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小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

小田嶋 隆

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、小学校事務員見習い、ラジオ局ADなどを経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

◇主な著書
場末の文体論』(日経BP) 2013
もっと地雷を踏む勇気~わが炎上の日々』(技術評論社) 2012
小田嶋隆のコラム道』(ミシマ社) 2012

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明

次の質問に行く前に

2018年12月14日(金)

 河野太郎外務大臣の会見対応が波紋を呼んでいる。
 発端は、12月11日の会見での記者とのやりとりだった。

 この中で、河野大臣は、まず日本が北方領土をロシア領と認めることが平和条約締結交渉入りの条件だとしたロシアのラブロフ外相発言への感想を問われて
 「次の質問どうぞ」
 と回答している。

 この言い方は、当該の質問への直接の回答を拒んで別の質問を促したもので、ニュアンスとしては「ノーコメント」というよりは「無視」「黙殺」「シャーラップ」「うるせえばか」に近い。

 河野大臣は、別の会社の記者が、関連の質問として
 「反論を公の場でするつもりもないということでよろしいのか」
 と問うと、これにも
 「次の質問どうぞ」
 と、具体的に答えることなく、次の質問を促している。
 そこで、別の記者が「引き続き関連の質問」として、
 「(河野)大臣が、発言を抑えてきた一方で、ロシアの側からはどんどんこれまで通りの発言が出てきている。このアンバランスな状況が、実際の協議にも影響を与えるという懸念もあると思うがどうか」
 という主旨の質問をすると、河野大臣はやはり
 「次の質問どうぞ」
 と回答し、これに続いてこれまた別の会社の別の記者が
 「大臣、何で質問に『次の質問どうぞ』と言うんですか」
 と問いかけたところ、この質問に対してもまったく同様に
 「次の質問どうぞ」
 と回答している。

 この一連のやりとりのナンセンスっぷりは、英国製の古いコメディ番組を思い出させる。
 そう思ってみると、河野大臣の顔はどことなく腹話術の人形に見えなくもない。

 以上は、動画を見たうえでのオダジマによる要約だ。
 「恣意的に発言を切り取って難癖をつけている」
 「発言の一部だけを取り出して批判の材料として利用している」
 という言い方をされるのも不快なので、会見のノーカット動画とともに書き起こしを掲載しているサイトにリンクを張っておく。より詳しい状況を確認しておきたい読者はこちらを参照していただきたい。

 さて、この一連のやりとりは率直に申し上げて、愚かな対応だと思う。
 動画を見れば明らかな通り、大臣の対応ぶりは、個々の質問へのノーコメントの表明というよりは、より端的に、記者を愚弄する態度そのものだ。

 無論、以前から大臣自身が繰り返している通り、外交交渉にかかわる質問は、先方との信頼関係や駆け引きの問題もあれば、外交機密に触れる話もあることなので、すべてについて答えられるわけではない。そんなことは、記者も十分に承知している。われら一般庶民にしたところで、その程度のことは知っている。

 ただ、記者の立場から言えば、疑問に感じた点については率直に問いただすのが彼らの仕事でもある。
 記者は、仮に大臣なり役人なりが回答できないタイプの質問であることがわかっていても、一応は水を向けるべく訓練されている。その上で、大臣がどういう理由で答えられないかについての説明を引き出すことが、彼らにとっての次の大事な仕事になる。

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森 雅彦 DMG森精機社長