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起業のリアル 仲間、資金、顧客が全て

アイデアだけでは失敗する

  • 佐伯 真也/庄司 容子/古川 湧/大竹 剛

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2018年12月4日(火)

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 イノベーションの担い手として期待されるスタートアップ。メルカリの大型上場を受けて、「起業」のリターンに注目が集まっている。 最近の起業家たちはなぜ、どうやって会社を興しているのか。「起業のリアル」を追う。

(日経ビジネス2018年9月24日号より転載)

(写真=上:北山 宏一、下:吉成 大輔)

 「商社で経験を積み、30歳代前半なら会社を辞めて起業しても、リスクはほとんどない。数年やって芽が出なくても、再就職できるでしょう」

 そう語るのは、物流スタートアップShippio(シッピオ、東京都港区)を2016年6月に創業した佐藤孝徳氏だ。三井物産で約10年、原油のトレーディングや企業投資、中国事業の経営企画などに携わった。「恵まれたキャリアパス」(佐藤氏)だが商社ではさらに下積みが続く。「そんなに待てない」と起業を決断。妻子はいても商社で培った語学力があれば、失敗しても再就職は簡単だと考えた。

 手掛けるのは、国際物流の支援サービス。機械学習と画像認識を使い、手書きが主流の貿易書類作成を自動化する。18年中のサービス開始を目指し、「国際物流を必要としている中小企業の窓口になりたい」と意気込む。

環境が整い始めた

 佐藤氏だけではない。恵まれた環境にいた若者たちが、起業に踏み切る事例が増えている。その代表が東京大学の学生だ。帝国データバンクによると、大学発スタートアップの社数は18年2月に初めて累計1000社を突破。原動力は東大で、全体の1割を占める。

物流スタートアップ、Shippioを創業した佐藤孝徳CEO(写真=北山 宏一)
ドローン特化のファンドを立ち上げた投資家の千葉功太郎氏(写真=竹井 俊晴)
500スタートアップス・ジャパンのジェームズ・ライニー氏(左)と澤山陽平氏(右)(写真=稲垣 純也)

 ゲーム会社コロプラの元副社長で、現在はドローンに特化したVC(ベンチャーキャピタル)を立ち上げた千葉功太郎氏は、エンジェル投資家として多くの起業家と接してきた経験から、現状をこう表現する。「リスクを回避して官僚や外資系コンサルティング会社に就職してきた東大生が、起業が十分に割に合うと考えるようになった」

 最大の変化は、起業資金の出し手の増加だ。「資金調達環境は間違いなくいい」。米系VC、500スタートアップス・ジャパンのマネージングパートナー、ジェームズ・ライニー氏は話す。

 一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンター(東京都千代田区)によると、VCによる国内スタートアップへの投資額は17年度に1354億円と、11年度比で2.3倍に拡大。北米の745億ドル(約8兆円)の背中は遠いが、変化のインパクトは小さくない。

 14年にメルカリが14億5000万円を調達して以降、10億円以上の調達も目立つ。スタートアップ支援のデロイトトーマツベンチャーサポートの斎藤祐馬・事業統括本部長は「今や数十億円の調達でも驚かない」と話す。

 事業会社自らが手掛けるCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)の相次ぐ設立も追い風だ。日本ベンチャーキャピタル協会に所属するCVCの数は14年度から6倍以上に増加。「CVCが安易にカネを出すため企業価値が不当につり上がっている」と古参のVCからは恨み節が聞こえるほどだ。

 さらに、米アップルがスマートフォン「iPhone」を発売した07年以降、アプリで簡単にサービスを提供できる環境が整い、起業のハードルが低下。大学時代からスタートアップ業界の動向を追い続けてきた坂上聖奈氏(野村ホールディングス金融イノベーション推進支援室)は、「スマホ世代の起業家が、事業売却益や上場益を元手にエンジェル投資家となるケースがここ数年で増えている」と分析する。

スタートアップ投資は2倍超に
●国内のベンチャーキャピタルによる
国内スタートアップへの投資額と件数の推移
出所:ベンチャーエンタープライズセンター
ベンチャーキャピタルの数も増加
●日本ベンチャーキャピタル協会に所属する
VC・CVC・賛助会員数の推移
*=日本ベンチャーキャピタル協会の目的に賛同しその事業に協力しようとする法人、団体
出所:日本ベンチャーキャピタル協会
開業は徐々に増えてきた
●国内における開業・廃業率の推移
出所:中小企業白書2018

 政策も後押しする。経済産業省は今年6月、大手企業やVCと共同でスタートアップ育成プログラム「J-スタートアップ」を開始。東京都や福岡市など地方自治体も支援を強化する。

 中小企業庁によると日本の開業率は08年のリーマンショックで落ち込んだ後は上昇傾向にあり、現在は5.6%(16年度)だ。背景には金融緩和などによるカネ余りの状況がある。政策次第でブレーキがかかるとの見方もあるが、「起業のエコシステム(生態系)は盤石になりつつある」(トーマツの斎藤氏)。

 こうした起業環境の中、日経ビジネスは双方向のオピニオン・プラットフォーム「Raise」で、イノベーションの活性化に向けた「起業」のあり方を議論した。浮かび上がってきたのは、「チーム作り」「資金調達」「顧客獲得」の3つのハードルを必死に乗り越えるイマドキの起業家の姿だ。次ページ以降ではそんな起業家のリアルを見ていこう。

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