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福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

福島 香織

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。おもに中国の政治経済社会をテーマに取材。

◇主な著書
中国絶望工場の若者たち』(PHP研究所) 2013
中国「反日デモ」の深層』(扶桑社新書) 2012
潜入ルポ 中国の女』(文藝春秋) 2011

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

中国新聞趣聞~チャイナ・ゴシップス

中国新疆・ムスリムの強制収容所が急速に拡大

2018年8月22日(水)

米国メディアを中心にウイグル・ムスリム弾圧についての報道が続いている

 中国でウイグル・ムスリムを対象とする強制収容所が急速に拡大していることが、米国の衛星写真などから判明している。収容者は少なく見積もっても100万人、あるいは200万人を超えているという推計もあり、中国の宗教、“少数民族”政策の苛酷さがこの2年で急激に増していることがうかがわれる。外国ジャーナリストが新疆地域での取材の自由を奪われて久しいが、一部記者は現地の強制収容所周辺も果敢に取材している。また、強制収容所からかろうじて国外に逃げだした人たちの証言も表に出だした。新疆地域のムスリム迫害の状況をまとめてみたい。

 中国国内のウイグルを中心とするムスリムの弾圧状況は2009年の7・5ウルムチ事件以来、外国記者らが現地で自由に取材することが叶わず、一部の在外ウイグル人組織経由で発信される以上の情報がなかなか出ない状況だ。だが昨年暮れあたりから米国メディアを中心に現地のウイグル・ムスリム弾圧状況への取材がかなり試みられている。背景には米トランプ政権がウイグル問題を対中外交カードとして見直していることもあろう。

 たとえば国連の人種差別撤廃委員会(8月10日)に米国のゲイ・マクドゥーガル委員が「200万人規模のウイグルその他のムスリム少数民族を強制収容所で再教育を受けているとの報告を受けている」と懸念を表明。この報告では、ひげを蓄えている、ベールをかぶっている、国営テレビ放送を見るのを拒否した、などの理由で収容されるケースもあるという。さらに、新疆地域の12歳から65歳のウイグルについてはDNAや眼の虹彩などの生体情報を含むあらゆるデータを強制的に収集し極めて厳しい監視を実施していると指摘する。

 7月26日には、副大統領ペンスがワシントンの講演で、数十万、あるいは数百万とみられるウイグルが強制収容され政治再教育を強いられている問題に言及し、「宗教的な信条が脅かされている」と懸念を表明。この同じ日に、米議会で開かれた公聴会で国務省が派遣する国連特別大使ケリー・カリーが、中国が2017年4月(新疆ウイグル自治区過激化防止条例を施行以降)、ムスリム少数民族の“中国化”を目的とする強制収容所を多数建設し、その収容人数が80万~100万人に達すると報告していた。その収容所では、信仰とウイグル言語、男性のひげや女性のベールなど、ウイグルのアイデンティティを放棄させ、共産主義を信じさせるよう洗脳教育を行っているという。この中国の対ウイグル弾圧は、「一帯一路」戦略の起点である新疆地域を中国化するという戦略目標があるのではないか、という点も付け加え、米国は、これを中国の人権問題として抗議していく構えであることを証言している。

 新疆の強制収容所(中国語では集中営)に関しては、今年2月のBBCの報道から注目され始めた。BBCはトルコに逃げてきた亡命ウイグルの妻や母親が強制収容所に入れられたことなどを、本人から取材。「銃で殺されるより、妻や母親が収容所内で虐待死させられることの方が恐ろしい」と語っていた。

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