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鶴原 吉郎(つるはら・よしろう)

オートインサイト代表/技術ジャーナリスト/編集者

鶴原 吉郎

1985年日経マグロウヒル社(現日経BP社)入社、新素材技術の専門情報誌、機械技術の専門情報誌の編集に携わったのち、2004年に自動車技術の専門情報誌「日経Automotive Technology」の創刊を担当。編集長として約10年にわたって、同誌の編集に従事。2014年4月に独立、クルマの技術・産業に関するコンテンツ編集・制作を専門とするオートインサイト株式会社を設立、代表に就任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

クルマのうんテク

ホンダのN-VAN、二つの「常識破り」

2018年8月17日(金)

ホンダの新型軽バン「N-VAN」。フロントにエンジンを積んだレイアウトと、助手席側のセンターピラーをなくした構造が特徴。グレードは最もベーシックな「G」

 いきなり私事で恐縮なのだが、筆者がこれまでに運転した中で最も楽しかったクルマの一つに、大学生のころアルバイト先で乗っていたスバル(当時は富士重工業)の軽バン「サンバーバン」がある。乗っていたのは、当時でも珍しくなりつつあった排気量0.36Lの2サイクルエンジンを搭載したモデルで、もちろん手動変速機(MT)だ。2サイクルエンジンは悲しいくらい低速トルクがなく、とにかく1速でめいっぱい引っ張ってから2速にシフトアップし、まためいっぱい引っ張って、というのを信号待ちのたびに繰り返す。ないパワーを振り絞って走るのは楽しかった。

いま最もホンダらしい

 その軽バン市場に登場した風雲児が、ホンダが7月に発売した新型軽バン「N-VAN」だ。従来のホンダの軽バン「アクティバン」の、事実上の後継モデルになる。実は筆者は当初、このN-VANをホンダの大ヒットモデルでこのコラムの第94回でも取り上げた「N-BOX」の商用車版だと思っていた。というのも、N-VANの発売に先立ち、ダイハツ工業が背高ワゴンの「ウェイク」の商用車版「ハイゼットキャディー」を発売していたからだ。ホンダには失礼なのだけれど、ダイハツの企画の二番煎じかと思っていた。

 ところが、発表会場で開発者の方に詳しく話を聞き、筆者の認識がまったくの誤りだったことが分かった。確かにN-BOXベースではあるのだが、別物といっていいくらいに大幅に変更されていたからだ。それどころか、N-VANはいまのホンダのラインアップの中で、最もホンダらしいクルマなんじゃないか、と思うくらい感心してしまった。

 じゃあホンダらしさって何だ、ということになるのだが、それは「技術的な新しさ」というのももちろんあるのだけれど、筆者がよりホンダらしいと感じるのは「発想の新しさ」である。最初は常識とは違うように見えて「これで大丈夫なのか?」と思ってしまうのだが、よくよく説明を聞いてみると「ふむふむ」と納得し、最後は「大したものだ」と感心してしまう。

 その例には枚挙に暇がないのだが、古くは「ホンダ1300」の強制空冷エンジンだったり、日本車にFF(フロントエンジン・フロントドライブ)2ボックス小型車の原型を持ち込んだ初代「シビック」だったり、その思想をより洗練された形で上級車にも持ち込んだ初代「アコード」、低い車高の中に広い室内というパッケージングを実現した3代目シビックの3ドア車、普通はエンジンと変速機の間に置くクラッチを変速機と駆動輪の間に置いてしまったホンダ独自の無段変速機(CVT)「ホンダマルチマチック」、フロアトンネルの部分に燃料電池を配置して低い車高を実現した燃料電池車(FCV)「FCXクラリティ」…。数えていくときりがない。

 では、N-VANはその系譜にどんな新しさを加えたのか。最大の特徴は、エンジンは床下に置く、という軽バンの車両レイアウトの常識を破り、FFレイアウトを採用したことだ。そしてもう一つは、耐久性や信頼性が重視されるために商用車では嫌われるセンターピラーレスの車体構造を助手席側に採用したことである。

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齋木 昭隆 三菱商事取締役・元外務次官