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豊かな国の富裕な銀行を守るために公的資金

ギリシャのデフォルトは“大山鳴動してネズミ1匹”

  • サイモン・ジョンソン,ダロン・アシモグル

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[1/2ページ]

2012年4月4日(水)

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著者のサイモン・ジョンソン氏はMITスローン経営大学院教授で、ピーターソン国際経済研究所のシニア・フェロー。IMFでチーフ・エコノミストを務めた経験を持つ。
Prospect誌は、同氏を「金融危機に臨む頭脳トップ25」の1人に選んだ。経済(及び経済学)が今どこに向かっているのか、を読み解く最も影響力のある人物との定評がある。
共著書にWhite House Burning: The Founding Fathers, Our National Debt, and Why it Matters to Youがある。

ダロン・アシモグル氏はマサチューセッツ工科大学(MIT)の経済学教授。Why Nations Fail: The Origins of Power, Prosperity and Povertyの共著者。

 欧州では「政策エリート」と呼ばれる意思決定者が深刻な問題に陥っている。それぞれの国とユーロ圏全体を支配する彼らは、舵取りを間違えて、深刻な危機へと事態を悪化させた。ユーロを創設した時に掲げた「統合と繁栄を実現する」との高邁な約束を、すべて裏切った。通貨同盟は生き延びるかもしれない。だが、持続的な成長と安定の確保という役目をユーロは遂に実現できなかったのだ。このようなことがなぜ起きてしまったのか、考えてみたい。

 ギリシャ、ポルトガル、アイルランド、イタリアの経済は、果てしない予算削減と増税を強いられて疲弊している。この政策ミックスは、これらの国々だけでなく欧州全体の成長を鈍化させるだろう。

 だが、これは問題の一部でしかない。より大きな問題は「過剰債務の重荷」だ。この重荷ゆえに、欧州政府はひたすら現在の政策ミックスを取らざるを得ない。ここに問題の根源がある。

 欧州の状況は、過去数年間に米国が陥っていた状況とかなり似ている。米国では、負債の重荷に耐えきれないと感じた多くの家計が支出を抑えた。この結果、消費は大きく冷え込み、今もまだ回復していない。

 欧州の調整はもっと苦しいものになる。ソブリン債務危機が消費者から投資家、公的部門を含めてすべてに圧力を及ぼしているからだ。

 この過大な債務の重荷に対処する簡単な方法がある。債務を再編、つまり借金を棒引きして支払いを減らせばよいのだ。実際のところ、少なからぬ企業が、借入条件について債権者と交渉し、既存債務の返済負担を減らすことに成功している――通常は返済期限の延長などの方法をとる。こうした措置は、債務者が、より良い新規プロジェクトに投資するための資金手当てにつながる。

 こうした交渉が自発的に達成できない場合、米国企業は米国連邦破産法第11条を申請することができる。裁判所が、同法に従って債務再編を承認し、再編過程を監視する。米国の家計や、債務の重圧に喘ぐ欧州政府も同様の手段が利用できると考えたいところだ。しかし、これまでのところ債務再編はほとんど行われておらず、時期も遅きに失している。これはなぜだろう。

「債務の再編に踏み切れば金融市場は大混乱に陥る」

 家計についても欧州政府についても、過大な債務の重荷を取り除くのに頑なに反対しているのは銀行だ。銀行は「債務の再編に踏み切れば金融市場は大混乱に陥る」とし、その理由を2つ挙げている。第1は、最大の債権者は銀行なので、どのような形で債務再編が実施されても銀行は大幅な損失を被る。それはドミノ倒しのように広がる。その結果、センチメントが大きく冷え込んで金利が上昇し、他の借り手にまで影響が飛び火する。

 第2は、銀行はクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)――デフォルトに対する保険――を販売している。債務が再編されれば、CDSが発動され、銀行はさらに重大な損失が免れないというわけだ。

