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渡辺 実(わたなべ・みのる)

防災・危機管理ジャーナリスト/株式会社まちづくり計画研究所 代表取締役所長/技術士/防災士

渡辺 実

1974年工学院大学工学部建築学科卒業。公益社団法人日本都市計画学会、一般財団法人都市防災研究所等を経て、1989年に株式会社まちづくり計画研究所設立、代表取締役就任。
国内外の自然災害被災地、大規模事故現場へ足を運び、被災者、被害者の立場にたって問題や課題をジャーナリスティックに指摘。現場体験をベースに、災害報道の検証や防災対策についても国民サイドにたった辛口の提言を続けている。
2007年より、NPO法人日本災害情報サポートネットワーク理事長としても活動。

◇主な著書
巨大震災その時どうする?生き残りマニュアル』(日本経済新聞出版社) 2013
都市住民のための防災読本』(新潮社) 2011
大地震に備える 自分と大切な人を守る方法』(中経出版) 2011

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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三遊亭鳳楽独演会(第243回)で春の代表的な人情噺「ひなつば」と「百年目」を聴いてきました。「百年目」は江戸時代から多くの名人に磨かれた大ネタ。鳳楽師匠は大師である三遊亭円生から引き継がれ、技量と体力も必要とされる難しい噺。円生の香りを見事に伝える鳳楽師匠の一席でした。ところで「百年目」とは、「おしまいの時」という意味も。3月18日に公表された南海トラフ巨大地震被害想定経済的被害が国家予算の2倍以上の最悪220兆円。まさに「百年目、この世の終わり」かも。

 東日本大震災の被災地では、先の3月11日三回忌をむかえました。2年前のこの日、巨大な津波に襲われ、この世の終わりと思った被災者も多くいました。すでに日本列島は巨大地震の再来周期に入り、いつどこで地震が起きても不思議ではない時代を我々は生きています。防災は地震が来る前にしかできません。来てからでは遅いのです。ぶら防こと「渡辺実のぶらり防災・危機管理」は、ビジネスパーソンへ向けて今の日本列島の地震環境と備えの必要性を伝えています。「百年目」が明日かもしれません。

渡辺実のぶらり防災・危機管理

平成30年7月豪雨、黒豹部隊が動いた

2018年8月10日(金)

2013年に組織された警視庁の『特殊救助隊』、通称SRT(Special Rescue Team)。総勢30人程の精鋭部隊だ。部隊のユニフォームは緑とオレンジのツートンカラー。腕にはトレードマークの黒豹がデザインされたエンブレム。ジャングルを駆ける黒豹のようにすばやくしなやかに救助活動を行う。黒豹軍団の本部基地に“防災の鬼”渡辺実氏が潜入したその後編(前編はこちら)。

ユニフォームの右腕に輝く黒豹マークのエンブレム

 今回、取材に対応いただいたのは、齊藤昌巳警部 警視庁警備部災害対策課 特殊救助隊指導班長と髙橋弘樹巡査長 警視庁警備部災害対策課 特殊救助隊実施班の二人。彼らを含むSRTの精鋭たちは、『平成30年7月豪雨』で被災した広島県に投入された。長年災害現場の取材を続けている渡辺氏はこう言う。

「今回のような災害もそうですが、現場には警察はもとより、消防や自衛隊など様々な組織の部隊が投入されます。それら全てが一つの命令系統下で動いているのなら問題はないのですが、そうはいかない。警察は警察、消防は消防、それぞれの命令系統が存在します。これっていいかげん整理されてもいいと思います」(渡辺氏)

 東日本大震災の被災地でも同じことが指摘された。例えば、いったん自衛隊が入って被災者を救助しながら瓦礫を撤去した場所に、後から別の組織の部隊が入り、撤去した瓦礫を再び捜索するなどの『無駄な行為』が各地で発生したのだ。

渡辺氏

「命令系統がひとつに統合されていたらそうした無駄もなくなると思います」(渡辺氏)

「実は関東では徐々にではありますが、そうした懸念を払拭するための取り組みが行われ始めています。関東近県で組織する『関東管区警察局』の中に『指揮支援チーム』というものを立ち上げました。最初にこれが可動したのは『平成27年9月関東・東北豪雨』です」(齊藤氏)

 平成27年の東北豪雨では、鬼怒川の決壊が大きな被害をもたらした。こうした災害が発生したとき、被災県の警察や消防などの各組織は、様々な対応で忙殺される。おかげでオペレーションを整理し、的確に命令を下すことが難しい場合もある。

「茨城県常総地区の被災現場では警察の『指揮支援チーム』が現場の災害本部に入り込み、各組織の情報を精査して命令系統を整理しました」(齊藤氏)

 水害の場合、ヘリコプターでの救助が力を発揮する。地上部隊とヘリコプターが協力しあいながら救助活動が行われるのだが、情報が整理されていないと、空には消防のヘリ、その真下は警察の部隊といったちぐはぐなことが起こる。関東管区警察局の『指揮支援チーム』が情報を整理することで、そうした不具合が劇的に減ったという。

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