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「増税先送り論」の深層心理

政府のあり方を議論し初めて決まる税負担のあり方

  • 土居 丈朗

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2014年12月22日(月)

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 わが国で、増税に反対する人のうち、公務員人件費は削減していいが、社会保障給付はきちんと出してほしい、と思っている人はやはり多い。良し悪しは不問として、公務員人件費の削減に賛同的でも社会保障給付の維持や増加に賛同的なら、「小さな政府」志向とは言えない。しかも、社会保障給付の財源は、天から降ってくるはずはない。では、その社会保障給付はどのように賄うのか。

 増税には反対だが社会保障給付はきちんと出してほしいと思う人に聞けば、きっと多くはこう答えるだろう。お金持ちから税を取ればよい、企業から税を取ればよい、とりあえず国債で賄っておけばよい……。

 要するに、「他力依存」なのである。自分の給付の財源は、他の誰かが払ってくれればよい、ということである。もちろん、財政運営において、すべての国民が、個人単位でみて受益と負担が完全に一致していなければならないということはない。しかし、受益と負担があまりにも乖離しすぎては、財政運営は成り立たない。

景気が良くなれば税負担から免れられるのか?

 景気を良くすれば税負担が免れられるかというと、そんなことはない。景気が良くなると、個人の所得が増えることが期待できる。だから、景気を良くすれば、個人の所得の増加に合わせて税収が増えるから、増税(税率引き上げ)をしなくても税収が増えるのではないか、との期待感がこの裏側にあろう。

 しかし、よく考えてほしい。なぜ景気を良くすれば税率を上げなくても税収が増えるのか。それは、所得税なら累進課税が主因である。不況の時に所得が少なく、好況の時に所得が増えるとする。そしてそもそも、所得税制は、所得が少ないと所得税率は低く、所得が多いと所得税率は高い。これが累進課税である。これらを合わせて考えれば、不況の時は低い税率に直面するから税収が少なく、好況の時は高い税率に直面するから税収が増える。

 となると、景気を良くすれば、所得は増えるといえども、不況の時より高い税率に直面するから、累進課税の状況次第で、税負担率は増えることがあるのだ。税負担率が高くなるのだから、「景気を良くすれば税負担が免れられる」わけはない。

 これと同じようなことは、法人税でも起きる。ただし、法人税は累進課税ではなく、一定の税率で課税される。しかし、企業の利益が赤字ならば、課税されない。不況の時に赤字になる企業が多いと、法人税収は少なくなる。好況の時に黒字になる企業が増えると、法人税収は増える。だから、税率を上げなくても、好況の時には税収が増える。

 しかし、法人税でも、所得税と同じことが起こる。不況の時は、赤字なら企業は法人税を払わない。ところが、好況の時は、黒字となる企業が増えて法人税をより多く払わされる。だから、法人税でも、「景気を良くすれば税負担が免れられる」わけはない。

 おまけに、法人税の負担を負うのは、「法人」なる怪物ではない。企業に勤める従業員や株主らステークホルダーが負担する。税は生身の人間しか金銭的に負担できない。だから、法人税が全くなければ、給料が増えたり配当が増えたりしたのに、法人税負担があるから、その分給料が増やせなかったり配当が増やせなかったりするのだ。つまり、法人税は、企業の従業員や株主らが負担している。

コメント13件コメント/レビュー

今回の選挙結果は、増税の先送りに対する支持とはなるが、時期を区切ってもいるので、全くの増税反対と言うわけではない。また、民意の反映として選挙が重要であることは言を待たないが、それがすべてというのはおかしい。ポピュリズムとは一線を引いた、状況に応じた政策運営は重要だ。日経は法人減税がセットとなるはずであった消費増税の延期にえらくご不満のようだが、それはそれで財界という特定集団に限った利益誘導にも見える。同意見の経済学者の”思想”を喧伝するだけでなく、たとえば、せっかくの円安を活かせない企業経営者に苦言の一言もあるべきではないのか。(2014/12/22)

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今回の選挙結果は、増税の先送りに対する支持とはなるが、時期を区切ってもいるので、全くの増税反対と言うわけではない。また、民意の反映として選挙が重要であることは言を待たないが、それがすべてというのはおかしい。ポピュリズムとは一線を引いた、状況に応じた政策運営は重要だ。日経は法人減税がセットとなるはずであった消費増税の延期にえらくご不満のようだが、それはそれで財界という特定集団に限った利益誘導にも見える。同意見の経済学者の”思想”を喧伝するだけでなく、たとえば、せっかくの円安を活かせない企業経営者に苦言の一言もあるべきではないのか。(2014/12/22)

公務員年金と国民年金の給付額が10倍くらい違う現状で、増税か、社会保障削減かと言われましてもね…。まず、平等にしてみてもらいたいもの。公務員が国民様と同額の年金で我慢しても足りなかったら、増税しましょ。それなら、国民は文句を言わないと思いますよ。(2014/12/22)

とても勉強になり、そのような視点もあったのかと納得しました。少なくとも私には、今回の選挙の結果をわかりやすく読み解いていると思います。法人税の減税とは、企業を助けるのではなく、株主に還元するという意味もあるのですね。(2014/12/22)

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