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経済学者の「自作自演」が、世の中を悪くした!?

我々が「自己中」なのは、経済学のせいかもしれない

2015年3月31日(火)

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 本連載は、一昨年まで米ビジネススクールで助教授を務めていた筆者が、世界の経営学の知見を紹介していきます。

 さて、明日から新年度です。皆さんの中にも、心機一転「勉強のために経済書やビジネス書をもっと読もう」と考えている方は多いのではないでしょうか。

 そこで大事なのが、多くの経済書・ビジネス書で中心的な役割を果たす「経済学」と「経営学」の位置づけです。両者は重なる部分もありますが、基本的には異なる学問です。そして一般に、政治学・社会学も含めた現代社会科学では、「経済学」が圧倒的な影響力を持っているといわれます。

 実際、経済学は現実の政策・ビジネスに少なからぬ影響力を及ぼしています。米国では、政府の経済政策ポジションに経済学者が就くことは多く、民間企業にも経済学の博士号取得者が就職します。著名経済学者で米カリフォルニア大学バークレー校名誉教授のハル・ヴァリアン氏は、グーグルのチーフ・エコノミストを務めています。

「経済学の支配は、社会に悪影響をもたらす」

 日本でも、国内最大のシンクタンクといえる経済産業研究所(RIETI)の研究員の大半は経済学者で占められおり、メディアで「経済学者」が民間企業を評論することもあります。まさに「社会科学の女王」と呼ぶにふさわしい影響力といえるでしょう。

 この経済学の影響力の強さはどこから来るのでしょうか。一般には、(数学表記などによる)洗練された記述、高い厳密性、そしてそこから得られる含意の豊富さ、などを理由に挙げる方が多いかもしれません。

 それに対して世界の「経営学者」たちからは、なんと、「この経済学者の影響力の強さは、彼等の『自作自演』によるものだ」という主張が飛び出しているのです。さらに「自作自演による経済学の支配は、社会に悪影響をもたらす」という主張までされています。

 「経済学が自作自演」とは、一体どういうことなのでしょうか。今回はこの問いを紐解きながら、みなさんが今後ビジネスメディアに触れる際にも有用であろう、「経済学と経営学の現状」を解説していきましょう。

経済学と経営学の関係

 本題に入る前に、経済学と経営学の関係をおさらいしましょう。両者は2つの面で異なっていると考えると、分かりやすいと思います。

 第1は、その分析対象です。従来の経済学は、主に一国経済あるいは産業・市場を分析対象とし、例えば「どうすれば経済は成長するか」「市場の効率的な資源配分メカニズムは」などの問いに答えてきました。それに対して経営学は個別の企業・組織に焦点を当て、「企業の業績を高めるには」「チームのパフォーマンスを上げるには」と言った問いに答えてきました。

 しかし近年、両者の境界はあいまいになってきています。例えば「組織の経済学」の発展により、経済学でも企業組織の細かいメカニズムが説明できるようになっています。

 第2に、それぞれの分野が依拠する「人間の行動・意思決定の基盤」です。まだ歴史の浅い経営学は、人の意思決定に関する統一基盤を持っていません。そこで「心理学」「社会学」「経済学」という、人間の意思決定・行動にしっかりとした基盤を持つ学術分野の理論を応用して使っているのです。

コメント7件コメント/レビュー

それほど経済学に出てくる消費者の利己主義モデルが規範となっているのなら、どうしてそのモデルの消費者のように「他者が成功して(大金持ちになって)、自分はなっていない」といったことを妬んでの行動がひろく見られるのでしょう。プラスかマイナスかの違いはありますが、現実の人々は己以外の利益のことに振り回されておりモデルを規範としたような利己の姿とは異なります。そして、当然ながら経済学はそういった人々をモデル化する手段を豊富に持っています。(2015/04/01)

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「経済学者の「自作自演」が、世の中を悪くした!?」の著者

入山 章栄

入山 章栄(いりやま・あきえ)

早稲田大学ビジネススクール准教授

1996年慶応義塾大学経済学部卒業。98年同大学大学院経済学研究科修士課程修了。2008年、米ピッツバーグ大学経営大学院より博士号(Ph.D.)を取得、米ニューヨーク州立大学ビジネススクール助教授を経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

それほど経済学に出てくる消費者の利己主義モデルが規範となっているのなら、どうしてそのモデルの消費者のように「他者が成功して(大金持ちになって)、自分はなっていない」といったことを妬んでの行動がひろく見られるのでしょう。プラスかマイナスかの違いはありますが、現実の人々は己以外の利益のことに振り回されておりモデルを規範としたような利己の姿とは異なります。そして、当然ながら経済学はそういった人々をモデル化する手段を豊富に持っています。(2015/04/01)

経営学の理論を実行してもひとりしか成功しませんが、経済学の理論は誰でも同じ結果を得られます。アップルを真似したサムスンが苦しむ理由は経済学で説明出来ますが、経営学的には同じ理論を実行しアップルが勝ったのです。経済学ではゲーム理論がはやりで心理まで説明するようになりましたが、協調ゲームと非協調ゲームでは解が異なります。非伝統的金融緩和策の説明が出来るようになって欲しいものです。(2015/04/01)

経済学の理論は2つの基盤に依拠しています。…「人は合理的に意思決定をする(Rationality)」「利己主義(Self-interest)」…>>正確にいうと、この2つは「基盤」ではなく「仮定」では?本来、「2つの『仮定』を前提に社会を分析しようという学問」であったはずの経済学を、主客転倒させ、現実の方を仮定から導き出した理論を合わせようとする、自称「経済学者」を政策形成の過程に加えてしまった結果、社会そのものが歪んできているように思います。人それぞれが努力をしていても勝者と敗者に分かれることを正当化するような暴論が、社会全体を動かす中心的な理論であって良いはずはありません。(2015/03/31)

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