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リーマンからの10年が現場を鍛え直した

第4回 需要蒸発に直面した製造業

  • 池松 由香

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2018年12月5日(水)

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 世界を襲った信用収縮の波。日本の製造業も無縁ではいられなかった。需要は蒸発し、造るモノがなくなり、在庫は積み上がるばかり。急激な需要変動に耐えられるように現場を鍛え直した10年だった。

(日経ビジネス2018年10月1日号より転載)

 「トヨタにもおごりがあったか」

 2008年秋、トヨタ自動車の調達本部長を務めていた専務の新美篤志(現・ジェイテクトアドバイザー)は、稼働を止めた工場を前にあっけに取られていた。つい先日まで増産に増産を重ねていた現場が、静まり返っていた。

 世界をリーマンショックが襲うまで急拡大を続けていたトヨタ。好調な世界経済を追い風に世界生産台数は「毎年60万台のペース」(新美)で伸びていた。当時のSUBARU(スバル)1社分の生産台数に匹敵する台数だ。00年3月期に12兆8800億円だった売上高は、08年3月期には26兆2900億円と2倍以上に膨らんだ。

 忍び寄る危機に、気付く者はほとんどいなかった。新美はこう話す。「このまま行くんじゃないかと思っていた。というより、現場はあまりに忙しくて、冷静に考える暇もない状況だった」

 09年3月期決算。トヨタは20兆5300億円の売上高に対し、4610億円の営業赤字を計上した。トヨタが赤字に転落したのは、実に71年ぶりのこと。日本中に衝撃が走った。

リーマンショック当時、専務だった新美篤志氏は2009年、豊田章男氏が社長に就任するのと同時に副社長になり、生産現場の改革にあたった(写真=堀 勝志古)

 世界に急速に広がった信用収縮の波で、あらゆるモノの需要が蒸発したかのように急減し、日本の製造業出荷額を08年の336兆円から一気に70兆円も減少させたリーマンショック。日本の製造メーカー各社は生産調整に追われ、人員削減に踏み切った企業も少なくない。だが、このかつてない需要蒸発が日本の製造業に鍛え直すきっかけを与えたのも事実だ。

 トヨタは需要急減に対応するため、「寄せ止め」を徹底した。生産効率を上げるために機械や設備を集約し、不要な機械や設備の稼働は停止する。いわば、生産ラインを短くして、固定費を下げる取り組みだ。

 ここでトヨタが気付いたのは、知らず知らずのうちに生産ラインが伸びていたことだった。

 トヨタには生産ラインを造る際の合言葉がある。「シンプル・スリム・フレキシブル」。生産設備の持つ能力や機能を必要最小限に抑えてシンプルにし、ラインに余計な設備を置かずにスリムにする。こうすると、生産数量が増えれば設備を追加し、減るなら設備を少なくすればよくなり、需要の変動にフレキシブルに対応できる。

リーマンショック後も危機が何度も襲った
●日本の製造業出荷額(従業員4人以上)の推移
出所:経済産業省の工業統計調査(2017年6月1日実施)

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