野地 秩嘉

野地 秩嘉

ノンフィクション作家

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1月に新刊書籍『トヨタ物語』が発売になりました。

『トヨタ物語』外伝 「あのな、少ない人数でやると精鋭になるんだ」

元技監・林南八氏が読み解く『トヨタ物語』(後編)

  • 2018年08月17日(金)
 トヨタ自動車の元技監、林南八氏は新刊『トヨタ物語』で紹介されたカイゼン指導の現場を振り返る。そして、これからのカイゼンのあり方に思いを致す。南八流の読み解き方を『トヨタ物語』著者・野地秩嘉氏が聞く。その後編。

前編から読む)

販売のカイゼン

野地:これまで生産調査部は社内の工場をやり、協力工場をやり、海外もやった。今は販売のカイゼンですね。

林 南八(はやし・なんぱち)
1943年、東京都出身。66年、武蔵工大(現・東京都市大)卒業後、トヨタ自動車工業(現・トヨタ自動車)入社。生産調査部長などを経て01年、技監。09~11年、取締役。11年から再び技監、顧問を経てアドバイザーを務める

:章男さん(豊田章男 社長)は生調で2年勉強して、それから営業部門に移って、地区担当員でカローラ南信のカイゼンを始めたんだ。「一回見てほしい」と言われて、見に行って、僕も一緒にやったよ。

野地:カローラ南信って、長野の。

:うん。その後、章男さんが業務改善支援室を作って、その頃から販売のカイゼンが本格的に始まったんだけれど、最近また締め直さなければならなくなった。

 それは販売店の社長が三代目になっているからじゃないかな。みんな、頭がいいし、初代の苦労を忘れている。そして、根本的には販売店って困ってないんですよ。

野地:なんだかんだといっても売れているから。

:カローラ南信の販売のカイゼンやった頃はまだ、自販と自工が合併してどうだろう、10年くらいかな。まだ、ふたつのグループの間に壁があったんだ。だから、なかなか販売のカイゼンはできなかった。章男さんじゃなくてはできなかった。

 僕らのときは工販が別々だったでしょう。ただ、導入教育は合同でやるんですよ。顔見知りではある。ところが生産計画の会議だというと、販売の連中は言うわけですよ。「何がジャスト・イン・タイムだ」と。「販売のトヨタだ、俺たちが車を売ってるんだ」。

 こっちはこっちで言い返す。「販売のトヨタ? 冗談じゃない。モデル末期の車を売ったらほめてやるわ」。よう口喧嘩しとった。

野地:トヨタ自工の時代、車は物理的に自販に行くんですか。

:ええ。その後、自販から販売店にデリバリーする。

野地:それこそ無駄じゃないですか。工場からそのまま販売店に送ればいいのに……。

    著者プロフィール

    野地 秩嘉

    野地 秩嘉(のじ・つねよし)

    ノンフィクション作家

    1957年、東京生まれ。早稲田大学商学部卒。出版社勤務などを経てノンフィクション作家に。人物ルポルタージュ、ビジネス、食、芸術、海外文化など幅広い分野で執筆。『TOKYOオリンピック物語』でミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。

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