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三田村 蕗子(みたむら ふきこ)

フリーライター

三田村 蕗子

福岡生まれ。津田塾大学学芸学部卒業。流通を皮切りにビジネスの幅広いテーマを手掛け、現在、ビジネス誌や経済誌、流通専門誌で活動中。2014年11月下旬から経済成長著しいバンコクに拠点を移し、東南アジアのハブだからこそできる取材活動にも力を入れている。移住の経緯やバンコク情報は、ホームページで発信中。

◇主な著書
ブランドビジネス』(平凡社新書) 2004
夢と欲望のコスメ戦争』(新潮新書) 2005

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

バンコク繁盛記

「Nail it! TOKYO」は女性の生き方をも変える

2018年8月10日(金)

 ビジネスのヒントはさまざまな場所に横たわっている。あるときには町中に、あるときには店の中に。

 バンコクを中心にネイルサロン「Nail it ! TOKYO」を展開するBeauty Itのディレクター荒川真寿氏はバンコク市内を走るBTS(高架鉄道)の車内でビジネスチャンスをかぎとった。

 「ちょうどいまから4年前、東南アジアへの進出を考え、バンコクを視察で訪れたときでした。BTSの車内で吊り革を持つ女性の指先をふと見るとネイルをしていなかったんですね。周囲を見渡しても同じでした。所得が増えて、女性がオシャレになっているのにネイルはいっこうに浸透していない。どうしてなのかと疑問に感じたのがきっかけです」

 イベント会社セイムペイジは2010年に中国・上海に進出。総合美容サロン「La Vita」を運営している。上海での事業を通して同社スタッフが実感したのが、経済発展が女性の美意識向上に与える影響力だ。

豊かになると女性は必ずオシャレになる。だったら……

 「物価が上がり、給料が上がり、町にオシャレな店が増えていくと、中国の女性は可処分所得を美容に投じてみるみるきれいになっていった。ネイルももう当たり前。タイも必ずそうなると感じました」(荒川氏)。

 タイにネイルサロンがなかったわけではない。が、リサーチをしてみると、完全に二極化していることが判明した。

 1500バーツ(約5200円)以上かかる高級サロンか、300バーツ(約1000円)ほどで済む市場やスーパーマーケット内の庶民的な店か。前者の店は富裕層しか利用できず、後者の店は非衛生的で技術も低く、空調設備がない店がほとんどだ。快適なサービスにはほど遠い。

 これがネイルサロンの利用者が頭打ちだった理由だ。手軽に気軽に衛生的な環境でネイルを楽しめる店が増えれば、この国の女性たちの指先はもっと美しく彩られていくはずだ。中間層が利用しやすい価格と場所で丁寧なサービスを提供するネイルサロン。Beauty Itの新しい事業構想がまとまった。

 ロケーションとして狙い定めたのがBTSの駅構内だ。「Nail it !TOKYO」のターゲットは学生や会社員。車で乗り付けなければならない立地では集客は厳しいが、彼女たちの移動手段であるBTSの駅の中なら敷居はぐっと低くなる。

BTSの駅にある「Nail it! TOKYO」。最近はMRT(地下鉄)やオフィスビル、百貨店への進出も進めている。

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