高濱 賛

高濱 賛

米パシフィック・リサーチ・インスティチュート所長/在米ジャーナリスト

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 昨夏2匹の子犬を飼い始めた。キューバ産のハバニーズ。兄弟の名前はモンテとクリスト。高級キューバ産の葉巻、「モンテクリスト」からとった。朝昼晩と3回、散歩させるのが日課になっている。その結果、私も歩くことになり、健康上極めてありがたいことなのだが、毎日となると億劫なときもある。

 日本の四季のようにはっきりと区切りがついているわけではないが、カリフォルニアにも四季はある。秋には樹木が紅葉し、葉が散り、1月下旬頃には新芽が出てくる様をこれほど実感できるのも子犬クンのおかげだ。3月上旬、今は梅と桃と桜の花が同時に開花している。3つの花を同時に愛でられるのもこの地での特権である。

アメリカ現代政治研究所 ペンス副大統領はトランプの首を斬れるか?

ウッドワード本に追随する匿名高官の「内部告発」

  • 2018年09月10日(月)
ボブ・ウッドワード記者の新著『Fear:Trump in the White House』。発売前から、ホワイトハウスを大混乱させている(写真:AP/アフロ)

ボブ・ウッドワード記者の新著『Fear:Trump in the White House』(恐怖:ホワイトハウスのトランプ)を米メディアが大々的に報じていますね。

高濱:発売は9月11日ですが、内容が事前に“漏らされ”、米ワシントンは蜂の巣をつついたような騒ぎです。中間選挙を70日後に控え、トランプ政権も共和党も強い衝撃を受けています。

 ホワイトハウスにいる大統領側近や主要閣僚、元政府高官たちがトランプ氏の大統領としての能力や精神状態について赤裸々に暴露しているのですから、騒がないほうがおかしいですね。

でもトランプ大統領の素行や言動については、マイケル・ウォルフ氏の『炎と怒り』とか、オマロサ・マニゴールト・ニューマン元補佐官の内幕物がすでに暴露していますね。別に新しくはないのではないですか。

執筆終えたウッドワード氏、大統領と11分間電話対談

高濱:それはそうですが、著者であるウッドワード氏のジャーナリストとしての業績や知名度、信用度はこの二人とはけた違いです。同氏は「ウォーターゲート事件」をスクープした伝説のジャーナリストであるだけでなく、その後、リチャード・ニクソン第37代大統領からバラク・オバマ第44代大統領まで8人の歴代大統領についての本も著しています。すべてベストセラーです。

 ウォルフ氏には申し訳ありませんが、ウォルフ氏の暴露ものが「手榴弾」だとすれば、ウッドワード氏のは「原子爆弾」です(笑)。

 ウッドワード氏は、16年の大統領選の時からトランプ氏について書こうと構想を練ってきたようです。そしてトランプ政権が発足したのを機に、「トランプ・ホワイトハウス」の内情を取材してきました。

 取材はこれまでと同じように徹底していました。大統領の周辺で働く側近や閣僚など数十人とインタビューし、そのやり取りの内容はすべて録音しているそうです。インタビューにかけた時間は数百時間に及んだと言われています。

 実は、トランプ大統領へのインタビューも試みたのですが、最側近のケリーアン・コンウェイ大統領顧問が「危険を感じたのか」(?)、同大統領には伝えずにウッドワード氏の要請を握りつぶしていたようです。

 ウッドワード氏は、執筆を終えた今年8月上旬にトランプ大統領と電話で11分間、話をしています。その時、同大統領は「知っていればインタビューに応じたのに」と言っています。

 この電話でのやりとりは録音され、ウッドワード氏はそのトランスクリプト全文を米ワシントン・ポストで公表しています。大記者に対するトランプ大統領の「おもねりぶり」が出ていて興味深いですよ。さすがのトランプ大統領も、やはり伝説のジャーナリストにはたじたじといったところです。
("Transcript: Phone call between President Trump and journalist Bob Woodward," Aaron Blake, Washington Post, 9/4/2018)

    著者プロフィール

    高濱 賛

    高濱 賛(たかはま・たとう)

    米パシフィック・リサーチ・インスティチュート所長/在米ジャーナリスト

    1969年米カリフォルニア大学バークレー校ジャーナリズム学部卒業、読売新聞社に入社。71年から6年間、ワシントン特派員として沖縄返還交渉、ウォーターゲイト事件、ロッキード事件などを取材報道。76年以降は政治部記者として中曽根派担当、自民党幹事長番、官邸・外務省・野党各キャップを経て、政治部デスク(次長)。92年社長直属シンクタンク、調査研究本部主任研究員(部長待遇)として主に日米関係を担当。下田会議、日韓フォーラムなどに日本側代表として参加し国際的な人脈を広げた。95年以降、母校カリフォルニア大学バークレー校に客員教授として招聘され、「日米報道比較論」を教える。98年から上級研究員(テーチング・フェロー)。同年から現職。「日米双方を見渡せる西海岸」を拠点に日米問題、米国の政治・経済・社会情勢を日本メディアに発信している。

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