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元P&Gの“ドリームCMO”が語る、ビッグデータへの期待と懸念
ジム・ステンゲル氏 元プロクター・アンド・ギャンブル GMO

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  • 2013年8月2日 金曜日
  • 安倍 俊廣

米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)でGMO(グローバルマーケティング責任者)を7年にわたって務めたジム・ステンゲル氏に、ビッグデータ時代のマーケティングについて聞いた。ステンゲル氏は米フォーチュン誌が選ぶ理想的な企業の経営陣「Executive Dream Team」のCMOとして選出されるなど、世界でも有数のマーケティング責任者として知られる。人々を喜ばせる製品やサービスのイノベーションを起こすことこそマーケティングの役割と考える同氏は、ビッグデータの重要性を指摘しつつ、「創造性は人しか持ち得ない資質」と語り、マーケター個々人のスキルがいっそう重要になると指摘した。

ビッグデータやデータサイエンティストが注目を集めています。マーケティングは、ビッグデータを抜きにしては語れない時代に入ったのでしょうか。

Jim Stengel(ジム・ステンゲル):1983年P&G入社。パンパースやファブリーズなどの製品開発やマーケティングで頭角を表し、2001年GMO(グローバルマーケティング責任者)に就任。80億ドルの広告予算を動かし、同社の売り上げを倍増させた。2008年に退社し、ジムステンゲルカンパニーを設立し、様々な企業にマーケティングを軸とするコンサルティングを実施している

 答えは、イエスであり、ノーでもありますね。

 先日私は、フランスのカンヌであった広告祭(「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル」、旧称「カンヌ国際広告祭」)に出席してきたのですが、ビッグデータの話題で持ちきりでした。世界からCMO(最高マーケティング責任者)が集まっていましたが、皆、ビッグデータに期待を寄せる一方で、膨大なデータの海に溺れないだろうかと、悩んでいました。

 確かにマーケティングは新しい時代に入ろうとしています。しかし、その先がどうなるか、なかなか見通せない。こうした局面では、原点に立ち戻って考えることが大切です。

 マーケティングの役割とは何でしょうか。人によって答えは様々でしょう。私は、人々を喜ばせる製品やサービスを生み出し、その需要を喚起することだと考えます。その目的を実現するのにビッグデータは役に立ちます。かつてはできなかった緻密な施策が打てるようになり、結果も迅速かつ詳細に把握できます。

 ですが、それはマーケティングの道具、手段として、役に立つということに過ぎません。

「CMOの理想像は、レオナルド・ダビンチ」

 マーケターとは、自分の担当する製品やサービスに、どのようにして価値あるイノベーションを起こすか。それをあれこれ手を尽くして考え、実現する仕事ですよね。イノベーションの源泉である創造性、アイデアを生み出すのは人であってデータではない。このシンプルな事実に、もっと目を向けるべきでしょう。

データ分析のスキルも必要になる。CMOを務めるのは、ますます大変になりますね。

 CMOの理想は、サイエンスとアート、その両方の能力を兼ね備えることです。実際にはなかなかおらず、歴史を見渡してもレオナルド・ダビンチくらいでしょう。芸術的な才能と科学的な分析や洞察の力の両方を持つ人なんて。

 経営とは科学そのものですから、ビジネスリーダーなら、サイエンスの能力に自信を持つ人のほうが多いのでしょうね。

どちらか一方の能力に自信があれば十分ということですか。

 仮に、自分にはアートの才能がないというなら、才能のある人をチームに加えれば良いのです。

 私自身は、様々なアイデアを考えたり、組織を作ったり、というアーティスティックな領域を得意としています。サイエンスにも一定のスキルはあります。プロフェッショナルとまでは言えませんが。

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