 ギリシャについて、国際的な銀行は、債務再編の影響は、ユーロ圏内はもちろん、恐らくはより幅広い地域に波及すると声高に主張してきた。だが最終的にギリシャ政府は、民間投資家が保有するギリシャ国債の額面価値の約75%を減額した(それでもギリシャの債務負担を持続可能にするには恐らく不十分)。ギリシャにはこれ以外の選択肢がほとんど残されていなかった。ギリシャがとった措置は「信用事由(クレジットイベント)」に相当したことから、CDSが発動となった。CDSを提供した者はすべて支払いを余儀なくされた。

コメント4件コメント/レビュー

日本でも小泉内閣の竹中金融担当大臣がやった事も同じ。 中小の銀行は潰れようが、消滅しようが構わないが、主要銀行の倒産は国税を投入してでも救う。 大銀行と大企業さえ残っていれば国の経済は何とかなるが、それらが消えてしまうと影響が大きいと考えているのだろう。 倒産そのものに付いてはアメリカ等は増やし過ぎた社員の給料を下げたり、思い切った改革を実行する『良い機会』くらいに会社更生法を適用しているので、それらの国では『倒産させない』と言うよりは『消滅させない』という基準になるのだと思う。 この考え方は非常に危険。 銀行はどんな産業にも共通して『基本的に必要なもの』という思想が根底にあるのだと思う。 然し、近年では銀行もセブン銀行の様なコンビニ店舗、或は店舗を基本的に持たないネット銀行等が多くの市民に利用される様になって来ていて、企業相手の銀行の形態も今までのままで良いのか考え直すべき時になっているのではないか。 今の大手都市銀行が時代遅れの恐竜だとしたら、今後破綻しそうな時に『大手で影響が大きいから救済する』は無駄な税金出費になる。 経済を立て直すには倒れそうな会社を救うよりも、これから伸びる企業の発展に手を貸した方が資金効率も良い。 日本の大手都銀は預金残高では国際的なレベルにあるが、海外から国際的な銀行とは思われていない。 言わば『力不足』の大きいだけの銀行なのだ。 そんな銀行の為に今後巨額の国税をつぎ込んではならないと思う。(2012/04/04)

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いただいたコメント

日本でも小泉内閣の竹中金融担当大臣がやった事も同じ。 中小の銀行は潰れようが、消滅しようが構わないが、主要銀行の倒産は国税を投入してでも救う。 大銀行と大企業さえ残っていれば国の経済は何とかなるが、それらが消えてしまうと影響が大きいと考えているのだろう。 倒産そのものに付いてはアメリカ等は増やし過ぎた社員の給料を下げたり、思い切った改革を実行する『良い機会』くらいに会社更生法を適用しているので、それらの国では『倒産させない』と言うよりは『消滅させない』という基準になるのだと思う。 この考え方は非常に危険。 銀行はどんな産業にも共通して『基本的に必要なもの』という思想が根底にあるのだと思う。 然し、近年では銀行もセブン銀行の様なコンビニ店舗、或は店舗を基本的に持たないネット銀行等が多くの市民に利用される様になって来ていて、企業相手の銀行の形態も今までのままで良いのか考え直すべき時になっているのではないか。 今の大手都市銀行が時代遅れの恐竜だとしたら、今後破綻しそうな時に『大手で影響が大きいから救済する』は無駄な税金出費になる。 経済を立て直すには倒れそうな会社を救うよりも、これから伸びる企業の発展に手を貸した方が資金効率も良い。 日本の大手都銀は預金残高では国際的なレベルにあるが、海外から国際的な銀行とは思われていない。 言わば『力不足』の大きいだけの銀行なのだ。 そんな銀行の為に今後巨額の国税をつぎ込んではならないと思う。(2012/04/04)

このままでは「金融市場は寄生虫だから、消滅させてしまえ」というレーニン的な発想が出てくるのも時間の問題なのでは?(2012/04/04)

今回のAIJの件でも、どっかの富裕層のヘッジには大いに寄与していることだろう。銀行をはじめとする金融資本のあり方自体がアメリカのグローバル化で相転移したのが現実か?(2012/04/04)

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