選手を想像すれば、求めているものは今挙げたどれか1つではなく、いくつかあってもおかしくないことが分かる。次にあなた自身に置き換えてみるとどうだろう。仕事を通して「自分はどうなりたいのか」は複数あるはずだ。自分が求めるものはどれとどれなのか、そして優先順位はどうか。それは人それぞれだ。

 「顧客に喜ばれること」を一番に置き、喜ばれた結果として「頑張った分だけ金銭的に認められること」を求める人がいる。片や「頑張った(例えば売り上げの数字など)分だけ金銭的に認められること」が前提で、できれば「顧客に喜ばれること」も目指したいとする人がいる。2人は求める項目は同じで優先順位が異なるだけだが、具体的に合う会社となると違ってくるだろう。

 私は理念とは切っても切れない人材採用の支援もしているが、「自分はどうなりたいのか」が明確な人は、待遇条件だけで会社を選ばない。

 私が「この会社はこういう考え方を基本理念に置いています」と説明すると、条件が良くても「分かりました、自分にはたぶん合わないと思います」と断わってくる。彼らは、目先の待遇条件よりも、そこでの長い仕事生活を通して自分の求めるものが得られるかどうかの方を重視している。

 自分に合わない会社で悶々としているより、入り口の待遇条件が少々低くても自分に合った会社を選んだ方が、自分の強みが発揮できて認められやすい。長い目で見れば待遇さえも上回る可能性が高い。私の知人にも、合った会社を優先して選び、第二の仕事人生を会社幹部として活躍している人が少なくない。

 よく言われることだが、恋愛や結婚と同じだ。最低限の生活力がなければ暮らせない。だが「人生の目的はぜいたくに暮らすこと」という人を除けば、長く一緒に暮らすうえではもっと大切なものがあると知っている。目指す生き方や価値観、相性の一致といった、お金以外のことだ。

 「自分はどうなりたいのか」があらかじめ明確な人は、いつもブレない。そして人生において大きな決断を求められるたびに、その判断規準は磨かれていく。

 このシリーズの第1回、『2010年の「ブレなかった大賞」は?』では、誠に勝手ながらサッカー日本代表の前監督の岡田武史さんを選ばせていただいた。その岡田さんがこのオフシーズンにJリーグ某チームの次期監督になるかもしれないとの報道がされた。いよいよ現場復帰かと期待した。ところが直後にひっくり返り、中国のサッカークラブ、杭州緑城への監督就任が発表された。(AFP BBニュース2011年12月17日

 多くの人が耳を疑った。なぜJリーグではないのか。なぜアジアで日本が戦う相手であり、日本代表が行けば容赦なく大ブーイングを浴びせる中国を選んだのか。中国人選手に日本人監督は受け入れられるのか。負けが込んだ瞬間、強烈な批判を浴びないのか。一方で私を含めて、岡田さんに対してちょっと裏切られたような気持ちになった日本人も少なくないのではないか。

 日本のサッカーの未来を描き、選手の矢面に立ちながら2010年のワールドカップ南アフリカ大会を戦い抜いた闘将が突然どうしたのだ。まさか金銭条件に目がくらんだのか。

 しかしその後、テレビのインタビューにしっかりとした声で答える岡田さんの説明を聞いて私は納得した。敢えて中国のプロリーグを選んだのには訳があった。

 「(日本でやれば)楽だし、リスクも少ない。でも何か違うなと感じた」(スポニチアネックス2011年12月16日)「アジアが強くならないと、日本はいつか頭打ちになって世界で勝てなくなる。アジアのレベルを上げないといけない。キーになるのは中国だ」(デイリースポーツ同12月17日)。

 岡田さんはブレてなどいなかった。むしろ日本のサッカーの未来をしっかりと考えたうえでの大いなる決断だったのだ。

 報道によれば杭州緑城のオーナーはかなりサッカーに熱い人で、過去にはいろいろと現場に口を出してきたらしい。岡田さんなら、そんな逆境をも自分の糧に変えてしまうと期待したい。

コメント5件コメント/レビュー

そもそも250年も鎖国の上の結果の上にある日本人の脳ミソで「こうなりたい」ができるんですか?出来ていれば今頃このような財政危機はないはずです。もはや借金は返済不可能な域。いっその事財政破綻して全てをリセットした方が早い。(2011/12/27)

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いただいたコメント

そもそも250年も鎖国の上の結果の上にある日本人の脳ミソで「こうなりたい」ができるんですか?出来ていれば今頃このような財政危機はないはずです。もはや借金は返済不可能な域。いっその事財政破綻して全てをリセットした方が早い。(2011/12/27)

国のかたちがちっとも決まりませんね。恐らく政治家、役人が世界が見えていないから、世界の中の日本を考えられない。北朝鮮だって世界の中の国を模索しているはず。貯金があるから国債を発行しても大丈夫などという井の中の蛙レベルの頭脳連中が国を仕切っているんだもの。コスト削減が利益を生むと勘違いした20年間で人は疲弊した。下請けの給与を本社が利益として付け替えただけだった。本当は創造が利益を生む。コスト削減にも少しは創造があるのだろうが、アップルの創造をみて、これが本当の創造だと皆今頃気がついた。疲弊した国民からピンはねして潤う役人たちの倫理観の欠如。国のかたちという哲学とそれに基づく倫理意識が国を作る。さてお前は?となると、日本が絶頂のときにためたお金はどこへ?それを元手に世界の金貸しになれば、イギリスのように、ランキングは落ちても一等国を自認できたのではなかろうか。あのカネは?今国債になっている?役人と政治家がピンはねして、つかっちゃった?ということ? だめだこりゃ、長さん。(2011/12/26)

20代後半男性です。2ページ目までの記事内容は「確かにそうかな」と思いますが、<決められない原因は、「国としてどうなりたいか」が明確ではないからではないだろうか。>というのはちょっと違うかなと思います。一応、「負担増を避けながら、社会保障を手厚くする」という方針にのっとって政治を進めているのかなと感じます。なんで、赤字国債をいくら以下に抑えますというという発言はとりあえずの体裁。実際によく聞く発言は「これ以上の借金依存は難しい」。これってこれくらいの借金は特に問題視してませんってことですから。民意,民意といいながらも議員さんの考えは議員さん以外とずれにずれているんでしょう。(2011/12/26)

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