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吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

吉田 忠則

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

◇主な著書
見えざる隣人』(日本経済新聞出版社) 2009
農は甦る』(日本経済新聞出版社) 2012

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

ニッポン農業生き残りのヒント

本当につかみ合って喧嘩していた、経済界と農協

2018年8月10日(金)

 農協改革に大鉈をふるった農林水産省の奥原正明事務次官が最近、退任した。官邸の力を背景に農協の上部組織の全国農業協同組合中央会(全中)や全国農業協同組合連合会(全農)に改革を迫る手法は、多くの農協関係者の反発を受けながらも、当初、想像した以上の「成果」を上げた。

 その成果の是非を問うのが、今回の目的ではない。特異な個性と意欲をもとに、「奥原農政」とでも言うべきものが続いた時代に一区切りがついたことを受け、今後の農政の課題を一歩引いて考えてみたいのだ。

 官邸主導がかつてないほど強まるなか、後を継いだ末松広行次官が奥原氏のような強烈な存在感を発揮するかどうかはまだ未知数。考えたいのはそこではなく、「豪腕」が去ったあとの農政が、日本の未来の食料問題をみすえて何をメーンの課題にすえるべきかを伝えるのが今回のテーマだ。

 いまの農政の意思決定のあり方に問題はないのか。足元の農政に欠けている視点は何か。農水省の食料・農業・農村政策審議会の前会長で、福島大学教授の生源寺真一氏にインタビューした。

長く農政に関わってきた生源寺真一氏

最近の農政についてどう感じますか。

生源寺:1999年に食料・農業・農村基本法が施行された。それに先立ち、中身を検討した基本問題調査会に専門委員として参加した。調査会を作るとき、「国民にわかる形で議論する」ということがものすごく強調された。当たり前の話だが、それを強調せざるをえない状況にあったのだと思う。

 いまでも覚えているが、あるとき、経済界の代表と農協の代表が隣り合わせで座っていて、会議が終わったとたん、2人でつかみ合いの喧嘩を始めた。形式的に「シャンシャン」という議論ではなかったことの証左だ。次の回は2人は離れて座っていた。そういうことが起きるくらいまでつっこんだ議論をした。

 いまは規制改革推進会議(首相の諮問機関)から意見が出てきて、審議会などではほとんど議論していない。

規制改革推進会議ですらあまり議論していないのでは。議事録を見ても、なぜああいう提言が出てくるのかわかりにくいときがあります。

生源寺:それもある。水面下でやっている議論はあると思うが、外には出てこない。だらだらとオープンな場で議論することばかりがいいとは思わないが、種子法の廃止とか、あれだけ多くのテーマがあれほどのスピードでどんどん決まっていくというのは、通常の政策決定では考えられない。

 2002年の生産調整研究会では座長を務めた。このときも相当議論したが、誰が何を言ったのか、トレースできる内容になっているはずだ。ところが、いまはトレーサビリティーが確保されていない。

 農地を担い手に集める農地中間管理機構(農地バンク)も政権の成果を示すための道具になっているように感じる。例えば、農地バンクに農地を預けた地権者に対し、一定の条件のもとで数十万円の協力金を支給する仕組みがある。借地料を利用者から受け取る人に、さらにお金を出すというのは、いまの財政事情を考えればいかがなものか。「農政って何なの」と言われかねないことを平気でやっている。短期間に成果を上げるのが目的だ。

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