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ネット時代こそ“ものづくり”にこだわり、TOTOのブランディング戦略

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  • 2012年11月27日 火曜日
  • 岡田 有花

 サッカーゴールに陣取る白い洋式トイレが、相手からの強烈なシュートをはばむ――。YouTubeに公開されたこの奇妙な動画は、住宅設備機器メーカーのTOTOが若年層向けブランディングキャンペーンの一環として制作したものだ。公開後1カ月で、70万回以上も再生される話題の動画となった。クチコミを増幅させた秘訣は、ネットも活用したキャンペーンでも“ものづくり”を重視するTOTOの姿勢だったようだ。

 その動画はこんな展開だ。

動画「S.G.T.K(スーパー・グレート・トイレ・キーパー)」は1カ月間で70万回以上再生された

 フィールドでボールを操り、ゴールを狙うは、元サッカー日本代表選手の久保竜彦氏。立ちはだかるキーパーは、白い洋式トイレだ。ゴールの真ん中に真っ白なトイレが鎮座し、ふたを開けて待ち構える。

 久保選手がボールを蹴り、シュート! すかさずトイレが傾き、ふたでボールをはじき返す。打っても打っても無残にはじき返されるボール。ふたに跳ね返ったり、便器から飛び出たボールにぶつかったり。一向にゴールは決まらない。

 シュートを見事にセーブしたのは、ゴールキーパー型トイレ、その名も「S.G.T.K(スーパー・グレート・トイレ・キーパー)」だ。TOTOと、日本スポーツ振興センターのサッカーくじ「toto」が10月17日にスタートした「トートートトト」というコラボ企画で、ゴールキーパー型トイレを実際に開発した。

 ゴールキーパー型トイレの実物はこれまで2回、Jリーグの試合前にスタジアムに登場し、サポーターとPK対決してきた。対戦日程や結果は、特設サイトとFacebookページで紹介。CGを使った動画と異なり、実物のセーブ率は25%程度と低いが、「まだ始まったばっかり 頑張れ!」など、Facebookにはファンからの温かいコメントが寄せられている。

「面白さ」を若年層への糸口に

 TOTOにとってこの企画は、2009年から続けてきたプロモーション活動「TOTO TALK(トートートーク)」の番外編という位置づけだ。TOTOが自ら若者に話しかけ、事業を理解してもらおうという試みである。

 TOTOといえば、温水洗浄便座「ウォシュレット」のイメージが鮮烈だが、その発売は1980年と30年以上前にさかのぼる。また同社はトイレに限らず、浴室やキッチンなど水回り全般を手がけているが、家の新築やリフォームを検討しない限り、それを知る機会も少ない。

 「50代、60代の方はTOTOというとウォシュレットを想起されるが、20代、30代の方は、TOTOイコールトイレぐらいのイメージしかない」

 TOTO TALKの発端は、そんな問題意識からだったと、同社メディア推進部マスメディア企画グループグループリーダーの森川光子氏は話す。

 TOTO TALKでは、「まじめなことをまじめに語っても仕方がない。面白くすることで、お客様の頭にスッと入っていく」(森川氏)と、老若男女を問わず、恐らく誰もが知っている「TOTO=トイレ」というブランドを活用しつつ、面白いコンテンツを作ろうとチャレンジしてきた。第1弾は2009年に展開した、しゃべるトイレ「ネオ1号」とハイテクトイレ「ネオ2号」だ。

 ネオ1号は、トイレのふたをくちばしのようにパタパタさせながら、TOTOの環境への取り組みやトイレの節水機能、TOTOのトイレ以外の事業などを紹介する。そんなネオ1号が俳優の加瀬亮さんとトークする様子をテレビCMで流し、Webサイトにも動画を置いた。ネオ2号は、じゃんけんをする、歌を歌うなど23もの機能を詰め込んだハイテクトイレで、実物を東京都港区の「カレッタ汐留」と千葉県立現代産業科学館に展示し、Webサイトで動画中継。Webから操作もできるようにした。ネオ2号のサイトには、立ち上げ時の約1カ月間で2万弱の訪問があったという。

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