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「目指すのはオムニチャネル・バージョン2」  ――セブン&アイ・ネットメディア代表取締役社長の鈴木康弘氏が語る「2020年のセブン&アイ」
「モバイル&ソーシャルWEEK 2014」報告(6)

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  • 2014年7月28日 月曜日
  • ライター 藤野 太一

 「オムニチャネル・バージョン2と呼ぶべきものかもしれない」。「モバイル&ソーシャルWEEK 2014」の3日目の基調講演に登場したセブン&アイ・ネットメディア代表取締役社長の鈴木康弘氏は、セブン&アイ・ホールディングスが目指している、新しいビジネスの姿をそう表現した。

セブン&アイ・ネットメディア代表取締役社長の鈴木康弘氏

 昨年セブン&アイは、鈴木敏文会長兼CEO(最高経営責任者)の号令の下、ネットとリアル店舗を融合させるオムニチャネルの推進を、グループを挙げての最優先課題とした。その推進の旗振り役を務めるのが、鈴木康弘氏である。

 鈴木氏は講演で、2020年の日本市場にどれだけ大きな変化が予想されているかを語った。

 2020年には、まず人口の約3割が65歳以上となり、遠くに買い物に行けないであろう高齢者が増加する。30歳から59歳の女性に占める労働人口の比率は76.1%に達し、家事の負担軽減のために外食、中食に対する需要が増加するものと見られる。また総世帯数における34%が単身世帯となり、健康管理や家事のニーズはさらに高まることは必至と考えられている。

 こうした変化によって、流通系企業にとってますます重要になってくるのがEC(電子商取引)への対応だ。EC市場は現在の約10兆円から、その2倍を超える23兆7000億円にまで拡大すると見込まれている。

 この急成長するECと、セブン&アイのさまざまな業態のグループ企業が持つ、国内だけでも約1万8500店舗になる実店舗とを融合することが、オムニチャネルの実現につながる。米国で生まれた、このオムニチャネルという概念を身を持って理解すべく鈴木氏は昨年渡米し、米百貨店大手メイシーズなどへの視察を重ねた。その結果、セブン&アイが目指すべき、ある方向性を導き出したという。

 「米国は百貨店なら百貨店、ドラッグストアならドラッグストアと単一業態の企業が、リアルとネットの融合をはじめていることが多い。ITを駆使して、楽しさ、わくわく感を伝えて来店に結びつけることができる一方で、接客が至らずに、顧客を逃してしまうジレンマに陥っている。彼らはオムニチャネルにとって大切なことはITではなく、接客だと気付きはじめていた。そして我々は、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、百貨店、レストラン、銀行、とさまざまな業態をもっている。我々が目指すべきは、これらを融合させた独自のオムニチャネルだと気がついた」。

 これが鈴木氏が言う、オムニチャネル・バージョン2の意味である。

売り場、商品、そして接客

 鈴木氏によれば、オムニチャネル・バージョン2の実現には、3つのポイントがある。1つは売り場、2つめが商品、そして3つ目が接客だ。

 現在、セブン&アイ・グループの国内店舗数は合計で約1万8500。この膨大なタッチポイントを最大限に活用する。通販大手のニッセングループやバーニーズニューヨーク、雑貨販売の「フランフラン」(バルス)などの買収や提携は、その基盤をさらに強固にする狙いがあった。

 では商品面はどうか。「我々には優れたオリジナル商品をつくる力がある。高品質で100円という価格で話題のセブンカフェは昨年、4億5000万杯を売り上げた。『専門店の味に負けない』をコンセプトに謳うセブンゴールドシリーズでは、通常の倍はする『金の食パン』が大ヒットとなっている。また多くのPB(プライベートブランド)商品は価格を引き下げることを目的としているが、我々のセブンプレミアムは、その分野の一流メーカーと手を組んで開発している。ぜひ商品を裏返して、製造元を確認してみてください」。そう鈴木氏は自信を見せて語った。
 
 そして接客面。グループ全体で約30万人いる人材が武器となる。ネットに不慣れであったり体の自由がきかない高齢者との、地域に密着した関係作りのためにセブン-イレブンの店員が家に出向き、御用聞きを行うサービスなどを一部地域で試行している。

 「とにかく我々はさまざまな実験を続けていく。IT面でも昨年からグーグル、ヤフーやベンチャー企業などにもメンバーとして入ってもらい、いまのインフラで何ができるのか、新しい視点で意見をもらいながら取り組みを進めている。我々が目指すのは、世界最強のオムニチャネルリテーラー。いつでも、どこでも、何でも、誰でも、買い物を楽しめる新しい世界。これが我々の考えるオムニチャネルなのです」。

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