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第7講 人を動かすのは、野心ではなく本心

2008年11月15日(土)

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 「人は生き続ける限り、どんな苦しい経験をしたとしても、それはプラスに働く。むしろ、次からその失敗をしないように気づかせてくれたんだから、感謝の気持ちを持つべきだ」

 早稲田大学国際教養学部教授のカワン・スタントは、母国インドネシアで中国系人種というだけで受けた迫害や、来日してからの差別に対しても、感謝の気持ちを表している。

 騙されてお金を失う、裏切られて信用が地の底に落ちる、お金や信頼という基準を基に考えれば、確かにマイナスと考えてしかるべきだろう。だが、今後の人生において、その経験を必ず生かせる時が来る。スタントはそう信じている。

スタントが関心を寄せた人物

 そんなスタントが関心を寄せたのが、先日の米次期大統領選挙で圧勝したバラク・オバマという人物だ。

 1年前までは、全く本命視されていなかった。だが1年間の選挙戦を経て、結果は大番狂わせの圧倒的な大勝に終わった。初の黒人大統領の誕生に米国は沸き、迫り来る大恐慌の波に対して逃げずに戦う姿勢を見せて、強い米国の再構築に向けてひた走る決意を表明した。

 米国民はオバマの何に心を動かされたのか。

 インドネシア人として、初めて日本の大学で教授となったスタントは、オバマ勝利の最大の理由を「本心で真理を語り続けたことにある」と語る。

 アフリカ系米国人として初めて米上院議員となったオバマ。そして初の黒人大統領の誕生だとメディアは騒ぎ立てるが、彼自身が黒人であることを前面に出して、白人やほかの民族と敵対するような言動はほとんどなかった。

 少なくなってきているとはいえ、白人は全米国民の6割以上を占める。一方、黒人は1割強とヒスパニック系白人(2割強)を下回るマイノリティー(人種・民族的少数派)な存在と言える。

 たとえ黒人という立場だとしても、今は黒人の人権問題の改善や地位の向上を掲げるだけでは、Melting Pot(人種のるつぼ)と化した米国全体を引っ張っていく「真のリーダー」にはなれない。

些細なことも心の底から変えたいと思える

 「マイノリティーこそが、本当の変革を実行できる存在だと考える。大多数派が見過ごしがちな些細な問題にも、少数派はきちんと目が届き、それを変えていきたいと心の底から思えるからだ」とスタントは語る。

学生たちに活気を与えるスタントの授業風景

学生たちに活気を与えるスタントの授業風景

(写真:菅野勝男)

 小中高と一生懸命に勉強に励むも、大学生になると途端にやる気をなくして遊んでしまう。そんな日本の大学教育の変革に動くスタント。

 彼もまた、日本の大学という世界の中ではマイノリティーな存在と言える。それだけに従来の慣習に流されるのではなく、「間違っている」「おかしい」ことには毅然と「正すべし」の声を上げられる。

 マジョリティーは多数を占めるがゆえに、常に正しいことを選び続けて行動しているように勘違いしがちだが、少数派の意見だからこそ見える真理もある。

 「少数派だからといって、臆すべきではない。正々堂々と本心で、自分が正しいと思う意見を述べ、本質が通じれば多数派の人間の中にも理解を示す『協力者』が必ず出現するのだから」

 出口の見えないトンネルに迷い込んだ米国にとって、突破口を開いてくれるのは、自分たちにとっても新しい挑戦が求められるような人物が好ましい。それがオバマであり、米国民の熱狂を持って受け入れられたのであるとスタントは分析する。

少年期の体験がオバマを育てた

 「聴衆がオバマのスピーチに酔いしれた理由。それは自身の経験に基づいた事柄を“自分の言葉”で話しているからではないか」

 スタントが言う経験とは何なのか。

コメント12件コメント/レビュー

スタント先生新しい記事を読ませていただきました。私はいつも「中間層の学生」であり、優秀でもなく、落ちこぼれでもない。ただただ毎回授業を受けて、それなりに勉強し、それなりに生きています。そんな自分でも悪くないと思います。しかし、やはり本心ではいつも変わりたいと思っています。そんな自分に一番素直になる時は先生の授業を受けた日です。その日は家に帰った後は必ず机に向かって夜遅くまで勉強しています。そして落ち込んでいるときは先生の本を読んでいます。するとモチベーションがあがってきます。私はいつか先生のように人をケアして変えられる人になりたいと思います。もしそのようなリーダーに将来なれたなら、先生やオバマ大統領候補のように野心ではなく本心で語るリーダーになりたいと思います。新しい記事と授業を楽しみにしています。(2008/11/27)

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「第7講 人を動かすのは、野心ではなく本心」の著者

白壁 達久

白壁 達久(しらかべ・たつひさ)

日本経済新聞 記者

2002年関西大学卒業後、日経BP社に入社。日経ビジネス、日経ビジネスアソシエを経て、2015年から日経ビジネス香港支局長としてアジア全体をカバー。2017年4月から、日本経済新聞 編集局証券部記者。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

スタント先生新しい記事を読ませていただきました。私はいつも「中間層の学生」であり、優秀でもなく、落ちこぼれでもない。ただただ毎回授業を受けて、それなりに勉強し、それなりに生きています。そんな自分でも悪くないと思います。しかし、やはり本心ではいつも変わりたいと思っています。そんな自分に一番素直になる時は先生の授業を受けた日です。その日は家に帰った後は必ず机に向かって夜遅くまで勉強しています。そして落ち込んでいるときは先生の本を読んでいます。するとモチベーションがあがってきます。私はいつか先生のように人をケアして変えられる人になりたいと思います。もしそのようなリーダーに将来なれたなら、先生やオバマ大統領候補のように野心ではなく本心で語るリーダーになりたいと思います。新しい記事と授業を楽しみにしています。(2008/11/27)

早稲田大学で先月から講義を受けさせて頂いている学生です。初めての授業を受けた際にスタント先生はおっしゃいました。「日本の学生は皆学習意欲に欠け、貴重な機会をアルバイトやサークル活動のために埋没させている」と。この言葉に私は正直、イラっときました!自分の事を言い当てられたからではありません。「自分をそのような学生と一緒にして欲しくない」という思いからです。下にある大学教授の方からのコメントに、「そのような一般化は危険だ」との指摘があり、私はこれに賛同するものです。しかし実際そのような学生は増えるばかり・・毎回の授業後のアンケートのおかげで私は、「警鐘の鳴らし方も騒々しいくらいでちょうどいいのでは」と思えるようになりました。なぜならば、それを通して冒頭に述べた考えを理解してくださり、今では真剣な学生として励まして下さるからです。「なるほど、よく出来た教育スタイルだ」と感心させられました。スタント先生の教育は熱意と実用性を同時に備えているのです。教授から教わる「真の意味で」グローバルな視点をもって将来に希望をつなげる事で、裏切られた日本において尚も教鞭を執られるスタント教授に恩返しをと思っております。いつも、ありがとうございます。本音を本気で本心から伝えて、世界の将来に貢献していきます。(2008/11/27)

>スタント氏の口からどのような言葉で、どのようなニュアンスで出た答えなのかが知りたいです。  コメントにコメントするのはいかがとおもいますが、スタント先生の言葉はすぐ近くにあるこれではないでしょうか。 「優秀な人材になる予備軍はたくさんいる。にもかかわらず、画一的な教育で低いレベルに合わせた教育を進めている。これでは優秀な人材を埋没させるだけだ」とスタントは警鐘を鳴らす。 (2008/11/18)

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