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磯山 友幸(いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

磯山 友幸

ジャーナリスト。経済政策を中心に政・財・官を幅広く取材中。1962年東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。日本経済新聞で証券部記者、同部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め、2011年3月末で退社、独立。早稲田大学大学院非常勤講師、上智大学非常勤講師。静岡県アドバイザーも務める。著書に『国際会計基準戦争完結編』『ブランド王国スイスの秘密』(いずれも日経BP社)など。共著に『オリンパス症候群』(平凡社)、『株主の反乱』(日本経済新聞社)。

◇主な著書
国際会計基準戦争完結編』(日経BP) 2010
ブランド王国スイスの秘密』(日経BP) 2006

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

働き方の未来

「働き方改革」で回り始めるガバナンス

2018年8月10日(金)

2016年9月27日に開かれた「働き方改革実現会議」の初会合(写真=共同通信)

“電通問題”で国民が規制強化を支持

 「アベノミクス」と「働き方改革」はどう繋がっているのか、という疑問の声をしばしば聞く。確かに、デフレからの脱却に向け経済対策と、長時間労働の是正など従業員の待遇改善は、一見、関係がない政策、あるいは対立する政策のようにすらみえる。労働時間を短くしたら、企業収益が落ちて経済対策にならないのではないか、というわけだ。

 これには安倍晋三内閣が「働き方改革」を打ち出したタイミングと、あの電通新入社員の過労自殺が注目されたタイミングが偶然重なったことが大きく関係している。

 首相官邸で「働き方改革実現会議」の初会合が開かれたのは2016年9月27日。前年末の電通社員の自殺について、東京労働局三田労働基準監督署が労災と認定、労災保険の支給を決定したことを遺族代理人らが明らかにしたのが10月7日だった。労働局は電通社員が仕事量の著しい増加で残業時間が急増し、うつ病を発症したため自殺したと「過労死」判定したのである。

 電通のケースでは、1カ月間の時間外労働が約105時間で、その前の1カ月間の約40時間から2.5倍以上に増えていたことなどが明らかになった。長時間労働に対する世の中の「怒り」が一気に燃え上がったのだ。

 もともと「実現会議」のテーマには同一労働同一賃金や長時間労働の是正が含まれる予定ではあった。しかし、電通問題をきっかけに世の中の関心は残業時間規制に集中、「主要テーマ」になっていった。

 これが、「働き方改革=残業規制」という印象を一気に強めたと言っていいだろう。もちろん、残業時間に罰則付きの上限を設けるというのは日本の労働法制史上、画期的なことだ。労働組合の連合が支援した民主党政権でも実現できなかったことを、自民党政権が実現してみせたのである。

 アベノミクスで円高が是正され、輸出企業を中心に企業業績が大幅に改善したことや、法人税の国際水準への引き下げで、安倍首相の経済界に対する「発言力」は高まった。安倍首相は経済界首脳に直接、賃上げを要請。2013年春から5年連続で「ベースアップ」も実現している。そんな中で、残業時間の上限規制も経済界にのませたのである。2017年3月にまとまった「働き方改革実行計画」でも、経済界が抵抗する「100時間未満」を「安倍裁定」によって決定した。

 残業時間の上限規制に安倍首相が強い姿勢で臨んだのは、電通問題によって国民が規制を支持するとみたからだろう。これが、結果的に、働き方改革は残業をしないこと、長時間労働を是正すること、というふうに短絡的に見られることにつながった。

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