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鈴置 高史(すずおき・たかぶみ)

韓国観察者

鈴置 高史

1954年、愛知県生まれ。早稲田大学政経学部卒。1977年4月から2018年3月まで日本経済新聞記者。1995~1996年にハーバード大学日米関係プログラム研究員、2006年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)ジェファーソン・プログラム・フェロー。「中国の工場現場を歩き、中国の経済的勃興を描いた」として2002年度ボーン・上田記念国際記者賞を受賞。

◇主な著書
孤立する韓国、核武装に走る』(日経BP社) 2016
米中抗争の「捨て駒」にされる韓国』(日経BP社) 2016
朝鮮半島201Z年』(日本経済新聞出版社) 2010

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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 2018年3月末で日本経済新聞社を退職しました。しかし、朝鮮半島は劇的に動きそうです。「早読み・深読み」を続けます。

早読み 深読み 朝鮮半島

「言うことを聞け」と文在寅を叱ったトランプ

2018年10月16日(火)

ホワイトハウスの執務室で10月10日、記者団との質疑応答に応じるトランプ大統領(写真:ロイター/アフロ)

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 北朝鮮への援助再開に動く文在寅(ムン・ジェイン)政権。トランプ(Donald Trump)大統領が叱り飛ばした。

「属国扱い」にすねる韓国人

鈴置:10月10日、トランプ大統領がホワイトハウスで「韓国は米国の承認なしに何事もできない」と語りました。それも、3度も繰り返したのです。韓国が対北経済援助の再開に動くことについて記者から聞かれ、答えました。

 米政府が運営するVOAの「トランプ『米国の承認なしに韓国は制裁緩和しないだろう』」(10月11日、韓国語版・発言部分は英語)によると、以下です。

  • Well, they won’t do it without our approval. They do nothing without our approval.
  • Yes. They do nothing without our approval.

 「我々の承認なしに動かない」とは「承認なしに動くな」との外交的な表現です。米国の大統領が公開の席で「韓国は言うことを聞け」と叱ったのです。

 韓国では反発の声も起きました。「承認(approval)」との言葉使いに「属国扱いされた」と怒り出したのです。朝鮮半島の王朝は長い間、中国大陸の王朝に朝貢していました。このため韓国人は「属国待遇」されないか、いつも神経を尖らせています。

対北制裁の緩和を検討

北朝鮮への援助再開とは?

鈴置:10月10日、韓国の国政監査の席上、康京和(カン・ギョンファ)外交部長官が「韓国独自の経済制裁の緩和を検討しているか」との国会議員の質問に「関係部署と検討中」と答えました。

 その後、「関係官庁としては常にこれ(制裁緩和)を検討しているとの意味で申し上げた」などと発言をトーンダウンしましたが、韓国では文在寅政権の本音を思わず漏らしたとの見方が多い。

 一連の発言は聯合ニュースの「対北独自制裁の解除 『政府レベルでの検討ではない』=韓国外相」(10月10日、日本語版)で読めます。

 独自制裁に限らず、韓国が国連の決めた対北制裁も破り始めたとの認識がすでに米国で広がっていました。そこでホワイトハウスでも康京和発言に関する質問が出たのでしょう。

 9月の南北連絡事務所開設を名分に韓国は、国連が禁輸品目に定めた石油製品80トンを北朝鮮に渡していました(「北朝鮮の核武装を望む韓国」参照)。

 2017年4-10月には政府系の韓国電力の子会社が北朝鮮の石炭を購入していました。これも国連制裁を破る行為です。

 WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)は「韓国企業が制裁破りしているとの米国政府の警告を、韓国政府は無視した」と書いています(「『北朝鮮の使い走り』と米国で見切られた文在寅」)。

 「南北関係の改善のため」を言い訳に対北援助の再開に動く韓国。米国は苦虫をかみつぶした顔で見ていましたが、ついに大統領自身が怒ってみせたのです。

金正恩に騙された文在寅

 米議会が所管するRFA(自由アジア放送)は10月11日、康京和発言について、国務省報道官が「米韓は北朝鮮に対し緊密に協力し、足並みをそろえて対応している」とRFAに明かしたと報じました。

  • The United States and our ally the Republic of Korea remain committed to close coordination on our unified response to North Korea.

 「国務省、トランプの『承認』発言に関連、北への対応は緊密に協調」(韓国語版・発言部分は英語)という記事です。

 米韓が完全に異なる方向を向いている時に「両国は足並みをそろえる」との言い回しを使ったのです。国務省も「韓国は米国の言うことを聞け」と警告したと受け止められました。

 国務省が運営するVOA(アメリカの声)はもっと明確に韓国を批判しました。「米専門家たち『米韓の対北認識差、同盟として調整が必要・・・事実に基づいた政策決定に期待』」(10月11日、韓国語版・発言部分は英語)です。

 見出しの「同盟として調整が要る」とはもちろん、「韓国は米国に従え。制裁解除などするな」ということです。「事実に基づいた政策」とはリース(Mitchell B. Reiss)元・国務省政策企画部長の以下の発言からとったものです(原文ママ)。

  • Fundamentally it is a different perception based on different history, different culture, different expectations. I just with that they would be little less romantic and little more skeptical of the things that North Koreans are saying.

 記事は地の文でこの発言を「若くて要領がよく見える北朝鮮の指導者によって、韓国が『事実』よりも『希望』を基に政策を決定している危険性が大きいようだ」と意訳しました。要は、文在寅大統領は金正恩(キム・ジョンウン)委員長に騙されていると指摘したのです。

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